申告納付の罠 〜OKです!と、誰か言ってほしい〜

社会保険の手続きの仕事をするようになって、「まさかそんなことが」ということがあります。

ある正社員の従業員が入社後約1年雇用保険に入っていなかったのです。

ちなみに毎月、その人の給与からはきちんと雇用保険料を徴収していて、そして年に1回、労働保険料を支払っていました。

雇用保険料というのは毎月の給与、そして賞与から徴収します。そして、会社負担分と合わせて支払うのが年に1回です。労災保険料と合わせて支払います。

毎月給与明細を見ると雇用保険料が給与から引かれているのだから、当然雇用保険に入っているものだと本人は思っているでしょう。しかし、「雇用保険資格取得届」を出していなかったのです。

「申告納付」の罠

労務の仕事に限らず、仕事する上でお金を払う場面が当然出てきます。請求書を受け取って、内容を確認し支払う。契約に基づいて毎月一定の金額を支払う。あるいは口座振替で引き落とされる。

これが労務の仕事だと、役所に対して「申告して支払う」というものがあるから大変です。

「いくら払ってください」と誰も教えてはくれません。複雑な計算ルールを理解し、自分で計算して支払うのです。支払った段階では正しいとか間違っているとか誰も教えてはくれません。

例えば、源泉所得税・労働保険料・障害者雇用納付金が申告納付です。どれも計算は複雑です。説明を読んでも専門用語ばかりで、初めての人はちんぷんかんぷんでしょう。

それがどうやって間違っていることがわかるかと言うと、調査が入って間違っていることを指摘されたりします。忘れた頃に「間違ってるかもしれないから確認してください」と連絡がくることもありますし、間違っていることに自分で気づく場合もあります。

そして修正申告をすることがあるのですが、本人から追加でお金をもらわなければならないこともあり、辛いです。

もっとも、仕事としてやっているわけで間違っていた自分が悪いのですが、計算のルールがあまりに複雑すぎて、そりゃあ間違うことだってあるわけですよ。それがすぐにわかればいいのですが、かなり時間が経ってからのこともあり、ますます本人にいいづらくなります。

仕事、とくに事務処理的な仕事ってひとつひとつ、確実にこなしてゆきたいじゃないですか。
「申告納付」という方法は間違っているかどうかが、ひとまず自分の責任になってしまう。理不尽に思えて仕方ありません。

雇用保険被保険者になっていなかった

雇用保険料の保険料は年に一回、まとめて計算するので、被保険者一人一人の毎月の保険料とは結びついていません。会社(私)が計算して、合計金額をぼんっと支払うのです。(※厳密に説明すると色々ありますがそれは省略)

雇用保険に入ってないのに保険料だけ払っていた。
年に一度、雇用保険の被保険者の一覧をもらうので、それでおかしいことに気づきました。
気づくのに遅いですよね。

2年は遡って雇用保険に入ることができるのですが、そうなると細かいことまで追求されます。たくさんの証拠書類を提出しましたし、調査官が抜き打ちで会社にやってきて、本当にその人がその時から在籍しているのかどうか細かく調べられました。かなり意地悪な感じで追求されました。

これが社会保険(健康保険・厚生年金)だと保険料の支払いは毎月なので、間違っていれば気づきますし、資格取得をしていなけえれば健康保険証がもらえませんので、本人からも「保険証をもらってません」と申し出があるはずです。
雇用保険にも被保険者証がありますが、健康保険証のように日常的に持っているものではありませんからね。あまり馴染みはないものでしょう。

ということで、資格取得届は忘れずにしましょう。必ずチェックしましょうと言いたいところですが、人がやる以上、間違いはあるし、忙しすぎてたまたまチェックしなかったということもあります。

間違っていることに気づくポイントを作っておく、というのが大切だと思います。仕組みとして仕事の流れを作っておくのです。






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