佐藤寛之(桶庄社長)

名古屋で創業150年の老舗企業を経営する5代目のエッセー。一人ひとりが人生観に根ざした…

佐藤寛之(桶庄社長)

名古屋で創業150年の老舗企業を経営する5代目のエッセー。一人ひとりが人生観に根ざした仕事観を持って、それを胸に働くことで輝けるんじゃないかなと考えてます。あなたが輝いて、その光で誰かを幸せにできたら素敵ですね。敬愛する経営者は松下幸之助さんと稲盛和夫さん。41歳。

最近の記事

角砂糖1個の思想

あなたはいま、 手の中に1つの角砂糖を持っているとしましょう。 それを浜辺からポチョンと 大海原に投げ入れてみました。 舐めてみても当然、 海水は以前と変わらず塩っ辛いままです。 しかし、あなたが投げ入れた角砂糖1個分だけ、 海は確実に甘くなっています。 あなたはいま、 ただ1人早朝のグランドで 早出の朝練をしているとしましょう。 一生懸命に努力した分だけ、 あなたの実力は確実に高まっています。 もしあなたが目標に向かって 一生懸命に練習しているなら、 あなた1人分のやる気や

    • 衆知を集める

      3人寄れば文殊の知恵という言葉があります。 文殊とは文殊菩薩のことで、 知恵を司る仏様のことです。 1人の人間の知恵には自ずから限界があるものです。 また思い込みや偏りもあるのが人間でしょう。 だから、それぞれの立場や価値観、 性別や年齢などが異なれば、 同じ1つの現実に対しても 見え方もまた違ってくるものです。 私たちの右目と左目は、 付いている場所が少しだけ違いますね。 このわずかな違いがあるからこそ、 物を立体視することができます。 さまざまな視点を持った人が集まって

      • もし自分が社長の右腕だったら

        人は誰もが得意や長所を与えられて、 この世界に生まれてきます。 あなたの得意は誰かを咲顔にするためにあり、 あなたの長所は誰かを幸せにするためにある…。 そんな風に考えられたら素敵じゃないでしょうか。 日本語ではそれを 天から与えられたものと考えて 「天分」と呼びますが、 英語でも神様からの贈り物という意味で ギフトというそうです。 面白いですね。 さて、得意や長所があるということは、 それとセットで苦手や短所も 生まれ持っているということです。 凸凹があるのが人間で、

        • 成長してますか?

          「あなたは成長していますか?」と聞かれて 「いいえ、成長していません」と 答える人は少ないでしょう。 「自分は毎日頑張っているし、 きっとなにかしら成長しているはずだ」 と信じたいのが人情です。 では改めて成長とはなんでしょうか? 例えば(成人に対して)体重が増えたことを以て 「いや~君は成長しているね!」 とは言いませんね。 会社の成長とは、 そのまま従業員の成長ですから、 仮に体重増=成長なら全社員の体重を 100キロ以上で揃えれば、 ものすごく成長した会社(!) とい

          有無同然

          日々いろいろなニュースが飛び交いますが、 最近一番ビックリしたのは 大谷翔平選手の通訳だった水原一平氏が ドジャースを解雇されたというニュースでした。 これまでの報道によれば、 彼は違法賭博に全財産を注ぎ込んでしまい、 これまでに 6億7000万円以上もの借金があったとか。 世間一般から見れば、 いま日本で一番有名な通訳であり、 相当な収入もあったでしょう。 しかし、それらを失ってしまったことになります。 一般にお金や知名度などは あればあっただけいいと思いがちですが、 こ

          ちゃんと持たせてあげる

          世の中は「都合のよい」情報で溢れています。 自撮りした写真は都合よく加工されていますし、 SNSは個人に向けて最適化(?)され、 都合よい情報ばかりが表示されます。 就活でも同じです。 転職エージェントに依頼すると (仮に大した経歴や実績がなくても) 驚くほど立派な履歴書や職務経歴書を 都合よく仕立ててくれます。 また、各種ナビサイトや転職エージェントも、 求職者に都合のよい会社や都合のよい情報だけを 提供してくれます。 しかし、いざ実際に働いてみると、 そうではない現実が待

          ちゃんと持たせてあげる

          内定までの人、内定からの人

          たまに就活生から 「自分が何をやりたいのかよくわからない」 という声を耳にします。 いま20歳なら40年近く働くことになるわけですが、 社会に出たことがないのに仕事を選べ、 なんて酷な話かもしれません。 就活を始める動機もそれぞれです。 「周りの友人がインターンに行きはじめた」とか 「キャリアセンターから早く動くように言われた」 という程度の理由では、なかなか身が入りません。 「そんな感覚で選考を受けても 採用されないでしょ。 世の中そんなに甘くないよ」 と思うかもしれませ

          内定までの人、内定からの人

          全社採用その3

          先週・先々週と 「なぜいま全社採用になのか?」について 一緒に考えてきました。 まず求職者にとっては、 たくさんの先輩社員と会って話をする中で 「長く働きたいと思える環境があるか?」を 入社前に確かめることができます。 また私たち従業員にとっては、 求職者との対話を通じて自分を見つめ直す きっかけを与えてくれるのではないか というお話でした。 今週も全社採用と私たちの明日の咲顔について 一緒に考えてみましょう。 私たちは、 自社の仕事を「生涯幸福支援業」と 位置づけていま

          全社採用その2

          先週は全社採用と就活生の 明日の咲顔の繋がりを考えてみました。 同じ業界・業種であれば、 どこの会社に入っても 日々の仕事に大差はありません。 だから違いは「誰と一緒に働くか」です。 一般に求職者は入る会社は選べても、 配属先の上司や先輩・同僚を 選ぶことはできません。 つまり、入社前に なるべくたくさんの先輩社員に会って 話をすることが 会社選びのポイントになってきます。 今週も「なぜ全社採用なのか?」について、 就活が本格化していくこのタイミングで 皆さんと一緒に考えて

          全社採用その1

          早いもので2月も中旬、 世間では大学生が春休みに入り 現大学3年生(2025年4月入社)の就職活動も 本格化しているようです。 この1月時点で現3年生の3割は どこかしらの企業から内定をもらっている というデータもあり、 桶庄でも子鹿PJを中心に 採用活動が本格化しています。 子鹿PJのミッションは 「従業員を巻き込んだ全社採用を通じて、 私たちの明日を担う人財の発掘と共育を行う」 です。 私は従業員の皆さんに合説やオンライン座談会、 職場体験などなるべくたくさんの学生と

          自主責任経営

          「業績が悪いのは全部社員のせいだ」と 本気で思っている社長がいたら、 その会社に未来はないでしょう。 会社で起こるすべてのことは社長一身の責任です。 同時に、 経営は社長一人だけのものではありません。 従業員一人ひとりが、 自らを自分の仕事の経営者であると位置づけ、 会社の方向性をベースに 創意工夫をもって各自の責任を果たしていく。 これが自主責任経営の基本的な考え方です。 例えば営業マンであれば、 仕事の成否はすべて 自分一身にあると自覚すること。 うまくいかないのはお客

          大人と子供

          皆さんは3人のレンガ職人の話を 聞いたことがありますか? こんなお話です。 中世のとあるヨーロッパの町。 旅人が歩いていると、 汗を流しながら重たいレンガを運んでは積み、 運んでは積みを繰り返している 若い3人のレンガ職人に出会いました。 旅人が「何をしているのですか?」と尋ねると、 3人のレンガ職人はそれぞれ次のように答えました。 1人目は、 「そんなこと見ればわかるだろう。 親方の命令でレンガを積んでいるんだよ。 暑くて大変だからもういい加減こりごりだよ」 と答えまし

          理想の会社

          「理想の会社は?」と聞かれたら、 みなさんはどんな会社をイメージするでしょうか? ここでいう「理想」とは、 「都合がいい」とは ちょっと意味合いが異なります。 採用活動をしていると学生から 「桶庄をどんな会社にしたいですか?」と 聞かれることがあります。 はじめの頃は「売上100億円」とか 「社員は300人」など、 数値的な部分をメインに答えていました。 学生にとっては シンプルでわかりやすいと思ったからです。 ところで、売上が100億を超える企業が 日本にどれくらいの割合

          積小為大

          積小為大は二宮尊徳の言葉です。 『報徳記』には 以下のようなことが書いてあります。 「大きな仕事をしたいなら、 小さな事こそ大切にすべきである。 小さな仕事の集積こそが、 大きな仕事の正体である。 つまない人物は口では大きな事をいうが、 目の前のスグできる事を大切にしない。 大きな仕事をするのは大変だと言う割に、 小さく簡単なことはやろうとしない。 結局、そういう人に大きな仕事はできない。 大きな仕事の正体が 小さな仕事の積み重ねであることを 知らないからである。 千里の道

          「好き」と「愛する」

          皆さんは自分の家族が好きですか? そして、家族を愛していますか? また、生まれ故郷やふるさとは好きですか? 愛していますか? 同様に、会社や同僚はどうでしょうか? 世の中に愛妻家という言葉はありますが、 好妻家という言葉はありません (恐妻家はあります…)。 また、郷土愛とはいいますが、 郷土好とはいいませんし、 愛社精神とは言っても、 好社精神とは言いません。 普段あまり意識することはないですが、 どうやら「好き」と「愛する」は違うようです。 では、いったいどう違うのでし

          「好き」と「愛する」

          心の鏡

          人の心は本来的に「善」なのでしょうか? それとも「悪」なのでしょうか? 洋の東西を問わず、 また紀元前から現在に至るまで、 たくさんの人たちがこの問題について 論じてきました。 その代表的な存在が性善説を唱えた孟子と、 性悪説を唱えた荀子でしょう。 孟子は、人は誰もが生まれながらにして 「思いやりの心」「やさしい心」を 持っていると考えました。 ある人はこれを「心の鏡」と表現しました。 また別の人は「心の庭」と考えました。 人間は誰でも心のなかに美しい鏡をもっています。 こ