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ミチコ・カクタニ『真実の終わり』(集英社、2019年)を読みました。

ミチコ・カクタニ『真実の終わり』(集英社、2019年)を読みました。

ファイクニュースやSNSを利用した選挙戦など変わりゆく情報社会の中で真実とは何かという問いに向かった一冊。原著の題名は "The Death of Truth"となっています。著者はオーウェルの『1984』を引き合いに出し、トランプを批判するがそれが当たっているかどうかは読者の判断。ホロコースト修正主義(Holocaust Denial)などセンシティブなトピックに元NYTのジャーナリストが踏み込めるということはアメリカでは多少なりとも言論の自由が保証されているということでしょうか??著者は「角谷の不動点定理」(経済学者はお世話になりまくっていますが…)などで著名な数学者角谷静夫さんのお子さんです。気骨あるジャーナリストですね。

本書より…

しかし、ハクスリーに関するポストマンの考察にいくら先見の明(そしてハクスリーが私たちの気晴らしの新時代を予期していた)とはいえ、彼がオーウェルのディストピアの実際的な重要性を過小評価していたことも明らかだ。あるいは、トランプとその政権が真実の概念そのものに対して犯す攻撃が『一九八四年』とハンナ・アーレントの『全体主義の起源』をベストセラーへ押し上げた。

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