【小説】バージンロード vol.15「楠くん」
この一件から楠くんとは更にいいコンビになった。
阿吽の呼吸というか、テンポが合っていた。
「あゆみさん、これ」
「うん、終わってる」
「楠くん、あの件は?」
「はい、終わらせときました!」
二人三脚で仕事をしている感触。
とても心地よい感触だった。
あれという前にあれが終わっている、これという前に準備が完了している、まさに信頼できるパートナー、それが楠くんだった。
ところがある日、私が楠くんに言った冗談で全てが変わってしまった。
「私、楠くんのこと好きだよ