楽曲感想:『君が居ないこの場所で。』【ミリッター解放宣言! ◆ ep.2】

君がいないこの場所で僕は
泣かない理由を探してる

mm limit『君が居ないこの場所で。』

ごきげんよう、シンクと申します。
ココロとも申します。
このnoteでは、主にちょこはち(Grand chocol8)のことばかり書き綴ってきたんですが、ここにきて“書きたい欲”が刺激される素敵なアーティストに出会ってしまったので、とうとう一記事にまとめ上げることにいたしました。

それが大阪を中心に活動しているバンド、mmlimit(ミリリミット)です。

さて、前回のミリ宣(mm limit記事上げる時のサブタイ、“ミリッター解放宣言”のこと。いや定着してねえよ?)では、2023年9月に岡山に路上ライブに来てくれた時のことを書きました。

今回は、時系列的にはもっと前に遡る話です。
話というか、大好きな曲の紹介・感想記事ですわね。

本編に入る前に、先に基本スタンスのようなものをお話させていただきます。

基本、ヴォーカルのひとが作詞している歌が好きです。歌を唄っている、そのひとから生まれた言葉として聴くことができるから。
作詞者が別だと、どこか頭の片隅に“借り物の言葉では?”という思いがちらついてしまうのです。
(賛否あるとは思います)

また、演奏技術だとか、音楽的な表現のことがよくわからない人間なので、“曲”という視点ではどうしても「かっこいい」とか「めちゃめちゃ好き」といったIQ低めのコメントになってしまいます。(ヴォーカルの話なら知的なコメントができるとは言っていない)

そんな感じなので、ここで文章化されるのは主に、歌詞のワードセンスやそこに込められた想いや物語、そんなものに思いを巡らせながら僕が感じたことがメインとなります。
深い深い意味が込められているような歌では考察のまねごとなんかも!?
たまに破綻したようなこと言い出す場合もありますが、鼻で笑って見逃してやってください。(たまに??)

***

2023年4月に開催された音楽サーキットフェス、“ちょこフェス”。
mm limitとは、そこで出会いました。

出会い編は、こちらをご覧ください。
【ちょこのフェスに舞う。another one.(ちょこフェス2023大阪レポート)】

***ここから本編です***

そんなわけで、

『君が居ないこの場所で。』


アーティストじたい、まだ好きになって日は浅いですが、mm limitで一番好きな曲。
“mm limitの”という括りを外しても、かなり上位に在る大切な一曲です。
何度も泣きそうになるし、歌に込められた物語に思いを馳せると、たまらず胸がざわつくのです。
ここ数ヶ月、毎日のように朝一番最初に聴いている曲でもあります。
これから頑張ろう、という気持ちにさせてくれる歌。

◆maemitsuちゃんの声が好き

ヴォーカルにしてバンマスのmaemitsuちゃん。
まず彼女の歌声が好きです。

窓から見えるこの世界には”
君がいないこの場所で僕は”

上記サビの強調部分の音域上がるところでいつも胸がキュッてなる。かわいいとか美声だとか歌が上手い、では表現しきれない、唯一無二の歌声!

◆「喪失」、そして「歩き出す」物語


maemitsuちゃん自身に、大きな悲しい別れがあって、そこから生まれた歌なのかなぁと思う。想像だけじゃこの歌はなかなか書けない。

窓から見えるこの世界には
さよならの記憶が溢れてて
君がいないこの場所で僕は
泣かない理由を探してる

この歌で一番好きな一節がココです。
「この世界」――君が居ない世界を「窓から見ている」。
“君”を失って。
物理的にか心理的にか、あるいはその両方か、部屋に閉じこもってしまっている。
窓の外、かつて君と一緒に居た世界には、君との記憶が溢れすぎていてつらい。そんな気持ちでしょうか。

そして冒頭でも触れた、
“泣かない理由を探してる”
このフレーズに、すっごい深みを感じるんですよね。

泣かないでいられるようになりたいけれど、
泣かなくなるということは“君”の存在が消えてしまうことにならないか?という葛藤があるのかな。

泣いて、ふさいだままでいたほうが、ある意味では楽なのかもしれないな、なんて。悲しみとの付き合い方を考えてしまいます。

基本ずっと明るい曲調なんですけど、やっぱりどこか常に喪失感みたいなものが横たわっているんです。

けれどその喪失から、少しずつ歩き出そうとします。

窓から零れる風が頬に触れて少し切なくて

窓を開けることが出来たんだね、ってホッとした気持ちになって。

窓から見えるこの世界には生きて来たシルシが溢れてる

窓の外は、“君”がもういない世界だけれど。
そこに在るのはけして、“さよならの記憶”だけじゃなくて、君と“生きて来たシルシ”だって沢山在るんだ。
そう気付けたという感情の変遷が繊細に描かれています。

◆在ってほしい音、居てほしい人


前提でお話したように、歌声・歌詞という“ヴォーカルのしごと”に重きをおいて聴くことが多いんですが。
この歌は、“曲”の部分にも心震わされるところが沢山あります。

とても抽象的な話になるんですけど。
“ここに在ってほしい”というところにぴったりの音色、メロディーが在るのがとても心地よいんでです。

2Aメロのバックで流れる優しいピアノや、
Bメロから疾走感溢れるギターが加わるところとか。
“君が居ない”と悲しみにくれる心に、そっと寄り添ってくれたり、頑張れと背中を押してくれたり。
それはさながら、“生きて来たシルシ”に気付き、広がりを見せた心を表すようです。

綺麗に染まった心でまた君に会えたなら
伝えたい言葉があるんだ
世界で一番愛してます

これもまた好きな一節。
数々の悲しみを乗り越えて、歩き出そうとする。
でも、

この言葉はもう“君”には届かないのかな。
別れる前には言えなかった言葉なんだろうな。

とか考えてしまう。
そう思うと、やはり悲しみは拭いきれなくて。
消えるはずのない悲しみともよろしくやっていくよ、という歌なのかもな。

◆ラスト、そしてここから。

戸惑いながらこの先もずっと
負けないように歌っていくから
広い空のどこからだって
見つかるよう歌っているから

君が居ないこの場所で。

「この場所で。」
この句点(まる)にも強い意志を感じます。
あなたがいなくても、ここで。
しっかり、立って。
歌っていくよ。という、固い意思表示にも思えるんですけど深読みしすぎですかね??

***

というわけで、

mm limit『君が居ないこの場所で。』

でした。
MVもとても素敵なので、ぜひ一度二度三度四度五度六度七度、ご覧になってください。

この曲が収録された同タイトルのEPもオススメです。

・あの人はもう居ないけど、僕は生きてる
・wasurenaide
・君が居ること。
・君が居ないこの場所で。
・泡になった少年

連作というわけではないのだけれど(ないよね?)、“大切な人の存在”について色々と思いを巡らせたくなる歌が揃っています。

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