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オリンピックと政治 〜東京五輪・パラリンピックを成功させるために〜

私が高校生だった頃、旧ソ連のモスクワでオリンピックが開催されることになりました。
当時、ソ連がアフガニスタンへ軍事侵攻したことに抗議して、米国の大統領がモスクワ五輪への参加をボイコットするよう西側諸国に呼びかけ、日本政府もそれに応じて最終的に参加をボイコットしました。
私は当時高校3年でした。
そのころテレビなどでよく見ていた時事評論家が、「各国が五輪をボイコットしなければ、ソ連の国民がアフガニスタン侵攻の間違いに気づくことはなく、その間違いに気づかせるためにはボイコットしか方法がない」と説明するのを聞き、それを信用して、私はボイコットに賛成していました。
ところが、西側諸国がモスクワ五輪をボイコットしても、ソ連国民のあいだにアフガニスタン侵攻が間違いだったという意見は広がらず、ボイコットを受けてソ連がアフガニスタンから撤退するということもありませんでした。
ボイコットは、アスリートの競技者人生最高の舞台を奪っただけだったと私は思いました。
このことを教訓として、私はその後、政治がスポーツを利用するのは避けるべきだと考えています。

これはこれ、それはそれ。
スポーツはスポーツ、政治は政治です。

東京五輪・パラリンピックを開催するにあたり、新型コロナウイルスへの感染拡大防止策をとることは重要な課題です。
新しい時代の大規模イベント開催のあり方のスタンダードとなるよう最大限の工夫をして、東京五輪・パラリンピックをぜひ成功させてほしいと思います。
市中の感染拡大がやまず、医療提供体制が危機的状況なら、無観客で開催することも有効な対応策でしょう。
新型コロナウイルス感染症で亡くなる人の話を持ち出して、「いのち」の問題として東京五輪・パラリンピックを中止すべきというのは、論理が飛躍しすぎています。
「いのち」の問題は、亡くなる人だけでなく、生きているすべての人にとって大事なことです。

東京五輪では、選手や関係者など合わせて9万人を受け入れることが可能だと政府は言っています。
東京都の人口は1400万人。
9万人は東京都の人口でいえば0.6%です。
1400人がいるところに感染防止に努めている9人の人が来ることで、新型コロナウイルスの感染リスクがどれほど高まるといえるのでしょうか。
はなはだ疑問です。

新型コロナウイルスの感染が拡大して、医療提供体制の対応能力が限界に近づいている地域があることは、たしかに大きな問題です。
けれども、それは医療提供体制そのものの課題といえます。
つまり、政治の課題です。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大で病院へ行く患者が減って経営が危機に陥っている病院がある一方、先進国の中でも人口あたりの病床数が多い日本。
まずは医療提供体制と現在の新型コロナウイルス感染症の感染拡大とのミスマッチを解消するよう、政府や国会、日本医師会などに対応を強く求めたいと思います。

命懸けで頑張っている現場の医療スタッフを支えられる医療提供体制を早急に構築してください。

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