心のままに

 私が主催する「認知症マトリョミン演奏サロン」を実施しています。9月から12月まで浜松市内で開催中ですが、メインイベントとなる浜松駅前のオープンスペース「ソラモ」でのイベントを開催しました(NHK静岡様にご取材いただきました)。

 「認知症マトリョミン演奏サロン」で演奏体験された方々の声を集めています。
マトリョミンの演奏特性については「繊細に反応するので驚いた」「難しかったが楽しかった」といったご感想を多く耳にしました。
 トレーナーの方に手を取られての演奏法については「安心感があり、故に自律的に演奏することに挑戦できた」とのことで、総じてこの演奏法は難しさのハードルを下げ、演奏体験に誘うことには有効でした。「緊張した」とのご感想もありましたが、他者に触れられることも非日常の刺激になったようです。

 今回「認知症」を大きく謳い、前面に押し出すことがネガティブに捉えられるかと案じていましたが、まったく違いました。参加者の皆さんは好奇心旺盛で、「認知症」を患っていると目されることに対する不安はまるで感じられませんでした。このことは我々の先入観だったかもしれず、実際に参加されたご高齢の方々は精神が自由で、己の好奇心に素直に従って生きている人が多いことを実感しました。

 テルミンやマトリョミン界隈の小さな池に長く住んでいたことで、私の方が先入観に縛られていたようです。個性的であることを意識し過ぎて、柄でもないのに奇抜や、やりたくもないのに道化を演じる人を見てきました。楽しくもないのに楽しそうに見せる演出として、無理に口角を上げ演奏する人もいました。

 今回、演奏体験した人達を観察するに、演奏中は精神集中して弾いて、終わったら安堵感から自然と笑顔がこぼれていました。そこに作為はなく、精神の自由を見ました。険しい表情と笑顔とのコントラストは、命の輝きを見るようで、心から素敵だなと思いました。


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