見出し画像

金沢大学にて特別講義「キャリアデザインコーチング」を実施しました!【講義レポート】

働き方、生き方が多様化する現代。

就職だけでなく、転職や起業、副業も以前よりも身近なものとなり、誰とどこで働き、どんなキャリアを築いていくかは、一人ひとりの選択に委ねられる時代となりました。

自分らしいキャリアを歩むためには、自分自身の願いや価値観に気づいた上で、それを他者に伝え対話をし、共に生きていく力が必要であるとTHE COACHは考えています。

特に未来への不安とワクワク感が入り混じる大学時代は、社会に出ていく前に“自分らしさ”を見つける大切な時間です。そんな背景から、THE COACHは金沢大学と連携し学生に向けた特別講義「キャリアデザインコーチング」を実施しました。

「こんな温かい授業はない」
「これだけ多くの人と対話した授業は初めて」

約2ヶ月間、共に学習した20名の学生たちの多くからこんな声が届きました。

今回のnoteでは、特別講義「キャリアデザインコーチング」を受講した学生たちの声を中心に、授業の様子を振り返ります。

※未成年へのコーチングを安心安全に提供するために、THE COACHの職業倫理基準に基づいて提供しています。


好奇心を開放し主体的な学びへ。特別講義「キャリアデザインコーチング」とは?

今回の特別講義「キャリアデザインコーチング」は、金沢大学が展開する地方創生人材教育プログラム「ENGINE」の取り組みの一環として開講されました。

「ENGINE」とは、文部科学省の「大学による地方創生人材教育プログラム構築事業」であり、金沢大学・信州大学・富山大学の三大学の連携のもと実施されているプログラムです。

文部科学省が平成29年に改訂した「新しい学習指導要領」には、育成すべき資質・能力の中に「学びに向かう力、人間性など」という項目があります。つまり、学びを自身の人生や地域、社会に活かすための主体性や意欲そのものが「学力」の1つとして定義されました。

コーチングを学ぶことは「自分のいまの関心や感情はどこに向いているのか」「自分はこれから社会や世界とどう繋がり、どんな人生を送りたいか」に向き合うプロセスそのもの。本来持っていた好奇心が開放され、主体的な学びに向かいやすくなるのではないか、という期待のもと「キャリアデザインコーチング」の開講に至りました。

▼連携の詳しい内容はこちら


「“悩み”は人生において重要なピースになる」受講後の学生たちの声


本講義は、オンラインコーチングスクール「THE COACH ICP」で提供している「基礎コース」の内容に沿ったものです。コーチングの基本となるあり方やスキルを学び、実践やワークを通して、自己と向き合い、自己受容を高めていくことを目指したプログラムです。

講義内や宿題ではコーチ役、クライアント役それぞれの立場で、練習セッションを複数回体験してもらいました。

「キャリアデザインコーチング」の講義内容。基本はオンライン授業ですが、最初のオリエンテーション、最後の学びの統合は対面で実施しました。

約3ヶ月間、共に学習した20名の学生たちのほとんどが、感情や心の内面に目を向けたことで自己理解が深まり、気づきと行動が生まれる「聞く力」の重要性を感じたと回答しました。

学生からの講義の感想を抜粋してお届けします。

⚫️隠れていた自分の本心に気づいた

「自分がクライアントの際、『最近部活のモチベーションが下がっているため、違うスポーツに挑戦してみたい』という話を始めました。しかし、最後は違うスポーツに挑戦することが大事なのではなく、人との密な関わりを大事にしていることに気がつきました。

中高時代よりも人間関係が希薄になっていたからこそ、今やっているスポーツが大好きなのにもかかわらず、スポーツを変えたいと思ってしまっていたことに気づかされ、この瞬間、体が熱くなり、話しているうちに涙まで出そうになりました。これまで隠れていた自分の本心を知ることができ、とてもいい時間でした。

⚫️“悩み”は人生において重要なピースになる

「多くの悩みが見方によってわくわくするものに変わったり、人生において重要なピースになったりすることがわかった」
「自分はどちらかというと悩みを解決しないで生活をするタイプでしたが、悩みにこそ自分の新たな可能性のきっかけになるようなものがあるのではないかと思いました。今後も、悩みができたときには自分自身にコーチングしてみたいと思います」

⚫️ひとつの感情にもいろんな色がある

「講義の中で最も心が動いた瞬間は、比喩表現を使ったペアワークです。「不安」など一単語で表すのではなく、不安を青や茶色などの色で表すと、その不安の要因までもが見えてきてすごく深いセッションになりました

⚫️今ここから2人で時間をつくることの喜び

「比喩や身体表現の表現を使ってみると、コーチングはクライアントと一緒に音色を奏でることだと実感でき、達成感と楽しさを感じました。この瞬間がこれまでの講義を通して1番心が動かされた瞬間でした」

⚫️コーチングは自分の価値観の芯を太くする

「他者の価値観や自分の感情に惑わされないために、自分の価値観の芯を太く持つ必要があります。そのためにも自分を見つめる機会であるコーチングを今後も定期的に受けたいです」

「コーチングは、クライアントに対してアドバイスをしないので、最初はちゃんと効果があるのかと疑っていたところがありました。しかし、コーチングを通して得られるものは、もっと奥深いところにあって、一つの物事に対してだけでなく、その人のこれからの生き方や考え方全体に活かすことができるものだと感じた」

大学時代は、さまざまなことを学んだり挑戦したり、いろんな人に出会う期間です。多様な価値観に触れる機会が多いぶん「自分が大切にしたいことはなんなのか」「自分はいま何を感じているのか」がわからなくなり、時には一人で悩みを抱え込んでしまうこともあるかもしれません。

今回の講義は、“悩み”は自分のことをよく知るための重要なリソース(源泉)であることに気づき、そして自分もクライアントも自らの力で気づき行動できる存在であることを実感する機会となったようです。


社会に出る一歩手前の大学時代に、自分や相手と向き合う時間を

最後に、学生たちと共に探求した担当講師の2人からのコメントを紹介します。

⚫️石榑まり THE COACH 講師 

今回の講義「キャリアデザインコーチング」は実践が中心でした。まさにスポーツのように、仲間とともにコーチングを学んでもらえたのかなと感じています。コーチングに限らず、仲間と探究していく楽しさに気づいてもらえていたら嬉しいです。

最も印象に残ったのは、学生たちが回を重ねるごとにぐんぐんコーチングスキルを習得していき、好奇心を持ってクライアントの話を聞く、コーチの佇まいへ変化していったことです。

また、講義を通して学生自身の内面についても気づきがあったのではと思います。悩んでいたことが視点を変えることで違う捉え方に変化したり、自分にとって大事なピースだと気づいたという声もありました。

評価判断されずに、ただ話を聴いてもらえる場があること、「ここにいていいんだ」と思える時間があること。社会に出る一歩手前にいる大学生にとっては、それが自分を知って自分とよりよく付き合っていくうえでの土台になるのではと思います。

⚫️仁志出 憲聖 金沢大学 地方創生人材教育プログラムコーディネーター

「人生におけるコミュニケーションの方法が増えた」という感想が出ましたが、単に手法を身につけたというより、感覚が1つ増えたようなイメージが伝わってきました。

また、受講生の大半が「こんな温かい授業はない」「これだけ多くの人と対話した授業は初めて」「本当に受講して良かった」と話してくれました。
安全安心な場で、人の感情や価値観、願いに目を向けながら、可能性を全力で信じきって、話を聞く実践。そして、自身と深く向き合う機会。大学で世界が急に拡がり、これから未知なる社会に飛び出す大学生は、価値観が揺さぶられる時期であるため、人や自身と向き合う機会・マインド・スキルが必要なのではないかと考えます。

全国の大学でコーチングの授業を本格的に導入しているところは数少ないと思いますが、自ら考え行動する人を求める社会、Well-beingを重要視する社会である今、コーチングが果たす役割が拡大していくのではと思います。

コーチングの学びを仲間と共にすることは、受講生同士の関係性を育むという副次的な効果があるとTHE COACHは考えています。

コーチングを学ぶことで自分の想いを整理し、言語化する力を身につけた学生が今度は他の学生のサポートを行う。今回の講義が、本人たちのキャリアデザインに活かされるほか、そういった学生同士の“横のつながり”を育てるきっかけにもなってくれたら嬉しいです。

引き続きTHE COACHでは「教育×コーチング」の可能性を探求していきます。ご興味のある方は、ぜひこちらもご覧ください。