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FaBポイント:Dominateとは何なのか

今回はDominateという能力について考えていきます。
自分はDominateはかなり弱い能力だと思っていたのですが、最近この能力の捉え方を理解してきたのでそれについて書いてみます。

復習するとDominateとは「このカードの攻撃を防御しているプレイヤーは手札から1枚より多い枚数で防御できない」という能力でした。


Dominateはon hitのための能力?

まずはこちらをご覧ください

Dominateだけ能力のあるカードを見てみましょう。7コスト10点火力となってます。通常の計算だと7コストだと11点火力になるはずなので、
 Dominate = 1点
の価値があるという設定になっています。
Dominateによってダメージは与えやすくなりますが、それ自体でそれ以上の意味はないように「見える」ので、on hit能力や最後のとどめぐらいでしか使えない能力に思えます。

例えば、典型例であるSpinal Crushdominateを付ける場合ですが、アーセナルにDefence Reactionあるいは装備あればdominateが付いていてもわりと簡単に防げてしまいます。
しかも、Crushが成功したとしてもEnlightened Strikeなど一撃で返されたらそれほど意味がないような気もします。
もっと言えば、Bravoだったら2リソース使っているので、かなりバリューとしては無駄使いしているようにも見えます。

次にAzaleaを考えます。Azaleaは能力で矢にdominateを付与したうえで強力なon hit能力の矢をバフを付けて打ったり、矢自体にはon hit能力が無くてもLace with BloodrotSeek and Destroyなどのバフとon hitを同時に付与することで圧力を加えることを狙います。
ただし、もしバフさえうまく乗ってしまえばdominateが無くても相手は結局相手は防御に手札を回すことになり、結局dominateがあってもなくてもいいんじゃないかと思えることもあります。
もしそうならばdominateとは何の意味があるのでしょうか?

Dominateとは

Dominateの捉え方

結論から言うと、自分のdominateの捉え方は以下になります:
 dominate = 相手に防御でバリューを出させないための能力
正確に言えば、手札からの防御でバリューを出させないための能力ですが、そこはちょっと雑にいきます。
on hitの能力とか最後の詰めの能力としての役割は上の考え方の一つの帰結になります。

FaBの勝ち方:攻撃と防御について

上の捉え方だとざっくりしてるし、結局on hitなどのための能力のままにも思えるので、もう少しだけ広い視野でFaBを捉えなおしてみます。

FaBの勝ち方として攻撃で打点を出す方法以外にも防御でバリューを出すという戦略もあります。

まず例を挙げましょう。Iraですごくシンプルに効果的にバリューを出すとすれば、2枚で防御2枚で攻撃するのが最大効率になります。そういう場合は逆に3枚以上手札にあっても攻撃に使えないようになっていたりするので、dominateで1枚しか防御できないようにすると、余った3枚以上の手札では相手はそれほどいい動きができなくなります。

そもそも、FaBは1枚で3点の価値が出るようにできていますが、攻撃で複数枚数を使うことでさらに価値が出しやすくなるようになっています。
なので、防御より攻撃にカードを残すデッキが多く、dominateの使い方として防御させないための使い方というよりはon hit効果を狙うという使い方に自然となることが多いのは確かです。
ただ、防御で価値を出すというデッキもあり、そういう場合にはdominateの「防御でバリューを出させない」という単純な能力が強力になります。

Dominateとは話がそれますが、もう少しだけFaBのデザインについて説明しておきます。
単純な防御と攻撃を比べた時に、攻撃の方が強くなるように設計されています。それは、FaBではデッキ切れやFatigueがあるため、攻撃も防御も同じ程度の強さがあると防御の方が簡単に強くなってしまうからです。
すごく単純なところでいうと、攻撃ではアクションポイントが使えるのが攻撃の方が強い一つの理由になっています。(点数的にはアクションポイントは1リソースぶんの価値がある。逆に言うとそれしかない。)
これがあるので、またシンプルな説明にはなりますが、すべてを防御に回すよりは1枚は攻撃に回せた方が強い動きになります。残りライフが低いときの攻防のテンポの取り合いはこれが基本になっています。
防御的なデッキはこの根本メカニズムに抗えるだけの何らかのギミックがないと成立しないようになっていますが、そういうデッキもたくさんあります。

補足:攻撃が強いのはアクションポイントが使えるからと書きましたが、これを極端に有効に使っているのがアグロダッシュです。boostはgo againの価値計算とは違い、アクションポイントを消費したときの打点計算になっています。単純に言えば、boostはgo againカードというより、アクションポイントを打点に変換したにも関わらずアクションポイントが返ってくるカードと考えた方が価値計算はしやすいです。その代わりのデメリットが山札消費になっています。
ちなみにgo againはアクションポイントが返ってくる代わりに3点通りの価値しかでない(=アクションポイントを価値に変換しない)という能力です。

Dominateを使うデッキ例

BravoAzaleaなどの典型ヒーローは語っても意味がないので、Dominateを有効に使う他のデッキを例に少し語ってみます。

例:Uzuri

最近Uzuriを使っているのですが、内容は以下のデッキです。

キーカードはIsolateです。

このカードはDominateを持っているため、手札からは1枚でしか防御できません。UzuriStealthのカードをアタックリアクションのタイミングで2コスト以下のカードと入れ替えられるので、2コスト6点のカードと入れ替えれば、強制的にダメージを与えることができます。ただし、入れ替えたときにIsolateDominateは消えるので、入れ替え先に特殊な能力がない限り、Defence Reactionで防御はされます。

この例だとdominateと火力の高いカードの組み合わせじゃないと意味がないように思われるかもしれないのでもう一つ例を挙げます。キーカードはShredです。

装備を使い切ってライフも尽きかけている状況において、Isolate赤を打った後、相手は1枚しか防御できないのでアタックリアクションでShredでそれの防御値を下げれば絶対に勝てるという状況はかなりあります。
このように、on hitがあろうがなかろうが、攻撃値が低かろうが、相手の手札から防御を1枚しか出せないということをうまく利用できるならdominateに価値を生み出せる可能性があるのです。

例:Riptide

Riptideはいろんな型がありますが、効果付きのNourishing Emptinessを打ちまくるというデッキがあります。
タリシャーであればRiptideの半分くらいはこの戦略をとってくる気がします。

下記のデッキはFabraryで登録されているNourishing Emptiness型のデッキでそれなりに良さそうなものをちょっとだけ改変したものです。
(オリジナルは採用カードのバランスにかなりの調整を感じたので丸く変更しました。)

Nourishing Emptinessは墓地にアタックアクションカードがなければ、dominateと「hitしたら1ターン知性が1上がる」という能力を得ます。
条件が厳しく普通は1度しか使えないので、Codex of FrailtyMemorial Groundで使ったカードを回収し何度でも条件付きで打てるようにしています。また、このカードしかアタックアクションがないため、Mask of Malicious Manifestationsで確実に手札に持ってくることも必須になります。

Dominateで強制的にダメージを与えることとトラップにより少しずつダメージを与えることが、このRiptideのデッキの勝利の条件となります。
通常Nourishing Emptinessはon hit効果の知性が上がることが強いのですが、この構築においてはDominateにより確実にダメージを与えることが重要になります。
このように、1度でそれほど大きいダメージでなくても勝利を目指せるというのは、Dominateによって相手に防御でバリューを出させない、というのが一番効いているのです。

このRiptide構築の話をすると、もちろん知性が上がることは、墓地回収を確実にしたり、バフをしやすくしたり、相手にトラップでダメージを与えやすくするなど、勝つためには重要なon hit能力です。
Dominateは防御的な相手に対して有効であるという流れで書いている記事ではありますが、この構築に関しては相手に依らず有効な役割を持たせている意味で、特徴的で面白いと思います。
このような例を知っていると、いろんなカードから様々な可能性を探りやすくなるでしょう。

おまけ:Ninjaとの比較

実は「相手に防御でバリューを出させないとう」のはNinjaでもやっていることではあります。
例えば、Kodachiによる1点の連続攻撃や、4点や5点の攻撃を続けることは3点の防御値のカードで効率よく防げないという意味で相手が防御で出せるバリューを下げることができます。

「連続攻撃はカードの防御値でぴったり防御しづらい」というのがNinjaの攻撃で、「大きく1度の攻撃は、カードの複数枚防御で防御値通りのバリューが出せるので、1枚でしか防御できなくするのがdominate」という対応があります。

このように、WTRのときはBravoKatsuで違うやり方ながら攻撃の通し方の思想は実は近かったという風に言えるとも思えます。
一方、Dorintheaはリアクションタイミングに焦点を当てていて、それぞれのヒーローにより別の観点でFaBのシステムの面白さを味わえるように役割がしっかり決まっているのが面白いと思います。
(いや、そうなるとRhinarはどうなるんだ。。。)


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