「光る君へ」への長い道のり ~『第19回 「放たれた矢」振り返り』(その1)(ネタバレ)~[2863文字]
大河ドラマ「光る君へ」 第19回『放たれた矢』 の振り返り、その1です。
※以下より、第19回のストーリーを記述しています。未視聴の方は先に第19回をご視聴ください🙇。
■[第19回『放たれた矢』 振り返り]その1
ナレーション:「長徳元年六月、一条天皇は道長を右大臣に任じた。道長は内大臣の伊周を越えて公卿のトップの座に就いたのである」
内裏ー。
一条天皇〔塩野瑛久〕「幼い頃、右大臣に東三条殿の庭で遊んでもらったことは覚えておるが、ゆっくり話したことはなかった。これからは太政官の長である。朕の力になってもらいたい」
道長〔柄本佑〕「もったいなきお言葉にございます」
定子〔高畑充希〕「お上をよろしく頼みます」
道長「身命を賭してお仕えいたす所存にございます」
一条天皇「ひとつ聞きたい聞きたいことがある。そなたはこの先、関白になりたいのか?なりたくないのか?」
道長「なりたくはございません」
一条天皇「なぜであるか?」
道長「関白は陣定に出ることはできませぬ。私はお上の政のお考えについて陣定で公卿たちが意見を述べ、論じ合うことに加わりとうございます」
一条天皇「関白も後で報告を聞くが」
道長「後で聞くのではなく、意見を述べる者の顔を見、声を聞き、ともに考えとうございます。彼らの思い、彼らの思惑を感じ取り、見抜くことができねば、お上の補佐役は務まりませぬ」
一条天皇「これまでの関白とは随分と異なるのだな」
道長「はい。異なる道を歩みとうございます」
はい、ここでタイトルどーん (´-`) 。
為時〔岸谷五朗〕の屋敷ー。
初夏の日差しのもと、文机に向い、惟規から借りた新楽府の写本をしているまひろ。いとがやって来る。
いと「このところ熱心になさっていますね、それ」
まひろ「惟規が借りてくれた新楽府だから、早く写して返さないと」
いと「それをお写しになるのは、そんなに楽しいのですか?」
まひろ「楽しいというより、ためになるの。政のあるべき形が書かれているから」
いと「そういうことは若様にお任せになって、姫様はお家のためによき婿様に出会えますよう、清水寺にでもお参りに行ってらっしゃいませ。お供いたしますゆえ」
従者の乙丸が、父と一緒に肥前に行ったわさからの文を持って来る。乙丸から受け取った文に目を通すまひろ。
まひろ「まあ。さわさん、婿をお取りになったのですって」
いと「ほ~ら、また出遅れた(ため息)」
内裏では道長が、源俊賢〔本田大輔〕からの報告を受けていた。
俊賢「従って、帝は伯耆の国と岩見の国の申し出を受け入れ、租税を4分の1免除してはとの、ごえい慮にございます」
道長「さすが、帝であられる」
斉信〔金田哲〕「同意されるのでしょうか」
道長「むろん同意だ。帝は民を思う御心があってこそ、帝たりえる」
斉信「私は不承知です。陣定は大荒れになりますぞ」
陣定ー。
道長「では、下の者より順に租税の免除についての意見を述べられよ」
藤原誠信「帝の仰せのままに」
藤原公任〔町田啓太〕「帝の仰せのままに」
平惟仲「わかりませぬ」
藤原道綱〔上地雄輔〕「帝の仰せのままに」
藤原実資〔秋山 竜次〕「同じく」
藤原隆家〔竜星 涼〕「分かりませぬ」
藤原顕光「帝の仰せのままに」
藤原公季「帝の仰せのままに」
藤原伊周〔三浦翔平〕「この義、よろしからず。ふた国の申し入れ、税を免ずれば、他国も黙っておらぬ。そのようなことで、朝廷の財を減らしてよいのか。甘やかせば、つけ上がるのが民。施しは要らぬと存ずる」
道長「いまだ疫病に苦しむ民を救うは、上に立つ者の氏名と存ずる。では、皆の意見、帝のお伝え申す。他に意見がなければ・・・」
一同を見る道長。
道長「本日はこれまでといたす」
座を立つ公卿たち。続く道長の背に、伊周が声をかける。
伊周「父上の道兼叔父上を呪詛したのは右大臣殿か」
道長「ありえぬ」
伊周「待て!自分の姉である女院様を動かして、帝をたぶらかしたのも、右大臣殿であろう。女院様を使って中宮様に無理強いするのもやめろ!」
道長の肩に手をかける伊周だが、道長は身をかわして去っていく。後に残ったのは床に四つん這いに転んだ伊周。
見ぬふりで去っていく公任たち。
隆家〔竜星 涼〕「兄上」
隆家の手を払いのけ、道長が去って行った後を見つめ続ける伊周。
土御門邸ー。
除目のことで頭を悩ませている道長に詮子〔吉田羊〕が声をかける。
詮子「何よ、難しい顔をして」
道長「ああ。除目の案を考えておりました」
書付を出す詮子
詮子「この人、入れておいて」
書付を開いて見る道長。
道長「知らない者を入れるわけにはいきませぬ」
詮子「伊周一派を封じるためには、私の知り合いを増やしておいた方がよいと思うけど」
道長「道隆兄上のようなことはできませぬ」
詮子「(うんうんと頷く)そうよね。でも、私にもいろいろなつきあいがあるのよね~」
道長「(強い口調で)できませぬ」
詮子「はい。(ため息)融通の利かないところがすばらしいわ。帝のご信用もいや増すというもの。お気張りなさい。これは帝にお頼みするから」
道長「え?」
内裏の物陰に、実資〔秋山 竜次〕と道綱〔上地雄輔〕。
実資「え~!陣定のあと、そんな面白いことがあったのか!」
道綱「いや、面白いというか、情けないというか・・・。内大臣様があまりに、ぶざまで・・・」
実資「(目を輝かせて)今日もやるかな?」
道綱「さあ?」
ナレーション:「しかし、あの日以降、伊周と隆家は参内しなくなった」
ということで、長くなりましたので、『第19回 「放たれた矢」の振り返り』その1は、その2へ続かせていただきます(´-`)。
最後までお読み頂き、ありがとうございました🙇。
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