Theopotamos (Kamikawa)

近現代史の話題が中心です。広い意味で研究をしています。連絡先:theopotamos(…

Theopotamos (Kamikawa)

近現代史の話題が中心です。広い意味で研究をしています。連絡先:theopotamos(a)gmail.com ※(a)→@にお願いします。 Twitter : https://twitter.com/theopotamos

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  • 調査趣味誌『深夜の調べ』第1号関連記事

    調査趣味誌『深夜の調べ』第1号で紹介しているnoteの記事をまとめました。 雑誌とともに参考いただければ幸いです。

最近の記事

  • 固定された記事

【お知らせ】『調査趣味社社報』第1号を販売開始しました

 以下の記事で紹介したように、11月11日(土)に行われた文学フリマ東京に「調査趣味社」として出展し、新刊として小冊子『調査趣味社社報』第1号を頒布した。この小冊子が少部数ながら残ったので、ウェブでも販売を開始しました。関心のある方はご覧になってください。 目次 ・発刊のことば ・「調査趣味誌」由来記―半歩遅れの雑誌名由来記 Takashi Kamikawa ・忘れられた人物の記録を読むこと、つくること―平山亜佐子『問題の女 本荘幽蘭伝』を読んで Takashi Kamik

    • 橘正一の発行していた『方言と土俗』第2巻第4号ーデジコレ未収録分を補完する②

       方言研究者・橘正一の発行していた『方言と土俗』は以下の記事で紹介したように国会図書館デジコレに収録されているが、欠号がいくつかある。今回はその1冊である第2巻第4号の書誌情報を紹介していきたい。 大きさ 約21.8cm×約15cm、和綴、謄写版印刷 印刷:昭和6年7月20日 発行:昭和6年8月10日 編集兼発行者:橘正一 印刷者:岩瀬利吉 東京市神田区駿河台南甲賀町(中大前) 発行所:一言社 頁数:40頁 編集室だより 馬鈴薯の方言分布 佐藤清明 暗礁の方言 桂又三郎

      • 柳田国男「酒もり塩もり」に関するメモ―水平を目指して

         柳田国男『食物と心臓』に収録されている「酒もり塩もり」を最近読んだ。この文章の初出は拙noteでも紹介したことのある宮本常一が発行していた雑誌『口承文学』第12号(1936年3月、この号が最終号である。)である。  この文章の最後に興味深い記述があるので、以下のように引用してみたい。  上記に引用した文章は「モラフ」という言葉の意味がかつては飲食を共同で行うという水平的な意味を含んでいたが、現在では目上の者が目下の者に与えるという垂直的な意味に変化したことを論じた後に述

        • 尾佐竹猛についての斎藤昌三の回想

           最近、尾佐竹猛が気になっている。尾佐竹は判事をつとめながら法制史、政治史を研究していた人物であるが、研究範囲が幅広く明治文化、賭博や刑罰の歴史、性に関するものを含む民俗学にも関心があった。その関心の広さから尾佐竹は様々な人物と交流があったが、その中の1人に尾佐竹も所属していた明治文化研究会に参加していた斎藤昌三がいる。斎藤昌三『少雨荘交游録』(梅田書房、1948年)に尾佐竹に関する斎藤の回想が載っているので、以下に引用してみたい。なお、この本は国会図書館デジコレ(個人配信)

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        【お知らせ】『調査趣味社社報』第1号を販売開始しました

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        • 調査趣味誌『深夜の調べ』第1号関連記事
          19本

        記事

          戦前に発行されていた雑誌『九州民俗学』第7号

           以下の記事で三松荘一が戦前に発行していた雑誌『九州民俗学』を紹介したが、今回はこの雑誌の第7号を紹介したい。この号は某所で確認する機会を得た。以下に書誌情報を記載したい。 書名:九州民俗学 第七号 大きさ:約23.5cm×約15.9cm、和装本、謄写版印刷 印刷:昭和5年6月25日 発行:昭和5年7月1日 編集兼発行人:三松荘一 福岡市鳥飼前田 印刷人:豊島喜重 福岡市庄一一四 発行所:九州民俗学会 ※編集兼発行人の住所と同様 頁数:18頁 鳥の傳説 安部幸六 福岡県八

          戦前に発行されていた雑誌『九州民俗学』第7号

          『土の香』の加賀紫水はコレクションを売却した?

           拙noteで何度も取り上げている『土の香』を発行していた加賀紫水は以下の記事でも紹介したように、『土の香』の発行や民俗・方言研究と並行して様々なものの蒐集を行っていた。 これらのコレクションを何らかの理由で譲渡しようとしていたことは、以下の記事で紹介した調査趣味誌『深夜の調べ』第1号(2023年)に投稿した解題「民俗学実践の場『土の香』、その支援者・加賀紫水」でも言及している。加賀の出していた広告を武田修が発行していた趣味誌『京都寸葉』から引用する。  今回別件で清水蒐

          『土の香』の加賀紫水はコレクションを売却した?

          鶴見俊輔『日本の地下水―ちいさなメディアから』についてのメモ⑬—『近代出版研究』第3号の座談会より

           先日、『近代出版研究』第3号(皓星社、2024年)が出版された。この号の目玉の1つは巻頭に掲載されている「座談会「書物雑誌」と雑誌の「書物特集」」である。私もたまたま別件で訪問した際にこの座談会の前半に同席をさせていただいた。(この話は皓星社のメルマガに載っており、以下のページより閲覧可能。) この座談会の中で森谷均の昭森社が発行していた『本の手帖』も紹介されている。稲岡勝監修『出版文化人物事典』(日外アソシエーツ、2013年)で森谷は以下のように立項されている。  『

          鶴見俊輔『日本の地下水―ちいさなメディアから』についてのメモ⑬—『近代出版研究』第3号の座談会より

          古本祭りで愛知の趣味人・狭田菱果の年賀はがきを拾う

           先日の四天王寺古本祭りで寸葉様より趣味人関連のはがきを何枚か購入した。この中で特に興味深かったのは趣味人・狭田菱果の年賀はがきが出品されていた点である。狭田は加賀紫水の発行していた『土の香』の第2巻第2号(1928年11月)に「旅のみきき」という文章を投稿しており(注1)、気になっていた。私が入手したのは昭和6年、昭和8年の年賀はがきであるが、以下に写真を掲載しておきたい。これらの年賀はがきから狭田が愛知県在住の趣味人であったことが分かった。  以下の記事で紹介した『蒐集

          古本祭りで愛知の趣味人・狭田菱果の年賀はがきを拾う

          幻の『土の香』はハワイに有り?

           以下の記事で加賀紫水の発行していた雑誌『土の香』と同じ雑誌名で谷川(大場)磐雄の発行していた『土の香』のことを紹介したが、この雑誌は私が調べた範囲では図書館や研究機関に所蔵されていなかった。  ところが、先日たまたまハワイ大学マノア校の梶山文庫に所蔵されていることを知って驚いた。文庫の説明によれば、梶山文庫は小説家・梶山季之の日本の移民、植民地関連資料の蔵書が寄贈されたものであるという。梶山文庫の蔵書リストに谷川磐雄/武田鋭二『土の香 性崇拝のおもかげ/烏城』(土の會/烏

          幻の『土の香』はハワイに有り?

          愛知県で発行されていた謎の趣味誌『郷味』について

           かなり前になってしまうが、愛知県で発行されていた『郷味』という趣味誌を何冊か入手した。少し調べてみたが、ほとんど情報が出てこないので珍しい雑誌であると思われる。まだまだ分からないことが多く不足しているが、情報の連鎖を期待して本記事で紹介する。以下に私が入手した中の1冊である第26号を紹介したい。 雑誌名:郷味 第二十六号 大きさ:約27.2cm×約19.7cm、活版印刷 印刷納本:昭和12年8月25日 発行:昭和12年9月1日 編集印刷兼発行人:淺井英一 愛知県蒲郡町本町

          愛知県で発行されていた謎の趣味誌『郷味』について

          南方熊楠『十二支考』についてのメモ③—挿話の重複

           以下の記事で紹介したように最近南方熊楠『十二支考』を読み進めている。『十二支考』には様々な話が登場するが、これらは「猴に関する伝説」で南方は「猴を馬厩に維ぐ事については柳田君の『山島民譚集』に詳説あり、重複を厭いここにはかの書に見えぬ事のみなるべく出そう。」と述べており、話の重複を気にしていたように思われる。それは『十二支考』内でも同じことであろう。私はこのように考えていたが、先日『十二支考』を読み進めている際に重複している話が出てくることに気が付いたので以下に紹介したい。

          南方熊楠『十二支考』についてのメモ③—挿話の重複

          1号で終わった雑誌『遠野』について

           先日、某所で鈴木重男という人物が発行していた雑誌『遠野』を目にする機会があった。この雑誌のことは以下の記事でも紹介した佐藤健二『柳田国男の歴史社会学 続・読書空間の近代』(せりか書房、2015年)に収録されている民俗学の雑誌リストで知った。(注1) この雑誌は『日本民俗学大系』第11巻(地方別調査研究)(平凡社、1958年)の森口多里「岩手県」でも紹介されている。以下に引用する。 この雑誌は以下の記事で紹介したい橘正一の『民間信仰』(『化け物研究』)と同様に第1号で終わ

          1号で終わった雑誌『遠野』について

          佐渡の郷土史家・青柳秀雄の評伝と現在の古本ネットワーク

           以下の記事で紹介した北見継仁さん『知られざる佐渡の郷土史家・蒐集家―青柳秀雄の生涯とその業績』(皓星社、2023年)の成立過程が日本の古本屋のメルマガで配信された。 この記事では私のことも取り上げていただいた。ありがとうございます。ここで興味深いのはこの本の成立に現在の古本愛好家のネットワークが貢献している点である。以下に引用してみたい。 青柳が戦前の古本ネットワークにつながっていたことは上記の記事で紹介したが、この本も現在の古本ネットワークにつながっており、このネット

          佐渡の郷土史家・青柳秀雄の評伝と現在の古本ネットワーク

          久しぶりに『昭和前期蒐書家リスト』を読む―柳田国男・高木敏雄の『郷土研究』のある投稿者について

           あまり情報がなくて困った時に目を通す本のひとつにトム・リバーフィールド様編・書物蔵様監修『昭和前期蒐書家リスト 趣味人・在野研究者・学者4500人』(2019年)がある。この本の有益性については、拙noteで以下のように度々紹介している。  最近、柳田国男・高木敏雄が編集していた雑誌『郷土研究』に三浦魯一という人物が度々投稿しており、この人物について気になっていた。三浦のことは大分県のお寺の住職であったこと以外よく分からなかったので、『昭和前期蒐書家リスト』を調べてみたが

          久しぶりに『昭和前期蒐書家リスト』を読む―柳田国男・高木敏雄の『郷土研究』のある投稿者について

          木村哲也さん編『内にある声と遠い声—鶴見俊輔ハンセン病論集』についてのメモ③―鶴見俊輔の人物紹介

           以下の記事で木村哲也さん編『内にある声と遠い声—鶴見俊輔ハンセン病論集』(青土社、2024年)を紹介したが、この本の中には「「むすびの家」の人びと」が収録されている。この文章は鶴見俊輔がハンセン病に関わった人物を紹介したものであるが、この鶴見の人物紹介が興味深い。例として以下に小笠原登の紹介を紹介したい。  上記で興味深いのは、ハンセン病の治療に深く関わった登の兄が幸徳秋水を通してアナーキズムに影響を受けてその影響は登にも伝わっているということが指摘されている点である。こ

          木村哲也さん編『内にある声と遠い声—鶴見俊輔ハンセン病論集』についてのメモ③―鶴見俊輔の人物紹介

          趣味誌『片言』第6号について

           以下の記事で加藤武が編集した趣味誌『片言』を紹介してきたが、今回はこの雑誌の第6号を紹介したい。これまで紹介したものと同じく架蔵の雑誌は宮崎の民俗学研究者・日野巌の旧蔵資料である。 大きさ:約11.8cm×約16.8cm、謄写版印刷、和装本 印刷:昭和7年2月17日 発行:昭和7年2月20日 編集兼発行人:加藤武 東京市牛込区早稲田南三三 印刷所:小倉金城堂 東京牛込早稲田鶴巻町二八六 頁数:49頁 旧暦の春 木村弦三 高松の羽根つき唄 加藤増夫 ポッペンの話 人魚洞主

          趣味誌『片言』第6号について