見出し画像

これってセミオーダースーツだったのか!(感想おかわり、2杯めっ!)

2024年1月25日に浅岡雄也さんがシングルを発売されました。おめでとうございます!

試聴はこちらからできます。


購入はこちらからできます。


感想を2回も書いたが、このシングルは3曲入り。読み飽きたのにまだ書くんかい!という突っ込みがあるかと思いますが、書きたいものは書きたいのです!
では2曲目の感想です。

歌詞は歌詞カードから引用する。

「夜の海を歩きながら君のことを考えてる」

 作詞 岡部真理子 作曲編曲 馬場一嘉

元々、馬場一嘉さんが99年にAnything to Order?名義でリリースしたアルバムの中の1曲。
以下、勝手に馬場盤と命名する。

浅岡さんが気に入って数十年越しに待望のカバーとなった。以下、勝手に浅岡盤と命名する。

どうしても原曲と比べる感じになってしまうのはカバー曲の宿命、ということでご容赦いただきたい。どちらも良いんですよ!優劣を付ける気は毛頭ありませぬ故、誤解なさらぬよう。

馬場盤はラジオのチャンネルを合わせるような音から始まるが、浅岡盤には入っていない。
馬場さんの歌声を、ギター、ドラム、鍵盤の大きな音が囲んでいる。特徴的なハープのようなキラキラした音が要所要所に入る。

あの涙は どういう意味なんだろう

馬場さんは「ゆう」で歌っていて、
浅岡さんは「いう」で歌っている。

馬場さんは口語的、浅岡さんは文語的な表現だなーと勝手に分類。発音の癖もあると思うが。

「ゆ」だとサラっと聞き流すが、「い」だとはっきり届く感じ。これはお二人の声質の違いにもなっていて、そこが面白いな。
個人的には「い」で発音する方が好き。

1回目の感想にも書いたが、浅岡さんの歌い方で濁音に「ラ行」が混ざる発音になるのが好きです。「ただ歩きながら」の「だ」がそれです。馬場さんは「だ」と歌っていて、発声方法の違いなのか、歌い方の癖なのか、無意識なのか。

馬場盤は全体的に声が柔らかくて細い。繊細で歌声が揺らぐ感じなのだ。
波線のイメージ(〜←これね)。

対する浅岡盤は全体的に声が真っ直ぐで太い。芯が通っているので揺らがない。
直線のイメージ(ー←これね)。

曲線と直線は重ならない。
しかし、お二人の声の曲線と直線が重なると、非常に美しいハーモニーになる。直線と曲線の重ならないはみ出した部分がハーモニーになっているのかなと素人は思う。ライブでのお二人の美しいハーモニーはお馴染みだ。
浅岡盤では馬場さんがコーラスも担当している。


このシングルは伴奏のみ、ボーカルのみの音源も入っている。

ボーカルのみは、声が真っ直ぐ耳に刺さる。
曲と同じ音量で聞いているのに、ボーカルのみになると声の大きさがダイレクトに響いて来て、声でかっ!何なら耳いたっ!と思うので、若干音量を落とすのはココだけの話です。
さすがに曲になるとボーカルのみ音源と同じ声の大きさではなく、エフェクトがかかっていて少し柔らかく響く。

でも、この声の響き方と大きさなら、ベースが
がっつり入ってきても負けないよなあ。
馬場盤はドラムが前面に来るが、浅岡盤はベースがものすごく前面に出てくるのだ(低音も好きなので嬉しい)。更に、馬場盤では入っていた鍵盤は控え目で、代わりに浅岡盤にはストリングスがたくさん入っている。

新たに馬場さんにオケを作ってもらった、と発売前に語っていたが、この音の重なりというか重さというか音数の多さは、浅岡さんのボーカルの強さに合わせたものなのでは。

イントロのラジオのような音がないのも、力強いギターと低音の鍵盤から直接歌に入った方が、より歌声が直球で届くから、とか?
いきなり曲に入らずに馬場盤のように、これから舞台の幕を開けますよ、という感じでちょこっと遊び心のある演出の曲も好きです。

ドラムが全体に入るタイミングが馬場盤より浅岡盤は少し早い。歌に入るタイミングを示しているのか。

馬場さん、凄い…。ご自身の曲だからいろいろと調整しやすい、というのもあると思うが、お二人の長年の付き合いでいろいろ分かっているからこそ、よりボーカルを活かす音を創り出せるのだな。


あ、そうか、セミオーダースーツみたいなものか、浅岡盤は。

普段浅岡さんが作る曲は、全て自分に合わせて作るフルオーダースーツ。デザインから生地からボタンから裏地から、全部自分好みに作ることができる。歌詞とか曲とか誰に弾いてもらうか、全部決める事ができるので、完璧にフィットする。

セミオーダースーツは決まった型の中から自分に合わせて袖や裾の丈などを多少修正して作るスーツ。完璧にフィットはしないが、既製品よりは自分に合うものができる。
馬場盤という型が最初からあり、オケは浅岡さんの声に合わせて作るが、歌詞や曲の根本的な部分は変更しない。そこは浅岡さんが多少窮屈でも曲に合わせる。
お、なんか上手い例えができた。
自画自賛、大事。


浅岡さんがこの曲を大変気に入ってカバーに至った、と発売前のライブで話してくれた。でも理由は特に言っていなかったような。
曲全体の他に馬場さんのボーカルが良いから、という理由もありそう。

やっぱり曲線なんだな、馬場さんの歌声って。
歌いだし「気がつけば 歩きつづけていた」の「気がつけば」は音が上下していてこれ自体が揺れている。更に歌声に揺れがあって、難しいと思う。
揺れって具体的に何のことだろう、と思うが上手く説明ができない。筆者の感覚的なもので、不安定な余韻と言ったら良いのか…多分、楽譜には現れない声の響きとか、成分的な何か、かな。
浅岡さんにはない成分だ。
って断定するが、浅岡さんは直線で曲がる余地がないので揺れがないのだ。
この直線具合が好きなのです。

直線の浅岡さんが曲線の馬場さんの曲に挑戦している。直線を曲げるのも、曲線を真っ直ぐにするのも、両方とも技術がいるから難しい。

今回は浅岡さんが馬場さんの曲をカバーしたけど、反対に馬場さんが浅岡さんの曲をカバーするなら、何を選ぶのだろう。


伴奏のみ、ボーカルのみのトラックが入っているからこそ、あれこれ考察できちゃうのが面白いなあ。あれ?もしかして、それぞれのトラックの楽しみ方って、コレジャナイのか…?まあいいや。楽しみ方は人それぞれだ。