見出し画像

遠すぎるスタジアムと亀のごときクラブの歩み〜フットボールの白地図 by OWL Magazine【第23回】大分県

<大分県>
・総面積
 約6341平方km
・総人口 約112万人
・都道府県庁所在地 大分市
・隣接する都道府県 福岡県、熊本県、宮崎県
・主なサッカークラブ 大分トリニータ、ヴェルスパ大分、ジェイリースFC
・主な出身サッカー選手 永井秀樹、三浦淳寛、西川周作、清武弘嗣、清武功暉、松原健、安東輝、岩田智輝

画像1

「47都道府県のフットボールのある風景」の写真集(タイトル未定)のエスキース版として始まった当プロジェクト。前回は、47都道府県で最も人口が少ない鳥取県を紹介した。今回フォーカスするのは「おんせん県」として知られる大分県。そして大分といえば、サッカーファンには大分トリニータがまず思い浮かぶ。トリニータは、九州で唯一のJリーグタイトルを獲得したクラブでもある。

 初めて大分を訪れたのは、2002年ワールドカップだった。大分スポーツ公園総合競技場(通称・ビッグアイ。現・昭和電工ドーム大分)で行われた3試合のうち、ラウンド16のスウェーデンvsセネガルの試合を取材した。九州で唯一、ワールドカップスタジアムが作られた大分では、その後もたびたび日本代表のキリンチャレンジカップの会場に選ばれ、19年のラグビーワールドカップではオールブラックスの試合も行われている。

 大分には何度も訪れている私であるが、最も強く印象に残っているのが2006年に大分スポーツ公園総合競技場サッカー・ラグビー場で開催された、地域決勝の決勝ラウンド。4強に勝ち残ったのは、TDKサッカー部、FC岐阜、ファジアーノ岡山、そしてV・ファーレン長崎であった。下馬評では岐阜と長崎が抜けると思われていたが、優勝したのはTDK。その後、JFLに昇格した彼らはブラウブリッツ秋田と名を改め、15年後の今年は初めてJ2を戦う。

画像2

 この時の取材で見つけたのが「三位一体」の石碑。トリニータという名称は、もともと三位一体を表す「トリニティ(Trinity)」に由来し、県民・企業・行政が一致団結することを表している。その源流は、1994年4月に立ち上がった任意団体「大分フットボールクラブ」。大分県1部と九州リーグを連覇すると、さらに地元で行われた地域決勝でも2位を確保し、発足からわずか2年で旧JFL(ジャパンフットボールリーグ)に駆け上がっている。

画像9

 その全国リーグ昇格の舞台となったのが、大分市営陸上競技場。トリニータの古参サポーターの間では「聖地」の扱いを受けている。99年に創設されたJ2のオリジナルメンバーとなったトリニータは、そのシーズンの最終節でモンテディオ山形とJ1昇格を懸けた伝説的な死闘を演じた(結局、3位に終わって昇格ならず)。ワールドカップ以降、トリニータは大分市陸から離れ、現在はJFLのヴェルスパ大分がホームゲームを開催している。

【以下、OWL magazine読者のみに公開】
OWL magazineでは、サッカー記事や旅記事が毎日、更新されています。Jリーグだけでなく、JFLや地域リーグ、海外のマイナーリーグまで幅広く扱っています。読んでいるだけで、旅に出たくなるような記事が盛りだくさん。すべての有料記事が読み放題になる、月額700円コースがおすすめです。

ここから先は

1,638字 / 6画像
スポーツと旅を通じて人の繋がりが生まれ、人の繋がりによって、新たな旅が生まれていきます。旅を消費するのではなく旅によって価値を生み出していくことを目指したマガジンです。 毎月15〜20本の記事を更新しています。寄稿も随時受け付けています。

サポーターはあくまでも応援者であり、言ってしまえばサッカー界の脇役といえます。しかしながら、スポーツツーリズムという文脈においては、サポー…

よろしければ、サポートをよろしくお願いします。いただいたサポートは、今後の取材に活用させていただきます。