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売文ー詩、短編、詩小説、ブコウスキー翻訳

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  • 狂った足音に引き裂かれた夜

    the night with mad footsteps Charles Bukowski

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『詩 ロクデナシの1人』

寡作だがそこそこイイ詩を書くカビ 素敵な1軒家に住むカビ 年に数回ガールフレンドに会うために南国へ出かけるカビ ロクデモナイ詩人たちの中では生活にゆとりがあるカビ 数万円はするTシャツをいつも着用し、 ピカピカの高価に見える革靴を履くカビ 髪はサーファーのようにセクシーで、 歯は天然塩を使って磨くので歯茎は乙女のピンクのカビ 「どうやってそううまくやってるんだ?」ロクデナシの詩人の1人が言う 「赤い封筒とピカピカのコインさ」カビは言う 伸びた前髪を耳にかけるカビ 鏡に映る自

    • 終わった、、、

      • 『ワインの鼓動』

        wine pulse Charles Bukowski これは午前2時に書いている詩だ タイプライターの前に座りラジオを聴きながら質のいい葉巻を吸っている よくわからないが、時々オレはヴァンゴッホやフォークナー、あるいはストラヴィンスキーにでもなったような気がすることがある ワインをすすりタイプし葉巻を吸う これほど穏やかな魔法にかかったことはない 批評家たちはオレが何度も何度も同じことを書いていると言う まあ、そういう時もあるしそうではない時もある オレがそうする理由はそ

        • 『もし闘いに敗れていれば』

          if I had a failed to make the struggle Charles Bukowski 平和もなく、慰めもなく、知恵もない 夜が来てまた夜が来る アリの群れがオレたちを連れ去りに来るようなものだ 偽りの著名人たちがのさばる世界に 逃げ道はどこにもない トースト噛みながら あるいは歯磨きをしながら 写真撮影の結果を あるいはガン検診の結果を待ちわびながら オレたちは不可能とも思えるような厳しい状況に直面することになる 耳を傾ける声もなく 受け入れる神

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        『詩 ロクデナシの1人』

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          『いったい何に向かっているのか?』

          moving toward what? Charles Bukowski 川が流れ、ブドウが潰され また夏が終わる 物質主義者たちはもはや愛する物を見つけられない 飼っている5匹の猫は家でごろごろして過ごし 激しく冷たい雨の音を聴く 秋の季節さえも過ぎ去った クリスマスとニューイヤーと言う2つの疫病がオレを懲らしめようと我慢強く待っている 女は2階のベッドルームで眠っている 女の子供のような身体は素敵な夢を求めている 川は流れ、ブドウは潰され 今の季節は悲しみをも

          『いったい何に向かっているのか?』

          『1日の終わりに競馬場の駐車場で』

          racetrack parking lot at the end of the day Charles Bukowski オレは身体の不自由なやつらや病弱なやつらが車椅子に乗せられ電動リフトに詰め込まれているのを眺めている 電動リフトはやつらを長いバスの中に入れ車椅子はそれぞれ固定され1人1人には窓が充てがわれる やつらの肌は白く、まるで薄いダンボールに淡いペンキを塗ったようだ: やつらのたいていはオイボレだ 数人の女たちに、数人の年老いた男たち、驚くことに若いやつも3人い

          『1日の終わりに競馬場の駐車場で』

          『自傷行為』

          self-inflicted wound Charles Bukowski やつはスタインベックとトマスウルフについて話しをし2人を掛け合わせたような文章を書いた オレはフィゲロア通りにあるホテルに住んでいた 近くにはバーが所狭しと並んでいる やつは郊外の小さな部屋に住んでいた オレたちは2人とも作家になろうともがいていた オレたちは市民図書館で会い、石のベンチに座り話しをする やつはオレに短編を見せた よく書けていた、 オレの短編よりもはるかに優れていた、 やつの短編には

          『自傷行為』

          『こだまするメロディー』

          melodies that echo Charles Bukowski ある日のことを思い出す 作家になろうとあがき飢え死にしそうだった頃のこと(ずいぶんむかしのことだ) そんな日に流行った歌のいくつかを今でも覚えている: “ティスケット、タスケット、小さな黄色いバスケット” “ベイビー、僕が君にあげられるのは愛だけさ。” “夕暮れときの濃い紫が眠れる庭の壁に降り注ぐとき” “わたしが愛した男” “なんでもありさ” “肉体と魂” “惚れちまったぜ!” メロディーは記憶の長

          『こだまするメロディー』

          『つかの間の恋のはじまり』

          The beginning of a brief love affair Charles Bukowski アヒルの頭のような詩 ラクダの脚 クジラの腹 ヘビの目 ヘソに刺さった矢 クモの指 ウサギの皮 氷山のように凍った醜い笑顔 きらめく白い歯がタイプライターの前に座る タイプライターはオレにニヤリと笑みを向ける 若い男が外にあるゴミ箱の蓋をバタンと閉める オレはこの詩が気に入っている 詩がオレを見上げている オレはいつも詩が好きなわけではない タイプライターに置かれた詩

          『つかの間の恋のはじまり』

          『耐えることを学ぶ』

          one learner Charles Bukowski 耐えることを学ぶことは耐えないことによって世界がひっくり返りオレたちがカス以下の存在になるからだ 耐えるということは単純に耐え抜くということであり状況が困難であればあるほど勝利の味は格別だ 人々は自由のために戦えと言う それはわかっている ただオレは自由のために日本人、イタリア人、ドイツ人あるいはロシア人とは戦わなかった オレはアメリカ人と戦ってきた:両親、学校の校庭、上司、路上にたむろする女たち、友人たち、社会

          『耐えることを学ぶ』

          『エスカレーターの女』

          girl on the escalator Charles Bukowski エスカレーターの向かって行くと 若い男と魅力的な若い女がオレの前を歩いていた 女のパンツ、ブラウスは肌にぴっちりと張りついている エスカレーターで上に向かっていくあいだ 女は片足を上の段にかけ女のケツは魅惑的な形を帯びる 若い男は周囲を見渡し心配そうにしている やつはオレに目をやりオレは目を逸らす いや、若者よ、オレは見ていない オマエの女のケツを見るつもりはない 心配するな、オレはオマエの女に

          『エスカレーターの女』

          『ジョン・ファンテとの昼下がりのちょっとした会話』

          small conversation in the afternoon with John Fante Charles Bukowski 彼は言った、「私がハリウッドで仕事をしていたときフォークナーもハリウッドで仕事をしていた、やつはうまくいっていなかった、夕暮れ前には立ち上がれないほど酔っ払い私がやつをタクシーに放り込んでやらないければならなかった、そんなことが来る日も来る日も続いた」 やつはハリウッドを去ったが私はそこに残った、私はやつのように酒を飲まなかったが私も

          『ジョン・ファンテとの昼下がりのちょっとした会話』

          『2人の作家』

          two writers Charles Bukowski 近頃、皮膚癌に悩まされていて そいつを焼き払うために医者に通っている 奇妙な待合室 芸術関係の分厚い光沢のある雑誌で溢れている 絵画、彫刻、その他もろもろ その医者に通って3度目か4度目のころ やつはオレが作家だと嗅ぎつけた やつは芸術の博士号かあるいはそんなものに取り組んでいた そしてやつはオレに膨大な量の論文を渡した 「読んでくれ、ぜひ読んでくれ、どう思うか言ってくれ」 「なあ、ドク、アンタは理解しない

          『2人の作家』

          「弔辞」

          eulogy Charles Bukowski 古い車、特に中古で買って何十年も乗り続けると 嫌でも愛着が湧くものだ: そいつが引き起こす厄介事も受け入れられるようになる: 送水ポンプの水漏れ プラグの故障 絞り弁のサビ 気化器の不調 油まみれのエンジン 時計の故障 スピードメーターの凍結 その他もろもろの欠損 そいつとの情事を続けるためのあらゆる術を学ぶ: ダッシュボードの小物入れをどれくらいの力で閉めればきちんと閉まったままになるのか、 手のひらでヘッドライトを叩き明

          「弔辞」

          ファンテ

          ファンテ

          『動物の詩』

          an animal poem Charles Bukowski オレは2匹の子ネコを飼っていてこいつらはものすごい勢いで成長する 夜中オレはこいつらと同じベッドで眠る 問題点と言えばこいつらが早起きなことだ: オレはこいつらに前足で引っかかれ鼻先で顔を擦られて目を覚ます こいつらがやることといったら走り回りメシ食い眠り暴れ回ることだけだ だがある瞬間にこいつらは落ち着き払いどんな人間の目よりも綺麗な目でオレの目を見つめる 夜遅くオレが身体を休めタイプしているとき やつら

          『動物の詩』