見出し画像

スパイダーマンと、地球1個分の暮らしと、ポスト真実と、「直観と論理をつなぐ」と(エシカル100考、30/100)

いやさ、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)ってアメリカの最高のエンタメチームが現代に何を届けるか、何を表現するかを考え抜いて全力で娯楽にしたものだと思っていて超好きなんだけど、、でもその中でも今回の『スパイダーマン ファー・フロム・ホーム』ってかなり凄いんじゃないかと、じわじわと思っている。

コメディ映画でありながら、全体の根底に流れ続ける「世の中これからどうなっちゃうんだろう?」という不安感と喪失感。『アベンジャーズ エンドゲーム』の後だからね。

これ、まさに現代的じゃない。VUCAだし、多くの確固たるものがガラガラと崩れた/崩れつつある最中だし。

そんな不透明な不安感のなかで、逃避したがりながら成長する人(ピーター・パーカー/スパイダーマン)の物語だけど、その敵も面白いなと。

えーー、ネタバレです。だから適宜読まないで。

敵(ヴィラン)は、事前予告だと風・土・水・火の要素からできた何か。エレメンタルズなのかな?

自然の要素なので、これってあれでしょ、異常気象とか地球環境の破壊とかの比喩でしょ。ダボス会議とかでも人類の一番のリスクだといわれているよね。

マルチバースという、現在の世界とは違う平行世界からエレメンタルズは来たっていうのも、「エコロジカル・フットプリント」とか、人類みんなが日本と同じ暮らしをしたら地球2.8個分必要(アメリカだと5.4個分)とか、日本の暮らしでは5月に「アース・オーバーシュート・デー」という人間による天然資源の消費量が生態系の生産量を超える日とむかえるとか、そんなことの比喩でしょ。

そっかー、さすがMCU。今度は環境問題か??というかサノスが人類(というか全宇宙の生命体)を半分にしたのも食糧問題とか環境負荷とかの解決のためだよな、、。

・・・そんなことを考えていました。裏切られました。

『スパイダーマン ファー・フロム・ホーム』の敵って、人間の作る情報じゃん。見えてる世界は、真実じゃないかもってことじゃん。「ポスト真実」じゃん。まあ、ミステリオがやっぱり敵なんですけどね。

VRとかARとかで五感もジャックされる上に、自分の見たい世界・知りたい情報しか得なくなってしまう「ポスト真実」がからむ。その根底には不安と喪失が流れる。でもコメディ。

そんな世界で、どう生きますか?って、むちゃむちゃ難しいテーマだなと思う。

ミステリオとの最終対決が、MCUなりの答えなのだろうか。

ウェブシューターというか、スパイダーマンの蜘蛛の糸が使えなくなるんですよね。で、決め手は「スパイダーセンス」。スパイダーマンが備えているという、蜘蛛の危機察知能力の第六感的なもの。

「ポスト真実」きわまるVUCAワールドは、最終的には自分の直観を磨くことで突破口を見出せるのでは、ということなのかな。

直観をバカにするなかれ。新進気鋭の戦略デザイナー佐宗邦威氏の『直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN』とか、大ヒットしてるでしょ。

ピーター・パーカーは理系でかなり頭のいいSTEM人材なのだけど、彼が「スパイダーセンス」という直観を最終武器にすることは、「直観と論理をつなぐ」になるのかな、、と思ったり。

とすると、よく絵を描いていたり、美術館にかくれて展示品でドローンを倒すMJはアートを象徴していて、STEMにアートを足すって現代的な話しになるのかな、、とか。

なんかそんなことをじわじわと思い、『スパイダーマン ファー・フロム・ホーム』って凄いなあと思っている次第です。

不思議というか、何かの伏線なのだろうけど、コミックや他の映画ではスパイダーマンの直観は「スパイダーセンス」と呼ばれるけど、MCU版ではその名前は出てこずに「ピータームズムズ(Peter Tingle)」と呼ばれている。何でだろ?

あと、超有名な「大いなる力には大いなる責任が伴う」ってセリフは今作でもでなかった。MCU版スパイダーマンの登場は今作でもう5作目(『シビルウォー』『スパイダーマン ホームカミング』『インフィニティーウォー』『エンドゲーム』に今作)なのに、まだ出てこない。さあいつ、誰が言うのか。

ちなみに、キャプテンアメリカもずーーーっと「Avengers Assemble!」って言わず、最後の最後に(小声で)言ったよね。

どうなんだかね。MCUのフェーズ4も楽しみ。

どーでもいいけど、マーベルの映画とかたくさんの固定ファンがいる映画って封切(〇日公開!って映画だとその日付にかわった0時に公開のやつ)に見に行くのが本当に最高だよね。祝祭的で、一体感あるし、映画終わった後で拍手喝采するし。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?