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[PART1]Craft Aliveアフタートーク -AI × ライブパフォーマンスから見る、今後の展望とは?-

2022年12月9日(金)、私たちDentsu Craft Tokyo(以下、DCT)は、初の主催イベント「Craft Alive」を代官山UNITにて開催しました。
本イベントは「即興音楽における人間とAIの共創」をテーマに、米国の音楽シーンで活躍するアーティスト・BIGYUKI氏によるAIオーディオプラグイン「Neutone」を用いたパフォーマンスや、ジャンルを超えた幅広い活動で注目を集める打楽器奏者・石若駿氏と山口情報芸術センター[YCAM]による石若氏自身の演奏を学習させたAIとの即興セッションを披露するなど、AIとライブパフォーマンスを融合させた新しい音楽体験を目指しました。

■ダイジェストムービーはこちら↓

このアフタートークは、音楽イベント「Craft Alive」の企画から開催までの舞台裏を、参加できなかったメンバーが担当スタッフに座談会形式でインタビューしたものです。PART1では、「そもそもなぜ音楽イベントを主催したのか」「音楽とAIの共生とは」について語っています。

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座談会メンバー :
Producer|山下誠
Technical Director|西村保彦
Technical Director|村田洋敏
Technical Director|佐藤慧
Engineer|田辺雄樹
Engineer|朝倉淳
Engineer|石川達哉

インタビュアー:
Project Manager / PR|鈴木創太



「私たちはもっと外に出ていかなくてはいけない」-Craft Aliveの構想と背景-

鈴木:「Craft Alive」からちょっと時間が経ってしまいましたが、改めてイベントを振り返っていければと思います。まずは、構想段階の話を聞かせてもらえますか?

山下:元々、DCTメンバーと今後DCTをどう発展させていこうかという議論の中で、やりたいことリストを上げていたんです。その中に「ライブ演出」があった。そこで、「ライブ演出」をDCT発展の足がかりにしようと思って。

西村:補足すると、「DCTはもっと外に出ていかなくてはいけないよね」という話があり、いろいろな方法を模索していたんです。例えば、昨年はNakame Meetup(※1)というトーク型イベントを開催しました。さらにできることを考えていく中で、そのイベントの経験と、元々持っていたBIGYUKIさんとの繫がりを活かした「音楽イベント」という形なら、やりたかった「ライブ演出」を実現できそうだ、と着地した感じですね。
(※1 Creative(Technology×Design)をテーマにゲストを呼んでトークを展開するDCT主催のイベント。現在、#03を計画中。)

村田:「そもそもETチームとしてやりたいのは何か」を改めて話し合っていきましたね。あと、DCTには音楽とAIに強いQosmoチームがいるっていうのも大きくて。

Nao Tokui

山下:そうそう、DCTのチーム間でもっと協業したいというのも根本にはありましたね。それで、音楽・AIのQosmoチームと、演出のできるETチーム(※2)でそれぞれの長所を生かせるのが音楽イベントだった。さらにQosmoチームは、開発中だったAIオーディオプラグイン「Neutone (※3) 」を、東京で発表したいというタイミングでもあって。とにかく、やりたいことにチャレンジしていくしかないと。それで最終的には、音楽イベントを12月に実施するというのが、10月に決まりました。
(※2 テクノロジー関連の開発を行うExperience Technology Teamの略。)
(※3 https://neutone.space/

「見たことがないものを作る」 -企画時の苦労-


鈴木:実際に、構想を実現するにあたってどのような苦労がありましたか。

山下:クライアントがいる仕事はゴールが決まっているので、そのゴールへ進めばいいのですが、このイベントのようなR&Dは、それをやることで何を得るのかというゴール設定が難しい。プロデュース的にもなかなか言語化するのが難しくて、ETチーム的にも、やりたいと思うことをどうゴールに結びつけるのかが難しかったと思います。 

村田:難しかったですが、進めるにあたって、開催スケジュールという物理的なゴールが決まったのは大きかったですね。スケジュールが決まれば動くしかないので…。

山下:スケジュールと予算が決まったから動き出したんですけど、「音楽×AI」というざっくりした構想だったから、AIで何をするんだ?というのがみんなの悩みポイントだったと思います。「とにかく見たことないものを作る」という方針で、QosmoさんはAIを使う。じゃあ、他のメンバーは何をするのかという話になって。

村田:そんなとき、DCTにクリエイティブディレクターとして参画している菅野さんはYCAM(※4)の理事もやっていて、YCAMが石若さんとAIを使ったパフォーマンスをやっていたんですよね。そのことがヒントになりました。
(※4 山口情報芸術センター(Yamaguchi Center for Arts and Media)の通称。)

石川:それで確信を持って、イベント全体のテーマを「AIと音楽」にしようと決めましたね。

山下:AIという情報、データ、信号を受け取って何かをする、というところまでは決まった。でも、その先のパフォーマンスは何でも良いんだよね。

村田:そう。演出そのものはAIではないから、改めて考える必要がありました。

「根底に何かを作りたい人が集まってる」-DCTのR&D-

山下:ちょっと話が脱線しますが、今回のイベントに限らず、R&Dに対するETチームメンバーのモチベーションって何なんですか? 僕はプロデューサーなので、ちょっと聞いてみたいなと。

佐藤:単純に新しいものが出てきたら触ってみたい。根本のモチベーションはそれだけ(笑)。そもそもそういう人たちが集まってるからね。ただ、その延長線上にビジネスやコンテンツ的な価値があるといいなとは思ってますけれども(笑)

一同:(笑)

左から、ETチームの村田、石川、田辺

山下:とりあえず、やってみたい衝動(笑)。

村田:やっぱり、根底に何かを作りたい人が集まってるっていうのはありますよね! 名前に「Craft」が入っているくらいだから。

石川:さらに他の人とは違うアプローチだったり、違うアウトプットになるものだったらいいですよね。R&Dで作ったものがそのままコンテンツとして商品になったら、よりハッピーだと思います。

村田:仕事的な側面で言うと、1回R&Dで取り組んでおくと提案をしやすいです。フィジビリティが取れている状態で臨めるので。

朝倉:案件からの開発だと時間が足りないから、R&Dを通してやっておきたいですよね。手持ちのスキルを増やしておくみたいな。

山下:仕事の予習になっているんですよね。なのに、R&Dという言い方が下に見られている感が若干ある…。若干ね…。

一同:(笑)。

山下:でもETチームは、R&Dは仕事に直結するんだというマインドで、積極的に活動出来ているのはいいなと思う。

村田:チャレンジングだからこそすべてが成功するわけではなく、試したものを発表することに意味があると思います。音楽イベントは、2022年のR&Dの集大成みたいなもの。みんなが「作りたい」というモチベーションがあり、会社も「長期的にポジティブな結果を生む」と信じてくれて成立したイベントでした。


「もっと外に出ていかなくてはいけない」という思いを胸に、広告だけでなく、あらゆる領域へとチャレンジを続けるDCT。アフタートークPART2では、全体テーマが「AIと音楽」に決まった段階で開催まで1カ月強となった「Craft Alive」の、次々と現れるハードルや詳細フローについて語ります。


執筆 鈴木創太


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