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ベトナム備忘録

 3月に2週間ほど、ベトナムに調査研究で行ってきました
1年と4ヶ月ぶりの現地でしたが、以前行った時と季節が違っていたので、空気感の違いや改めてベトナムってこんなところ的な体験ができました

調査地へ出航するところ

2回とも私的な旅行ではなく、ベトナムにおけるチャウタン船の海事考古学研究のお手伝いで行っております
前回は、台風の影響で全工程の内、3日しか潜水調査をすることができませんでした
台風以外にも悪しき慣習による妨げがありましたが、冷静に考えてみれば、国内においても似たような嫌がらせというか、そのような価値観は現存しているので、ダイレクトな表現は控えます

全工程で荒天待機無し!

実は今回も悪しき慣習の影響と考えられる事態によって、調査日の縮小を余儀なくされることがありましたが、なんかチョット慣れました(笑)
 調査としては、作業努力量に対して期待したほどの成果は上げることができませんでしたが、10日程度で何百年も前に沈んだ船を掘り当てようなんて都合が良すぎる話です
 短いスパンで物事を考えると性急に成果を求められることがありますが、よくよく考えてみれば何百年も不明になっていた船を十数回の潜水で見つけようとしている事がチャレンジング過ぎます
もちろん、事前調査や掘削機材などの準備は、可能な範囲で万端にして臨んでおりますが、海外で海事考古学調査を行うことのハードルは低く無いことを改めて認識したように受け止めています

碇石の実測調査

 こんな否定的なことばかり書いていると、今回は全く成果がなかったように思われるかも知れませんので一部だけ紹介します
初日の1回目の掘削作業でセラミックの欠片が見つかっております
初っ端から見つかったので、これはもしかして?ってイージーに考えたのが落とし穴だったようで、その後の掘削による発掘はありませんでした
碇石の調査については、近いうちに取りまとめられて調査報告か論文の形式での発表があると思いますので、詳しくは割愛いたします
画像に写っているのは、向かって左からMr.Ian、Dr.木村、水中考古学写真家の山本さんです
私も考古学的な立場ではなく潜水者の立場から、今後このベトナムにおける調査をどのように進めてゆくべきなのか、中間報告的な論文を書く準備を進めています
 海事考古学の現場では、必ず潜水が伴います
その潜水を如何に安全に効率化してゆけば良いのかというニーズは、海事考古学に限らず水中の調査や作業においては常にあります
人間が生命の維持に必要な空気を持ち込み、温度から浮力から口呼吸に至るまで、いろいろな日常との違い(ストレス)を克服しながら行う潜水は、レジャーの域を出なければ、楽しくて新しい体験に溢れた素晴らしい世界ですが、覚悟のない方が一旦その領域を踏み越えてしまうと、危険で止めれば良かったと思うような後悔しか残らない世界です
その踏み越えた世界で成果を求めて結果を残せるようになるために、日夜潜り続けているのです(潜り続けていることを正当化する言い訳です)

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