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ブックライターとデザイナーの理想的な関係性とは?〜ライターなるには日記【第8回】<裏>

 先日(録画ではあるが)久々に民放のバラエティ番組を視聴した。3月14日の夜にテレビ朝日でOAされた『激レアさんを連れてきた。』に、松本光平選手が出演していたからだ。

 SNS上での「神回」という評価も納得できる内容。おかげさまで私が構成を担当した『前だけを見る力』の売り上げにも(わずかながらではあるが)貢献することとなった。「オワコン」扱いされて久しいTVだが、まだまだ根強い力を持っていることを、あらためて実感した次第だ。

『前だけを見る力』のカバーデザインは、版元であるKADOKAWAの社内デザイナーが担当している。編集者を通して、カバーに使えそうな写真の候補を10点ほどお送りして、このような形に仕上がった。J-GREEN堺で撮影した、松本選手のポートレイトをここまで大きく扱っていただき、本当に感謝している。しかし一方で、デザイナーの方とは、直接ディスカッションしたいという思いもあった。

 前回につづいて、ブックライターとデザイナーの理想的な関係について語っていきたい。題材にしたのは、2012年にカンゼンから上梓された『松本山雅劇場』。当時JFL所属だった、松本山雅の濃密な2011年シーズンを追いかけたノンフィクションである。カバーの折り返しを見ると、写真を提供した私の名前の上に「Akio Ito」というデザイナーの名前が見える。

 現在は東京工科大学デザイン学部の教授であり、絶滅哺乳類や恐竜のリアルな復元画の大家でもある、伊藤丙雄さん。彼との付き合いは、東京藝術大学に入学した1986年まで遡る。伊藤さんはデザイン科、私は工芸科で同期。それこそお互いを「テッちゃん」「イトちゃん」と呼び合う仲である(なので以下、呼称を「イトちゃん」で統一する)。

 イトちゃんには、私のデビュー作である『幻のサッカー王国』(1998年)から『松本山雅劇場』(2012年)まで、合計7冊の私の書籍のカバーデザインを担当してもらった。最後に会ったのは2012年。その後、年賀状のやりとりはあったものの、イトちゃんとはすっかり無沙汰となってしまった。

 当連載がきっかけで、実に10年ぶりに実現した旧友との再会。果たしてデザイナーの立場からは、ブックライターとしての宇都宮徹壱はどう見えたのだろうか。楽しみ半分、不安半分で、その日を迎えることとなった。

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 なお、激レアさんで話題になった松本光平著『前だけを見る力』は、徹壱堂でも取り扱っておりいます。お買い上げいただきますと、構成を担当した宇都宮のサイン入りでお届けいたします。

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