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今までやったJSTQB勉強方法についてまとめてみた

はじめに

JSTQB Foundation Level Specialist 自動車ソフトウェアテスト担当者の資格認定試験に合格しました。
このnote作成時点の2024年2月16日現在で、日本語で受けられるJSTQBの試験はすべて合格という状態になりました。やったー

自分は不合格も含めてこれまで7回受験しました(14万円……)。せっかくなので自分が行ってきた勉強方法をメモがわりに残しておこうかな、と思ったので書いてみます。

※JSTQBは日本におけるソフトウェアテスト技術者資格認定の運営組織を指します。資格の名称は「JSTQB認定テスト技術者資格」が正式です。本noteでは便宜上、資格そのものをJSTQBと呼称しています。
JSTQBについて

なお、特定の書籍やサービスに関して購入を促す(所謂ステマ、ダイマ)ような意図はありません。あくまでも勉強方法のいち参考として捉えていただければと思います。


筆者について

SIerに新卒入社後1年ほどプログラマーを経てテストの道へ。第三者検証会社をうろうろしつつ、テストエンジニアとしてテスト計画、テスト設計、テスト実行、テスト報告まで一通り従事。テストマネジメント経験はほとんどないです。

保有しているもの(取得順)
 ・Foundation Level
 ・Advanced Level テストアナリスト
 ・Advanced Level テストマネージャ
 ・Foundation Level Specialist 自動車ソフトウェアテスト担当者

受けた順番と結果
 1.FL(合格)
 2.AL-TM(不合格)
 3.AL-TA(不合格)
 4.AL-TM(不合格)
 5.AL-TA(合格)
 6.AL-TM(合格)
 7.FL-AuT(合格)

知識の認知レベルのおさらい

シラバスに記載されている学習の目的には「(K2)」「(K4)」といった知識の認知レベルが設定されています。
 ・K1:記憶
 ・K2:理解
 ・K3:適用
 ・K4:分析
それぞれの詳細はFLシラバスの付録に記載されていますのでそちらをご参照ください(ただしFLシラバスではK4については記載されていません)。

それぞれの知識の認知レベルによって問題の出題形式が異なります。
 ・K1:用語の正しい意味を選択するような問題
 ・K2:用語や概念に関する正しい説明や内容を選択するような問題
 ・K3:考え方や技法を使用して最適な結果を選択するような問題(表や計算式などが登場する)
 ・K4:状況に応じた適切な活動や行動を選択するような問題(システムの説明や状況説明など長文の問題)

※詳細は過去に行われたAL試験過去問題解説セミナーなどでも解説されています(JSTQBのシラバスのページにあるリンクから見られます)

つまり「JSTQBでどういう問題が出題されるか?」というのはすでにシラバスに書かれているのです。なんだかいけそうな気がしてきますね。

勉強方法について

Foundation Level

1.シラバスを読む
意味が分からなくてもとにかくシラバスを一度通して読みきりました。

2.参考書を読む
シラバスを一通り読んだ後はいわゆる「青本」と呼ばれる『JSTQB Foundation ソフトウェアテスト教科書』を読み、巻末の問題も解きました。
自分が受けた頃は第3版でしたが、2018年シラバス対応の第4版が出版されています。
2023年版のシラバスは2024年11月の試験から適用されるそうなので、受験タイミングはお気をつけください。

3.単語を覚える
とにかく「○○テスト」「テスト△△」といった用語が多く、これらに馴染みがない自分としては覚えるのが大変でした。
通勤時の電車の中で「無料de試験」というところの問題を、正解率が平均90%を超えるよう繰り返し解いていきました。
(有名な受験対策アプリの「テス友」は自分の受験当時はありませんでした)

4.要点をまとめる
シラバスに記載されている内容の要点をテキストや表にまとめました。受験当日、会場までの電車の中などで印刷したものに目を通しました。

結果は合格。青本巻末の問題とは結構違う問題だったなという印象でした。今はどうかわかりませんが。
個人的には「無料de試験」を繰り返しやったのが良かったなーと思っています。FLシラバスに出てくる用語は以降のAdvanced Levelの各シラバスにも登場します(FLの知識があるうえでのAdvanced Levelなので)。また、業務内やテストに関するセミナーなどでも日常的に使われるので、しっかり押さえておく必要があると思います。

Advanced Level テストアナリスト

計2回受験勉強したのでまとめて記載します。

1.シラバスを読む
ここでもとにかくシラバスを一度通して読みきりました。

2.外部サービスの問題を解く
テストマネージャの1回目受験時にスクエアリングサービスという問題サイトを使用したので、テストアナリスト受験時もこちらのサービスを利用しました。サイト内での合格可能性の値を上げるべくひたすら問題を解いていきました。シラバス解説書をもらえるのでそれに目を通したりもしました。無料版もありますが設問数は少ないです。自分は有料版を利用しました。

3.要点をまとめる
FL受験時同様、シラバスに記載されている内容の要点をテキストや表にまとめました。

結果は2回目で合格。テストアナリストはテスト技法に関する内容が多く、それらの使い方やカバレッジに関することなど繰り返し問題を解くことで覚えていきました。後述のテストマネージャの受験時にはじめてスクエアリングサービスを利用したのですが、個人的にはテストアナリストの方がスクエアリングサービスをやって良かったなーと実感しました。

Advanced Level テストマネージャ

計3回受験勉強したので以下にまとめて記載します。

1.シラバスを読む
とにかくシラバスを(以下略)。

2.外部サービスの問題を解く
1回目受験時からスクエアリングサービスという問題サイトを使用して、サイト内での合格可能性の値を上げるべくひたすら問題を解いていきました。シラバス解説書にも目を通しました。

3.要点をまとめる
FL受験時同様、シラバスに記載されている内容の要点をテキストや表にまとめました。

4.シラバスに記載されている参考文献を読む
参考文献を読むという勉強方法を小耳にはさんだので、シラバスの後ろの方に記載されている書籍を読みました。読んだのは以下の書籍。
 『体系的ソフトウェアテスト入門』Rick Craig (著), Stefan P Jaskiel (著), 成田 光彰 (翻訳), 宗 雅彦 (翻訳), 日経BP出版センター
 『基本から学ぶテストプロセス管理』Rex Black (著), テスト技術者交流会 (翻訳), 日経BP

5.作問する
受験時期、ちょうどテストエンジニア向けの勉強会・ワークショップであるWACATEに参加しました。そこで仲良くなった方たちと一緒に作問するという取り組みを行いました。業務に追われて最後までやり切れませんでしたが、出題側の視点でシラバスを読むというのは新鮮な体験で良かったと思います。

6.非公式問題集をやる
有志の方々が非公式で頒布してくれた問題集。問題を解いて間違ったところはシラバスを読み返すというのを2周くらいやりました。

2015年8月の1回目、2016年8月の2回目は不合格。少し時間が空いて、テストアナリストの受験を挟み、2021年8月の3回目に合格しました。合格した3回目では非公式問題集を解いて、シラバスを読んで、というやり方をメインでしていました。しかし、不合格だった1回目2回目でやった勉強方法が無駄になったというわけではなく、それらを経ての合格だったのかなと思います。

Foundation Level Specialist 自動車ソフトウェアテスト担当者

1.シラバスを読む
とにかく(以下略)。

2.ISTQBのサンプル問題とシラバスを紐づけ(と作問をする)
ISTQBでは各試験のサンプル問題が40問掲載されています。ただし英文なので、翻訳機能を使って内容を確認しました。
サンプル問題がシラバスのどの記載と紐づいているのかを確認しながらシラバスを再読しました。自分が覚えられなさそうなところや、問題として足りなさそうなところは自分で作問してみたりしました。

(作問の例)
 2.1.1.2(K2)
 ASPICEに記載されているプロセスカテゴリーとプロセスグループについて、正しいものはどれか。
  a)主要プロセスに含まれるシステムおよびコンポーネントの再利用
  b)主要プロセスに含まれるシステムエンジニアリングとソフトウェアエンジニアリング
  c)支援プロセスに含まれるプロジェクトまたはプロセスの管理とプロセス改善
  d)組織プロセスに含まれるプロダクト、サービスの取得と供給

ここに費やした時間が一番多かったです。ギリギリまでやってた。
サンプル問題を通して解いたのは受験当日の1回だけでしたが、90%以上は正解できたので「いけるかなぁ」という感じでした。
ちなみに上記作問例の正解はbです。

3.解説記事を検索する
受験勉強時の2024年1月時点で自分は自動車ソフトウェアに関する業務に就いておらず、組み込み機器に関する知見も浅い状態でした。そのため、「オープンループシステム」や「HiL」など馴染みがなかったりイメージしづらいものはWebで検索し、解説記事などを読みました。ただ、試験はシラバスの用語で出るので、ざっくりイメージをつかんだ後はシラバスに戻り、あまり深追いはしませんでした。

結果は合格。サンプル問題とシラバスを何度も行ったり来たりしたのが良かったかなと思いました。サンプル問題に対して翻訳機能を使った場合、シラバス通りの用語になっていない箇所もありますが、全体的におかしなところもなく、思ったより使えました。何とは言いませんがサンプル問題やっておいて良かったなーとなりました。勉強期間は1ヶ月ないくらいでした。

まとめ

勉強方法を色々試したりしましたが今のところ「サンプル問題とシラバスを反復横跳びする」というのがおすすめです。
はじめて知る言葉などはたくさん見聞きすることで自分に定着していくのかなぁと思います。「サンプル問題を解いて、間違えた個所はシラバスに戻って読む」ということを繰り返すと、最初は難解だったシラバスの内容もだんだん自分の中に入ってくるのではないかなと思います。

知識を業務で扱えたり、他の人たちとの共通言語として利用できたり、合否に関わらずJSTQBの受験勉強で得られるものは多いと思います。少しでも勉強される方の参考になれば幸いです。

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