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【こころ #19】LDって何ですか?ASDって何ですか?

鬱ノ宮 シアンさん(前編)


 鬱ノ宮シアンさんは、発達障害とうつ病の診断を受けている。

 しかしだ。鬱ノ宮シアンさんとお話しして、『障害の社会モデル』という考え方を痛切に考えさせられた。『障害の社会モデル』とは、“障害は人ではなく社会の側にある”と捉えて、そのために社会が作り出した社会的障壁を取り除くことが大事だとする考え方を指す。


 「聞く」「話す」「読む」「書く」「計算・推論する」。そのすべてに“不得手ではない”と断言できる人はどれほどいるだろうか。全般的な知的発達に遅れがないものの、それらの能力に困難が生じる発達障害を『LD(Learning Disability、学習障害)』と呼ぶらしい。

 鬱ノ宮シアンさんは、分厚いハリーポッターの書籍を一日で容易に読破し、国語の成績もよく、「読む」能力に長けている。でも、漢字を「書く」能力については「(親や周囲の期待と比べると)壊滅的にできない」。努力すればできるが、そこにかなりの苦痛を伴うそうだ。

 私自身はどうか。字は汚いが漢字を「書く」能力はある。しかし、かつて「筆者の気持ちを選びなさい」と問いかけるセンター試験の国語の文章を「読む」ことができず、壊滅的な点数を取った。鬱ノ宮シアンさんは『LD』で、筆者はその診断を受けていない。


 「対人関係や社会的なやりとりの障害」「こだわり行動」という2つの基本特性がある発達障害を『ASD(Autism Spectrum Disorder、自閉スペクトラム症)』と呼ぶらしい。

 鬱ノ宮シアンさんは「人の意見にあまり左右されず、友達がいなくて一人でも平気」。コミュニケーションを取れば「無駄に喋っちゃう。喋りすぎてウザがられる経験をしたから、今度は極端にまとめてしまって言葉を誤解される」らしい。でも、そんなクラスメイト、誰しも周りに一人ぐらいいなかっただろうか?

 「ちょっと人と違うぐらいで問題ないと思っていた」自分に対して、親が「問題があるかもしれない」と知らないところで学校に相談していたことに「衝撃を受けた」。そして、「そこから障害があると思って生きてきた」。
 漢字を「書く」こと以外の成績は良く、周囲と同調して遊ぶことよりも「読む」ことに没頭していた少女は障害だろうか?病気だろうか?


後編に続く)





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