ウェールズからの迷想

イギリスのウェールズから書きたいと思います。イギリス在住が50年近くになります。テレビ…

ウェールズからの迷想

イギリスのウェールズから書きたいと思います。イギリス在住が50年近くになります。テレビ工事設立の駐在員としてそしてイギリス人と結婚そのまま現地企業などでも働き、引退して15年近くに成りこの頃は文豪の小説に酔っていて特に志賀直哉、菊池寛、堀辰雄に痺れ現在村上春樹にも埋もれています。

記事一覧

アメリカと日本そして今後

今のアメリカが移民で国が成立していて以前の歴史や伝統がなく彼らの拠り所はアメリカ独立宣言に原点を置いている。この宣言の基本、個人と自由がベースとなって今のアメリ…

Ledbury Old Street & St Michael Church

森鴎外   舞姫

この小説を何回、読み直して見ても結局同じ処に行き着いてしまうので敢えて書かせていただきます。 まずはじめに、この「舞姫」には沢山のファンの方々がいらっしゃいます…

森鴎外 高瀬舟

高瀬舟について、 この短い小説の中に我々人間社会の永遠の問題点を叩きつけているだけでも彼を代表する一つの傑作品と思います。場面設定も非常に単純で小舟の中での二人…

"1945, Surviving the Winter in Chinnampo"★★★★★
https://bookwalker.jp/de47a0f78e-57a2-46f5-b970-abaeb1ed232e/?acode=fRG5QJkK
遠藤えみ子先生署のこの本は、必読書だけでなく英文も完璧です。

伊藤左千夫 野菊の墓

「野菊の墓」は、私がもっとも好きな小説の一つです。 この年になって始めてこの小説に出遭い、長い間自分が求めていたものを見付けた思いになりました。ほとんどの恋物語…

夏目漱石「彼岸過迄」「行人」「こころ」③

「こころ」は、新潮文庫の歴代もっとも売れている本です。ここであらためてあらすじを紹介する必要ないと思います。「こころ」は色々な意味で漱石を代表する小説だと思いま…

森鴎外 安井夫人

この短編小説は、「安井夫人」の題にもかかわらず始めから終わりまで安井(お佐代)夫人の夫である安井仲平の人生を書いています。仲平は幼い時に重い天然痘に掛かり父親と同…

夏目漱石「彼岸過迄」「行人」「こころ」 ①

夏目漱石の後期三部作と言われる「彼岸過迄」「行人」「こころ」は氏が胃潰瘍の重病で「修善寺の大患」と呼ばれる一時的な「死」を体験した後に書かれた物です。この長期に…

夏目漱石「三四郎」「それから」「門」

夏目漱石の前期三部作「三四郎」「それから」「門」は、大抵の日本人が一度は手に取って読んだ事がある小説です。ここでは具体的なあらすじは控えて簡単な概略にとどめ私の…

夏目漱石 虞美人草

この虞美人草のタイトルは、私を大変惹きつけました。虞美人草すなわちヒナゲシ・ポピーは、イギリスで非常に大切な象徴の花です。戦死した人々を象徴すると共に11月11…

夏目漱石 草枕

「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。」の名句で始まる「草枕」を次の読書としました。高校時代に読んでも殆ど…

始めまして

コロナ騒動で外出自粛になっった事とイギリスでも沢山の日本古典や文豪時代の読物がオンラインで簡単に入手可能になった事で久し振りにその頃の本を読んで見ようかと挑戦を…

秋の季節 読書の季節

アメリカと日本そして今後

アメリカと日本そして今後

今のアメリカが移民で国が成立していて以前の歴史や伝統がなく彼らの拠り所はアメリカ独立宣言に原点を置いている。この宣言の基本、個人と自由がベースとなって今のアメリカが支えられている。

日本は2千年以上の歴史と伝統の中で『家』が重要なベースになっている。明治維新で個人主義が西欧から入った。伝統の『家』とこの個人を両立させる苦労は、今でも続いている。志賀直哉の暗夜行路でもこの両者の問題は重要なテーマに

もっとみる
森鴎外   舞姫

森鴎外   舞姫

この小説を何回、読み直して見ても結局同じ処に行き着いてしまうので敢えて書かせていただきます。

まずはじめに、この「舞姫」には沢山のファンの方々がいらっしゃいます。また、読書会のサークル等もいくつかあるようです。この「舞姫」がちょっと難しい文語体であるのではじめは苦労しましたが、流れるような文章と情緒あふれる内容で読む人、それを聞く人が堪能される事、私にも十分に理解出来ますし賛同もします。

彼女

もっとみる
森鴎外 高瀬舟

森鴎外 高瀬舟

高瀬舟について、

この短い小説の中に我々人間社会の永遠の問題点を叩きつけているだけでも彼を代表する一つの傑作品と思います。場面設定も非常に単純で小舟の中での二人の会話に過ぎません。それでいながらその場その場の状況が見事に浮き上がってきます。鴎外の描写の上手さです。私は、終盤に近い以下の一句が大変に好きです『喜助の話は好く條理が立つてゐる』。この短編小説のテーマである「不条理の人間社会」に見事な皮

もっとみる

"1945, Surviving the Winter in Chinnampo"★★★★★
https://bookwalker.jp/de47a0f78e-57a2-46f5-b970-abaeb1ed232e/?acode=fRG5QJkK
遠藤えみ子先生署のこの本は、必読書だけでなく英文も完璧です。

伊藤左千夫 野菊の墓

伊藤左千夫 野菊の墓

「野菊の墓」は、私がもっとも好きな小説の一つです。
この年になって始めてこの小説に出遭い、長い間自分が求めていたものを見付けた思いになりました。ほとんどの恋物語や愛物語が精神的にも物質的にも色々なしがらみの中で進行されます。過去や現在が交わりそれを愛心、恋心で二人が乗り越えて行く要するに複雑な関係を二人の強い恋愛で、ですがそうではなくて単純明解で純粋な恋物語を見たい気持が私にありました。それに応え

もっとみる
夏目漱石「彼岸過迄」「行人」「こころ」③

夏目漱石「彼岸過迄」「行人」「こころ」③

「こころ」は、新潮文庫の歴代もっとも売れている本です。ここであらためてあらすじを紹介する必要ないと思います。「こころ」は色々な意味で漱石を代表する小説だと思います。この後期三部作に流れる短編小説を積み上げて長編小説に仕上げるやり方や小説の最終部にクライマックス、結論を持ってくるやり方またこれらが読者を十分に唸らせる内容を持っているだけでも十分にその価値があります。そして漱石を作家として大きく成功さ

もっとみる
森鴎外 安井夫人

森鴎外 安井夫人

この短編小説は、「安井夫人」の題にもかかわらず始めから終わりまで安井(お佐代)夫人の夫である安井仲平の人生を書いています。仲平は幼い時に重い天然痘に掛かり父親と同じで片目が潰れ容姿が醜い人になっていました。生き方や考え方も本当に質素で着飾った服装もせず堅実な道を選んで行きます。年頃になっても結婚相手が見つからない中、「岡の小町」と言われていた16歳で仲平から13歳も若い従姉妹のお佐代さんが自ら進ん

もっとみる
夏目漱石「彼岸過迄」「行人」「こころ」 ①

夏目漱石「彼岸過迄」「行人」「こころ」 ①

夏目漱石の後期三部作と言われる「彼岸過迄」「行人」「こころ」は氏が胃潰瘍の重病で「修善寺の大患」と呼ばれる一時的な「死」を体験した後に書かれた物です。この長期に渡る療養后もあり「彼岸過迄」の創作では、お礼の意味もあり新聞購読者により面白がられ夏目漱石色のより出た小説にしたい氏の大きな希望がありました。そして新しい挑戦として「かねてから自分は個々の短篇を重ねた末に、その個々の短篇が相合して一長篇を構

もっとみる
夏目漱石「三四郎」「それから」「門」

夏目漱石「三四郎」「それから」「門」

夏目漱石の前期三部作「三四郎」「それから」「門」は、大抵の日本人が一度は手に取って読んだ事がある小説です。ここでは具体的なあらすじは控えて簡単な概略にとどめ私の読後感想を主に書きたいと思います。
「三四郎」は、田舎から都会に出て来たうぶな男子学生の経験と成長を描き出すと共に彼の周辺に集まる高尚な都会的近代人を描いています。「それから」は、彼のような学生「代助」が大学を卒業した後も親の金で遊びを満喫

もっとみる
夏目漱石 虞美人草

夏目漱石 虞美人草

この虞美人草のタイトルは、私を大変惹きつけました。虞美人草すなわちヒナゲシ・ポピーは、イギリスで非常に大切な象徴の花です。戦死した人々を象徴すると共に11月11日の戦死者追悼記念日の花でもあります。言われは最大のヨーロッパの戦死者数を出した第一次世界大戦です。多数の死者が血を流したベルギーのその地でその翌年に沢山の真っ赤なポピーが咲いたところから来ています。11月11日11時にイギリス全土でこの赤

もっとみる
夏目漱石 草枕

夏目漱石 草枕

「智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。」の名句で始まる「草枕」を次の読書としました。高校時代に読んでも殆ど理解出来ずに単に受験勉強の為にページを開いていただけで終わっていて本当に勿体ない事をしていたことに気が付きました。中年になった時に再読をすべきだったと。

峠の茶屋での小話その辺りの那古井温泉に行く迄の自然の景物と風情等小説の舞台になってい

もっとみる
始めまして

始めまして

コロナ騒動で外出自粛になっった事とイギリスでも沢山の日本古典や文豪時代の読物がオンラインで簡単に入手可能になった事で久し振りにその頃の本を読んで見ようかと挑戦を試みました。矢張り始めは、夏目漱石かと早速入り易そうな「坊ちゃん」を読み出しました。始めから表現や風刺の面白さに惹き込まれ最後まで詰まらない部分など全く経験しないで読み終えました。読書中にメイン舞台となった道後温泉を知りたくなりインターネッ

もっとみる