楠隼共学化に関して【TheNansyunTruth 番外編】

本日、報道各社より楠隼内部および卒業生から、反対意見が上がっており、それを知事へ伝えたという旨の報道がなされました。

しかし、SNSを見ていると、これに対し懐疑の念を持たれている方が多くいらっしゃるようでした。

そこで、楠隼生とその保護者、および卒業生がなぜ反対しているのかを、詳しくまとめたいと思います。長文となりますが、最後までお読みいただけますと幸いです。

なぜ反対しているのか?

なぜ共学化と通学生の受け入れに反対しているのか?
これには複数の理由があります。
それぞれ、細かくご説明いたします。

① 男子校、全寮制だから育めるとても濃い友情がある

こちらのツイートに書かれている通り、確かに男子校だから、全寮制だからできる教育って何?
と思われる方も多いかもしれません。

お答えします。「友情」です。
「抽象的」な答えですが、しっかりとした根拠もあります。

まず、ご存じの通り、「全寮制」の楠隼は、当然ながら、食事、風呂などを含めたすべての生活活動を帰省期間を除き、同じ楠隼寮で行います。

このこと自体、まずほかの学校にはない特徴です。
そして、この環境だからこそ生まれている強い友情があります。

現に、昨年卒業された先輩方には、東京に、新潟から楠隼の友達に会いに行った方がいたそうです。
また、大学でシェアハウスをする案も出たそうです。(実行には至らなかったそうですが。)

楠隼は全寮制で、かつ周りが何もないド田舎だからこそ、楠隼の中の人間関係が中学・高校生活で育むことができる友情のすべてなのです。
そのため、必然と、その友情の濃度も上がることはご理解いただけるのではないでしょうか?

そこに女子を入れるとどうなるか。
まず間違いなく、男女間に多少なりとも溝が発生するはずです。
そもそも、同じ寮に入れることができない以上、現在の男だけの環境よりは同じ環境で生活する時間は格段に減ります。

通学生の受け入れをすれば、それ以上に時間が減り、友情の「濃度」が減ることは想像に難くないと思います。

② 楠隼の共学化だけが手段ではない

友情の点にご理解いただけなくとも、この点にはご理解いただけると思います。

楠隼は確かに、全国的に見ても希少な、中高一貫の男子校です。

塩田知事は共学化の方針を提示した際、
楠隼の特色ある魅力的な教育を受けられるようにするため女子生徒や自宅などからの通学を希望する生徒を受け入れることとしたい
と言いました。

確かに、楠隼には、シリーズ宇宙学やトップリーダー教室など、特色ある教育があります。

しかし、同じく鹿児島県立である野田女子高校HPには、トップページに
生活文化科・食物科・衛生看護科・専攻科(衛生看護科)
特色ある学科を設置しています。
」と、特色ある教育を謡っています。

また、近隣の鹿屋市にも、鹿屋市立ではありますが鹿屋女子高校もあります。

女子に楠隼と同じような特色ある教育を受けさせたいのであれば、同じように特色ある教育を備えた女子校を新設すればいい話です。

鹿屋にも女子高があり、また、出水市に野田女子高校がある以上、楠隼だけがやり玉にあがる理由が理解できないのです。

③ 特色がありすぎるゆえに、女子の入学者がそれほど多いとは思えない

これは見出しがすべてです。
楠隼は特色が多いゆえに、それをターゲットとする層も少なくなっています。
実際、宇宙にまったく興味がない人にとっては、楠隼はそれほど魅力的な学校には感じないはずです。

また、「類は友を呼ぶ」という言葉がある通り、楠隼は変な奴の集まりです。

校庭でロケット飛ばしてみたり、虫集めに友人と町内を駆け回ってみたり、自転車で鹿屋(近隣市町)まで遊びに行ったり・・・

男だから、とは言いませんが、宇宙やロケットは男性が興味を持ちやすい分野ではないかと思います。
実際、JAXA職員の男女比は80パーセントが男性となる(https://www.jaxa.jp/about/org/index_j.html)など、男性が多い状況が存在しています。
この状態の是非は別にして、男性が多くなってしまう状況が存在している以上、女子に門戸を開いたところで女子生徒がさほど多く入ってくる状況は見込めないのではないかと思います。
寮がないのならまだいいのですが、どこまでの人数が入るか不透明な状況で、寮を改築または増築する意味はあるのか疑問です。
また、女子は通学生のみを受け入れるとしたとき、大隅半島内で宇宙を求めて入学してくる女子生徒はさほど多くないように考えます。
看護や調理などの分野の学校が女子生徒が多いように、宇宙に特化した学校は男子生徒が多くなっても仕方ないことでは?と思います。

④そもそも元男子校に女子が来るのか?

楠隼は男子校である以上、汗臭さや泥臭さが強いのは否めません。
ましてや寮がありますのでなおさらです。

在校生がいる途中から女子を入れるとなると、上級生はいまの楠隼のような状態になっていることが考えられますので、女子を子供に持つ親がどれほど楠隼に女子を入れたいと思うか。
もし私が同じ状況であれば、別の学校を進めるのではないかと思います。

⑤説明があまりにも不十分

今回の共学化・全寮制廃止の6/14に発表された方針について、生徒はもちろん、教職員、ひいては校長まで6/14朝を迎えるまで発表されることを知りませんでした
PTAの一部には説明があったそうですが、生徒には全くの音沙汰がなく、まったくの説明がないまま県議会で表明ということになり、困惑を通り越して憤怒しています。

報道について

①高校入学者の減少・定員割れについて

報道で、しばしば楠隼の高校入学者が少ないことを挙げるメディアがおられます。
しかし、中学校の倍率は一定をキープしており、定員割れをしたことはありません。
これは、楠隼に高校から編入するメリットがそこまで大きくないからだと私は考えています。
詳しくは過去に記事を書いていますので、そちらをご覧いただきたいのですが、簡潔にまとめると
①友人関係が出来上がっているところに飛び込んでいくのは厳しい
②先取り学習がすすんでおり、学習も厳しい
③カリキュラムのいくつかは6年前提であり、3年間だけいる意味がない
点が考えられます。

②アンケートと称されているものについて

一部報道機関で、楠隼で行われたアンケートにおいて、生徒のほとんどが回答を拒否したかのような報道がなされています。
しかし、これらの報道がアンケートと称しているものは、
自由記述式のアンケートであり、選択式のアンケートではありません。
どういうことかというと、このアンケートは「共学化について何か意見があれば書いて送ってください」という指示がなされており、生徒の明確な賛成・反対を集計できるものでは到底ないということです。
生徒の共学化への賛成・反対への意見は、選択式アンケートが令和3年に行われており、報道で生徒の思いとして出すべきはこちらのアンケートです。
実際、選択式アンケートの結果(http://www.pref.kagoshima.jp/ba05/nannsyunn/documents/86461_20210225151757-1.pdf)は賛成が20.1%、反対が58.1%、どちらでもよいが21.6%となっており、報道のデータとは大きく異なっています。

なお、現在生徒へ保護者や同窓会がアンケートを行っており、結果が数週間以内に出される予定です。


まとめ

楠隼の共学化は、生活している我々からしても疑問点が多いのにも関わらず、県知事や教育委員会からの一切の説明がなく、知事も楠隼の現状を十分に理解しているとも思えない上に、報道も現実とは違う偏向報道をされており、納得できる点があまりにもないため、我々は共学化に反対しています。

すこしでもご理解いただけますと幸いです。

また、その他ご質問はこの記事の感想またはTwitterのダイレクトメールにお送りください。

それではまた次回のTheNansyunTruthでお会いしましょう。



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