情報の非対称性
「グルテンフリーのクッキーって米粉のクッキーなのか」
常連さんからいただいたグルテンフリーのクッキーの成分表示を見て、つい口にでた。
『グルテンフリークッキー』か『米粉のクッキー』か。
厳密には違うのかもしれないけど、どちらかの名前を付けるとしたら、グルテンフリーを選ぶと思う。
「タウリン1000mgを1gって言わないのってどうなんだろね」
昔、こんな話をしたのを思い出した。
より大きく、より耳障りの良い言葉を選ぶ。
何も間違ってないし、商品を売る為に知恵を絞った証だとも思う。
コーヒーでは。
「アラビカ種のコーヒー豆のみを使っています」
こんな謳い文句がある。
アラビカ種とロブスタ種。
コーヒー豆は大きく分けるとこの二種類があり、雑に言うと品質の高いほうがアラビカ種だ。
だから、アラビカ種のみをという謳い文句が出てくる。
でも、全体の収穫量で言うと、約6割がアラビカ種で約4割がロブスタ種だ。
さらに言うと、スターバックスも、セブンイレブンも、なんなら、ほとんどのコーヒー屋さんがアラビカ種のみを使用している。
ようするに、珍しくない。
この仕事をしている人からすると、言うまでもない事。
でも、声高に叫ぶ。
「アラビカ種100%使用」と。
言葉一つで消費者は有難がり、言葉一つで付加価値を感じる。
嘘をついてる訳ではない。
ただ、情報の非対称性があるだけだ。
うちのラテも、もっと言うべきなのかな。
毎日限定生産の高品質な東京牛乳を使用。
この牛乳の特徴を最大限に引き出すよう、コーヒー鑑定士の国際資格であるQグレーダーを持つ宮崎貴雄さんと共に、エスプレッソブレンドを開発。
職人の技と情熱が注がれた、最上級のエスプレッソマシン『LA MARZOCCO』を使用し、一杯づつ丁寧に抽出。
これらが合わさり、出来上がるのが当店のシグネチャー。
『トウキョウラテ』
いや、書いてて恥ずかしい。
大層なものに感じてしまう。
もっと気軽に、もっと手軽に。
そんなドリンクを目指しているのに。
というか、これは情報の非対称性を利用してる訳ではないな。
ドリンクが出てくる間に読むような、ご飯屋さんの壁に貼られてるような言葉だ。
情報の非対称性を使った付加価値の付け方ね。
なんだろう、思い浮かばない。
多分あれだ、あまり好きじゃないんだろうな。
なんでかって、ただの性格。
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