声に出して読みたい鬼十則|”HOW”ではなく”WHAT”と捉えよ!

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鬼十則を社内に布教する取締役って、ウザいよね。

昔、社内向けに「鬼十則サイコウやで」と布教していたんですが、きっと、めっちゃ嫌われてたんだと思うんですよ。

でもね。それでもね。これ、本当にサイコウだと思ってるんですよ。で、めっちゃ久しぶりに、過去の布教資料を見つけたので、そのエッセンスをご紹介しておこうかなと思った次第です。

前提:僕ら、ベンチャー企業なんだからさ

ベンチャー企業なんて、社員ひとりひとりの頑張りで成功する確度を”多少”コントロールできる「宝くじ」です。安定的に収益を稼ぎだせる、簡単には潰れない大企業とは違う。どんどん企業として成長し、(必ずしも規模を追うことがゴールではないですけど)最終的には大企業になることを目指す。資本主義社会におけるチャレンジャーです。

そんな僕たちが、大企業と同じやり方で戦ったら、勝ち目はほぼありません。だから、彼らと対等に戦うために、何ができるかを真剣に考えなければいけない。

そんな中、大企業が ”働き方改革” という言葉に形式的に縛られている。彼らが機動的に動けないこんなご時世だからこそ、彼らが捨てざるを得なかった”鬼十則”の思想に則って我々が戦うことができれば、そりゃ、百戦危うからず!なんじゃないか。

もちろん、極めて当然のことながら、「そんな働き方は嫌だ!」というひとがこの世の中にいるのは全く構わない、というか、むしろそういう人の方が多数派なんだと思うんですよね。

ただ、そういうひとは、いわゆる ”安定した大企業” に行けばいいと思うわけです。どっちが良いとか悪いとか、そういうことじゃなくて、単に ”選択” の問題なんですよ。

※ 働き方改革についてはコチラ ↓ もどうぞ。

電通 鬼十則(オリジナル)

では、早速、鬼十則の原文を読んでみましょう。

1.仕事は自ら創るべきで、与えられるべきでない。
2.仕事とは、先手先手と働き掛けて行くことで、受け身でやるものではない。
3.大きな仕事と取り組め、小さな仕事は己れを小さくする。
4.難しい仕事を狙え、そしてそれを成し遂げるところに進歩がある。
5.取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは…。
6.周囲を引きずり回せ、引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地のひらきができる。
7.計画を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。
8.自信を持て、自信がないから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚味すらがない。
9.頭は常に全回転、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ、サービスとはそのようなものだ。
10.摩擦を怖れるな、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ、でないと君は卑屈未練になる。

いいですね。ビリビリしびれます。え、どこにしびれてるのか分からない?そうですよね。そうだと思います。弊社の皆さんもそんな反応でした。

電通 鬼十則(シンカホリック翻訳)

これを、社内に布教するにあたり、僕の視点で翻訳を加えたのが、こちらです!どーん!!!

1.仕事は自ら創るべきで、与えられるべきでない。
与えられてやるのは作業。仕事は創り出せ。考えろ。脳みそに汗をかけ。言われたことを100点やるのは当たり前。120点を目指せ。

2.仕事とは、先手先手と働き掛けて行くことで、受け身でやるものではない。
絶対に後手に回るな。プロジェクトの最初に考える、とかもそう。提案のタイミングで考える、もそう。最初にしっかり考え抜いてから、仮説検証で考える。

3.大きな仕事と取り組め、小さな仕事は己れを小さくする。
弊社の案件は、基本的に「大きい仕事」につながるはず。つながらないと思ったら、どうやったら「大きくなる」かを考えて提言しよう。受け身になるな。与えられるのを待つな。

4.難しい仕事を狙え、そしてそれを成し遂げるところに進歩がある。
弊社の案件は、だいたい難しい。だから、仕事を選ばなくても、難易度については問題ない。あとは「成し遂げる」だけ。進歩しよう。

5.取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは…。
合うまでやれば合う。終わるまでやれば終わる。放置しても終わらない。終わるまでやるだけ。

6.周囲を引きずり回せ、引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地のひらきができる。
主導権を握れ。「お前が消えて喜ぶものにお前のオールを任せるな」。プロジェクト管理は、管理される側に回ってると永遠に上達しない。上司や先輩、クライアントも含めて、関係者全員が、気持ちよく働いてもらうためにどうすればよいかを考えろ。

7.計画を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。
人生のプランを立てろ。ワークとライフを1日単位で常にバランスさせるなんて馬鹿げているし、現実的に不可能だ。でも40年の社会人人生を通してのワークとライフのバランスなら、幾らでもコントロールできる。どこに向かって、そのために何をやるのかを考えろ。人生プランも、キャリアプランも、プロジェクトプランもすべて同じ話だ。

8.自信を持て、自信がないから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚味すらがない。
自信は根拠がない方が強い。根拠のある自信は、その根拠を砕かれると崩れ去る。僕は、あまり自分に自信がないけど、それでも「自信を持っているようにふるまうこと」が重要なので、そうしている。特に、クライアントの前で自信がないそぶりを見せると、全員が不安になる。自信を持つために、事前準備を死ぬ気でやる。それしかない。自信が出るまで詰め切るんだ。逃げるな。

9.頭は常に全回転、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ、サービスとはそのようなものだ。
Be a thinkaholic!世界の考える総量を最大化しよう!

10.摩擦を怖れるな、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ、でないと君は卑屈未練になる。
Talk Straight。正しいと思うことを主張する。失礼な態度を取れ、ではない。クライアントには敬意を払うのは当たり前。また、年長者に対しては、丁寧な言葉遣いをした方がいい。ただ、その内容に関しては、遠慮するな。正しいと思うことを言うために、何故正しいと思うのか?まで突き詰めて考えろ。そして、徹底的に議論しろ。

鬼十則は「HOW」ではない、「WHAT」だ

賢明なる本note読者の皆さんは、お気づきのことでしょうが、僕の解釈は「鬼十則をWHAT(思想)と捉える」ことからスタートしています。一方、多くの方は、おそらく鬼十則を「HOW(行動規範)」として捉えています。これは、大きな違いです。

鬼十則を、具体的なやり方(HOW)として認識すると、ヤバいです。書いてある内容をそのまんま100%実行しようとすると、毎晩、一睡もできません。過労によって肉体的な限界が訪れるのが先か、ストレスによって精神的な限界が訪れるのが先かのチキンレースです。地獄。

ただ、これを、仕事において達成すべきこと(WHAT)と捉えると、意味合いが変わります。つまり、鬼十則は思想なんです。

この思想を今時の自己啓発本っぽく翻訳してみましょう。もう、あからさまに薄っぺらい表現になって、迫力が激減しますけど、、、

天使七則(自己啓発風 翻訳)

① 自律性を持ち、自発的に仕事に取り組もう!(1 & 2)
② 取り組みがいのある仕事に従事しよう!(3 & 4)
③ 最後まで全力でやりきろう!(5)
④ 自分の仕事だという意識を持とう!(6)
⑤ 計画的に行動しよう!(7)
⑥ しっかり考えて、自信を持って仕事に臨もう!(8 & 9)
⑦ 自分の意見を持とう!(10) 

こんな感じです。めっちゃ普通の話ですよね。

この当たり前のこと、普通のことを、鬼気迫る迫力を持った文章に仕立て上げ、常人には達成できないような雰囲気を纏わせたことが、電通という会社を、めちゃめちゃ戦闘力の高い組織にするのに、一役買ったんでしょうね。

当たり前を徹底することの強さ

僕の著作の大半は、きっと、自己啓発本に分類されるんだと思うんですけど、そこに書かれている内容は「当たり前のこと」ばかりです。ええ、著者が言うんだから間違いないです。

ただ、当たり前を、徹底的にやり抜くってのは、極めて難しい事なんですよね。

多くの人は、当たり前のことを言われると「知ってる」「できる」という反応をします。しかし「やってる」という人は少ないんですよね。

まず「知ってる」と「できる」の間には大きな隔たりがあります。知ってるからと言って、できるとは限りません。
そして、「できる」と「やってる」の間の隔たりは、もっともっと大きなものです。(※「できるけど、敢えてやらない」は別の話ですので混同しないように。)

当たり前のことを、当たり前だとバカにせず、徹底的にやり抜いた人に見える景色があるんです。

鬼十則を、安易に天使七則に置き換えたりせず、原文持つ迫力ごと「WHAT(思想)」として深く理解し、そこから、自分なりの「HOW(行動規範)」を導き出しましょう。

この道を、半年、1年歩き続ければ、きっと違う景色が見えますよ。

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