見出し画像

「ポスト・ビートルズ&グラム」が70sの「隠れ王道」である理由

どうも。

昨日は悲しい話をしましたけど、今日は本来する話をしましょう。

おかげさまで、

今、このブログのトップに置いてる記事、この第6章、これ前以上に読まれているようです。

この章は、5年前に最初に出した時も、僕はすごく自信があって、音楽的にも大好きなところなんですけど、自画自賛みたいに聞こえてしまったらごめんなさいなんですけど、ここでのお話の進め方のアレンジ、かなり独自で個人的にすごく好きなのです。

それは

画像1

70sを「ウイングスとグラムロック」を主眼において話を進めるものってないじゃないですか。それ故にです。

やっぱりイメージとして、「70sの音楽」を主張したがる人って、ロックだと「ハードロック/プログレ」や「ウエストコーストにAOR」、あと「ソウル・ミュージック」じゃないですか。でも、そうすることによって、「実際にホットチャートで本当に流行ってた曲」というのが身すぎされてきていたような気がするんですよね。

だって、ポール・マッカートニーのウィングスって、70sで一番売れたバンドですよ。全米ナンバーワンだって5曲あるし、日本のラジオのヒットパレードでも、「出せば1位」みたいな状況が当たり前でした。批評の不当な悪さがその印象を長いこと、搔き消してました。それがサー・ポール自身の、70歳超えても元気なアーティスト像を見せつけられるたびに、再評価が進んだことで、また、この当時の話がしやすくなったこと。これはすごくあります。

実際、まだ解散しても、ビートルズってかなり愛されているバンドでしたから、この当時にビートルズの影響残っててもある意味当たり前なんですよね。

僕がこのあたりのラズベリーズ、トッド・ラングレン、ELOあたりが無類に好き、というのもあるんですけど、もう明らかにビートルズ・チルドレンでしょ?「パワー・ポップ」という分類もできるんですけど、そういうの超えて広義に「ポスト・ビートルズ」。今でも耳にする機会、少なくないです。

この「ポスト・ビートルズ」のバンドたちの場合、肝となるのは甘美な短時間ポップ・ロックですけど、それって実はグラムロックも同じなんです。

グラムといえば”デヴィッド・ボウイ”。彼の今日に残してくれた足跡のおかげでグラムもかなり振り返られやすくなったんですけど、当時のチャート賑わせたのはボウイだけではありません。”グラムの時代のポップスター”という観点で言うならTレックスの方が少なくとも最初の方は人気あったし、スウィート、スレイド、モット・ザ・フープルといったあたりもヒット出してました。

とりわけ「モット・ザ・フープルの前座のバンド」といえばクイーンだし、このポスト・ビートルズ&グラムの路線って

画像2

上の連載の第6章でも触れた、クイーン、KISS、エアロスミスの御三家、プラスのチープ・トリックの四天王。これにまんま直結するんですよ!¥

全部、短時間でリフ中心で、ポップで華やかで、耳馴染みな曲ばかりでしょ?実際にみんな当時に人気あった曲だし、曲によっては今でもすごく人気だし。こういうのをヘタにジャンルでくくると、ザルみたいに漏れてしまいかねないんです。

そして、この感覚って、日本でも実はそうで

画像3

日本だって、70s前半から半ばででロックで一般的な人気あったアーティストって、ジュリーとかキャロルとか、チューリップだったわけで。思いっきり、ポスト・ビートルズじゃないですか。そしてジュリーに至ってはグラムっぽいでしょ?

ジュリーの有名なB面曲に「気になるお前」という名ロックンロールがあるんですけど、これなんて、映像からして、この上の諸々の動画と比べて、違和感ないですよね。

また、イギリスでグラム当たってる頃にキャロルが日本で「ロックンロール回帰路線」で、シンプルな3コードで出てきた。これ、「社会から外れた人たちの気持ち引きつけた」という意味では、イギリスで言う、この後のロンドン・パンクにも近い意味合いもあったりして。その意味ですごく面白いんですよね。永ちゃん、それに気づかずにAOR行っちゃうんですけど。

そして、2015年に上の連載のオリジナル書いた時から個人的にものすごく評価が上がってるのがチューリップなんですよ。どうも、今まで語られてきてる「心の旅」とか「サボテンの花」とかでフォークの人たちと勘違いされていう側面があるんですが、日本最初の優秀なビートル・フォロワーです。中後期のハーモニー・ワークとポップ・メロディもそうだし、ギター・ロックさせてもかなりカッコいいです。ギタリストの安部俊幸、この時代のトップ・ギタリストの一人ですからね。

実際、この1974年のアルバム「Take Off(離陸)」。これ、日本のパワー・ポップ最高の名盤ですよ。日本だとサブスクにもあるようですけど。これ、ソウル・フラワー・ユニオンの中川敬とか、カーネーションの直枝政広といった、マニア筋のミュージシャンからも評価されてるアルバムみたいですね。チューリップは、この後、1975年くらいまでのアルバムはどれもいいし、メンバー・チェンジが起こる前の70sいっぱいだったら、冴えてる曲は多いです。

実際、5年くらい前ですけど、70sの日本の、後の見方だとパワーポップに分類できるバンドのコンピまで出てるくらいですからね。こういうの見てると、「ああ、日本のレコード会社って、この当時、第2のチューリップとかキャロルを探しに行ってたんだな」というのが垣間見れて面白いです。

あと、今回の連載、「日本のアイドル」も含めることができて、僕的にはそこも嬉しくてね。これは2015年のヴァージョンではできなかったことなんで。

こういう感じって、70sの邦楽ロックの文脈を、はっぴいえんどでガチガチに固めすぎると漏れてしまう視点です。はっぴいえんど、大好きですけど、日本の邦ロック文壇のはっぴいえんど、URC至上主義、あれは個人的には辟易してます。

あと、今回の連載、気に入ってるのは、5年前のヴァージョンで入れてなかった、「日本のアイドル」を入れられたことですね。あの当時の日本のアイドルポップス、バブルガム・ポップとしての完成度が高いし、そしてこの当時の日本のアイドルのファッション、グラムっぽくて好きなんですよ。

画像4

こういう感じとか

画像5

こういう感じですね。

そんなこんなで、すごく気に入ってる第6章、ぜひ読んでほしいです。

あと、次回の第7章ですが、志村けんのこと、入れようと思えば入れられる回です。どういう文脈かはわかっていただけるかとも思いますが、お楽しみに。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?