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竈の祟り

国家専属の官僚だった陰陽師も時代が経つにつれて貴族のプライベートの仕事が増えるようになりました。

それに加え、大陸からは最新の情報が入ってくることにより、大きく飛躍します。

たとえば、四柱推命は李虚中によって九世紀に体系が作られています。

逆に陰陽師の春苑玉成が留学して、本場で学ぶというケースもありました。

そんな変革期ですから、優秀な陰陽師が出てくるものです。

文徳天皇が崩御した際、大納言の安倍安仁と共に墓を定めに同行した陰陽師が滋岳川人でした。
墓を定めていた帰り道、そこの地神を怒らせてしまい、追いかけられてしまうのです。

大納言を田に座らせ、その上に稲束を積み、呪文を唱えながら、禹歩で周囲を回る遁甲隠形の術を行ったのです。

百鬼夜行が二人を探し始めたわけですが、姿が見えないので見つかるはずもありません。
大晦日に天下をしらみつぶしに探すと言い残し、物の怪たちはその場から消えていきました。

二人は嵯峨寺に隠れることにしました。
川人は天井裏で呪文を唱え、安仁は下で三密を唱えました。

妖気が漂い、血生臭い風、地響きがあったものの結局物の怪からは見つからず、無事でした。

今回の地神というのは、土公神、すなわち竈の神のことです。

この神の方位を犯すと祟りがあるのですが、この方位を避けるために、方角を迂回していく方違えが行われているのです。
ひとつひとつの禁忌を誤ると大変なことになりますからね。

見えない世界との関連では様々なことがありますが、それぞれに背景があります。
背景部分を知っていくことでより論理的にアウトプットができますから、そういうものの存在を疑っている人に対しても堂々と力を発揮できるというものです。
単なるオカルトから脱却し、意味を理解した上で力を使っていきましょう。


これからも良い記事を書いていきます。