染司よしおか

京の地にて、絹、麻、木綿など天然の素材を、紫草の根、紅花の花びら、茜の根、刈安の葉と茎…

染司よしおか

京の地にて、絹、麻、木綿など天然の素材を、紫草の根、紅花の花びら、茜の根、刈安の葉と茎、団栗の実など、すべて自然界に存在するもので染めています。https://www.textiles-yoshioka.com/

マガジン

  • 吉岡幸雄のページ

    染司よしおか5代目 吉岡幸雄ののこした言葉をまとめています

  • 過去のプロジェクト

    過去に染司よしおかが関わったプロジェクトをご紹介します。

  • メディア掲載情報

    メディアへの掲載情報をまとめています。

  • 染司よしおかの日々

    イベント情報など、染司よしおかの最新情報をお届けします。

最近の記事

「吉岡幸雄の色百話 男達の色彩」  発売となりました。

染織史家・染司よしおか5代目 吉岡幸雄の遺作ともいうべき、 色に関する百話随想。 「吉岡幸雄の色百話 男達の色彩」が世界文化社より発売となりました。 本書はJAL会員誌『AGORA(アゴラ)』の連載「男達の色彩」100回をまとめたものです。 豊富に図版を掲載、色の教養を知り、色の文化を眼で楽しめます。歴史の表舞台で、多彩な色を纏った男達の色彩を軸に、源氏物語から戦国武将の衣裳、祇園祭から世界の染色史まで、時代と空間を超え、魅力的な色の歴史、文化を語ります。 植物染料による

    • 英国V&A博物館 吉岡幸雄作品展 「In Search of Forgotten Colours  失われた色を求めて」  2020年11月15日まで会期延長決定

      2017年、イギリスのヴィクトリア&アルバート博物館(V&A)からの依頼で吉岡幸雄が製作した永久保存用の「植物染めのシルク」が当博物館に収蔵されました。 それを記念し、当初2018年6月2日(土) 〜2019年1月までの予定で特別展示が行われていましたが、2020年11月15日 (日)まで延長されることになりました。 イベント名:英国V&A博物館 吉岡幸雄作品展「In Search of Forgotten Colours 失われた色を求めて」 会場:Victoria

      • 失われた色を求めて~植物染め・伝統100色を今の世に~(再放送)

        【放送日時】 2020年9月2日(水) 午前9:00~10:34 2020年9月3日(木) 午前0:45~2:20 NHK BSプレミアム 【タイトル】 失われた色を求めて~植物染め・伝統100色を今の世に~ 【内容】 世界に例がない豊かな日本の伝統色。染織史家・吉岡幸雄は英国の博物館から永久保存用の植物染めを依頼された。失われた材料や手法を求めて「色の世界」を旅する。 藍、紺、群青、露草…青系色だけで20以上の名称がある日本の伝統色の豊かさは、世界に例がない。千年以上

        • 柳の文様

          今回は、柳の文様に注目してみよう。いまの季節、新緑があざやかで、柳葉も身をふるったようにみずみずしい姿を各地の川畔に見せてくれていよう。そんなことを思いながら、『日本のデザイン第9巻』の柳図の屏風絵や襖絵を見ていくうちに、柳の背景にはいかにも人工物が多く描かれていることに気づかされた。桜や松竹梅の絵にはほとんどない人工物である。(物語絵巻は別) まず橋である。そして水車、舟、蛇籠である。つまり、柳橋水車図なのだ。橋の直線と柳のたおやかな曲線が画面構成の妙といえるわけだが、蒔

        「吉岡幸雄の色百話 男達の色彩」  発売となりました。

        マガジン

        • 吉岡幸雄のページ
          17本
        • 過去のプロジェクト
          8本
        • メディア掲載情報
          5本
        • 染司よしおかの日々
          14本

        記事

          映画「紫」

          工房の日常を克明に記録したドキュメンタリー映画「紫」。 この映画は、川瀬美香監督が工房の近くに住まいを借り、そこから通いながら撮られたものです。通常、撮影というと、カメラマンさん、照明さん、音声さん、ディレクターさんなど沢山のスタッフが工房に来られて撮るという印象だったのだが、監督は1人で全て撮影されました。 監督から私達に指示はなく、時折質問が入る程度で、この映画のもう一人の主人公、染師の福田さんは、途中でそれが映像の撮影である、と気付くまで、写真を撮っているのだと思っ

          ツムラ「漢方のある暮らし」吉岡更紗 紹介

          ツムラのウェブサイト「LIFE with KAMPO 漢方のある暮らし」 にて、「染司よしおか」六代目・染織家 吉岡更紗を取材して頂きました。 染料となる植物は、漢方薬と共通するものも多く、染織の仕事と漢方との関わりなどについてお話ししております。 【前編】 【後編】

          ツムラ「漢方のある暮らし」吉岡更紗 紹介

          常夏(とこなつ)

          暑い京都の夏をどのようにすごすか。これは現代だけではなく、千年以上も前の都人もそうだった。それを如実に表現しているのが『源氏物語』の「常夏」の帖である。平安時代の寝殿造りの屋敷のなかには池が造られ、小川が流れていた。そこに釣殿という池に張り出した殿舎があった。 この帖は、光源氏が「いと暑き日、東の釣殿に出でたまひて涼みたまふ」という書き出しで始まっている。息子の夕霧や親しい殿上人たちと、西川 (今の桂川) の鮎を取り寄せて、宴会をしている場面である。 京都では、今は5月か

          常夏(とこなつ)

          朱華(はねず)の色

          私の染工房の庭にザクロの花が咲いている。新緑の小さな葉のかさなりのなかに、鮮やかな黄味のかかった赤色に、通りかかる人も眼をうばわれるのか、立ち止まっては眺めていく。今年は、例年より早く咲いて、もう散りかけのものもある。そのあとには、これも花と同じような鮮烈な色の小さな実がなっている。 ザクロは中近東からインドにかけてが原産の植物でシルクロードを東進して、中国を経て日本へもたらされた。これほどどこの自然風土にも生育する丈夫な樹も珍しいといわれている。 遠く奈良時代、天武天皇

          朱華(はねず)の色

          【過去のワークショップ】奈良文化財研究所「親子のための古代体験-植物で美しい色を染めよう」

          奈良文化財研究所で育てられた蓼藍(たであい)を収穫し、その葉を使って絹のストールを染めるというワークショップを行ないました。 当日20人の子供たちが、藍を収穫し、その葉っぱをちぎり、酢水の中ででもむ事約1時間。一生懸命もんだおかげでそれは美しく、澄んだ、この日の青空のような水色に染まりました。 古代から続く染め方を、子どもたちは純粋な気持ちで取り組み、その工程の大変さ、そして自然から得られるその色の美しさを実体験することによって感じ取ることが出来たと思います。 ※アイキ

          【過去のワークショップ】奈良文化財研究所「親子のための古代体験-植物で美しい色を染めよう」

          【再放送】ザ・プレミアム 「京都 祇園祭 〜至宝に秘められた謎〜」

          吉岡幸雄がインタビューに応えた番組が再放送されます。 番組名:ザ・プレミアム「京都 祇園祭 〜至宝に秘められた謎〜」再放送 内容:千年の祭り、京都・祇園祭。「動く美術館」と称される豪華な山鉾を飾るのは、大航海時代の王侯貴族が愛したタペストリー、世界でも祇園祭にしかない織物など、一級の美術品の数々。これらの至宝は、なぜ京都にたどり着いたのか?長年の謎とされ、世界の研究者が注目する驚きの物語に、女優・栗山千明が迫る。 ※長刀鉾のじゅうたんがどこで作られたか推理するインタビュ

          【再放送】ザ・プレミアム 「京都 祇園祭 〜至宝に秘められた謎〜」

          水色(みずいろ)

          清らかな流れに出会って、美味しい鮎をたべたい、と思うような季節になってきた。 水色という色名はかなり古くから使われていた。 平安時代の宇多天皇から堀河天皇までの十五代にわたって、宮廷貴族社会のありさまを記した『栄華物語』は、王朝人の色彩感あふれる世界を描き出しているが、そのなかの一節に「海の摺裳、水の色あざやかになどして」とある。 本来は水に色があるのではなく、水色とは海の波面や、山の合間をぬって流れる澄んだ川面に天空を映して、その青さを吸いこんだように見える色をいった

          水色(みずいろ)

          紅花の摘み取り

          (2011年7月12日 吉岡幸雄 染司よしおか工房だより より) 今年も紅花がたくさん咲きました。三重県伊賀市の榮井功さんの畑で、7月7日、12日に花摘みをしました。 摘み取られた花は太陽の光を浴びて、黄色から鮮やかな赤に変わっていきます。 (左)紅花の畑 (右)美しく咲いた紅花 (左)紅花を干す様子(右)干した紅花

          紅花の摘み取り

          【過去の展覧会】日本の色 吉岡幸雄の世界 〜カッシーナ・源氏物語との出会い〜

          2014年9月10日〜9月15日、京都タカシマヤ大インテリア展にて、吉岡幸雄が再現した源氏物語の衣装を展示いたしました。会場の一部はカッシーナの家具と共に展示。植物から生み出された美しい日本の色とイタリアモダンファニチャーの融合をお楽しみいただきました。 2014年9月18日  吉岡幸雄 染司よしおか工房だより より

          【過去の展覧会】日本の色 吉岡幸雄の世界 〜カッシーナ・源氏物語との出会い〜

          朝顔(あさがお)

          もうすぐ7月、朝早く起きると朝顔の花が開いていて、その姿を見ると日々の暑さで辛い身体も、少しなごむような気がする。江戸時代に随分改良されて大きな花になったようであるが、もともとはもう少し小さく可憐な花であった。 朝顔の花が絵画やデザインとして染織品や陶器に写されたものはそう多くないが、この鍋島の絵皿などは、小柴垣にからみながら、美しい花を咲かせて、出色の意匠である。 私は京都で育ったので、浅草の朝顔市はまだ知らないが、一度は訪れてみたいものだと思っている。 2002年6

          朝顔(あさがお)

          桔梗(ききょう)

          この原稿を書いているのは7月13日、早いところではもう桔梗の花が咲いている。今年の季の移ろいが早いだけではない。ここ十年、二十年はすっかり真夏の花になっているようである。 だが、桔梗は秋の七草の一つで、江戸時代の琳派の絵には、芒 (すすき) とともに描かれている例を多く見る。今日も近くの宇治川の川辺に群生している芒を見てきたが、まだ穂は出ていなかった。おそらく8月も中頃をすぎないと出てこないであろう。 桔梗の花は、鐘を上にむけたような形で花冠は5つに分かれていて、淡い青紫

          桔梗(ききょう)

          支子色(くちなしいろ)

          夏のはじめに白い花をつけてあたりに芳香を放っていた支子は、秋の終わりから冬のはじめにかけて、黄赤色の酒徳利のような形をした小さな実をつける。 中国ではこの実を古くから染料や薬用に用いていた記録があり、日本でも飛鳥から奈良時代にかけて、糸や布を染め、また食物の着色剤として利用していたようである。 私の工房にも、近くの薬草園や、支子の木がたくさんある寺院から実を送っていただく。天日でよく乾かすと、いつまでも黄赤色がのこっており、水に入れてぐつぐつと煎じて染料とする。    

          支子色(くちなしいろ)