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chapter16 ボート


激動の一夜が明けた。

シリアスな告白をしたつもりだったが、一生言われ続ける勢いのあだ名を付けられるオチになった夏の一夜。

キャンプでは皆で探索に出かけたり、釣りをしたりして下らない遊びに夢中になった。


で、何日目かにボートに乗ろうと誰かの提案で2人組みでボートに乗る事に。

男2人でボートってかなり気持ちが悪いシチュエーションなんだけど、そこはまだまだ青春時代の始まりと言う事で勘弁(笑)

ボートに乗ると、皆張り切って漕ぎ出した。

途中から例の如く、恒例の悪ふざけが始まる。

手漕ぎボートによる全速力レースが始まった。

途中から、如何に相手チームのボートを攻撃するかの競争に変わって行く。

水をオールでかけたり、相手のボートにぶつけたりしてかなりエキサイトしていた。

僕のボートは皆からちょっとだけ離れた場所で安全確保中(笑)

目の前では、ちょうどハッタリ号がもう一艘とバトル中。


ハッタリ号の攻撃。

2人でオールで湖面を叩きながら奇声を発して水を掛ける攻撃。

相手ダメージ30%


相手号の攻撃。

ハッタリ号の後ろに回り込み、思い切りブチかましアタックをする。

ハッタリ号のダメージ50%


すると相手号がハッタリ号の後ろから再度近づいて、ハッタリ号に手を掛けて思い切り揺さぶる攻撃!

ハッタリ号のダメージ98%


ボートの前に乗っていたハッタリが、ちょうど何かをしようとしたのか立ち上がった瞬間だった。


ハッタリの身体が宙を舞う…。













湖面に側転気味に落ちたハッタリ。
ここ何日か水に随分と縁があるなぁ。おい(笑)

ってかなり恥ずかしいんだけど。
落ちるなよ。マジで。
コントじゃないんだから。

照れ隠しか何なのか解らないんだけど、ハッタリはいきなり泳ぎ出した(笑)

まあ、短パンにTシャツだから大丈夫か。
すると皆が笑ってる事に気が付いて調子に乗ったハッタリは、何を思ったかいきなりシンクロナイズドスイミングの真似をやり始めた…。


うわぁ…。

こいつ調子に乗りやがった…


ハッタリが演技に夢中になってる時に、一艘のボートが全速力でその場を離れようとしていた。

俺達ボートもそれを見て、全速力でその場を離れ先のボートの後を追う。

振り返って見ると、湖面からピーンと伸びた脚が見える。


うん。本当にバカだ。こいつ。


すると息継ぎに湖面から顔を出したハッタリ。
皆が全速力で岸に向かってるのが見えたらしい。

するとハッタリは、物凄く引きつった顔でこちらをガン見しながらクロールで泳ぎ出した。


首は湖面から出てる。

で、クロール。

どんだけ下手かよ(笑)

進んでないよ。前に。

泳いでるって言うか、溺れ気味?

またまた俺達大爆笑に。

笑ってボート漕げないわ。

そんなに離れて無いから大丈夫大丈夫(笑)

死なないって!大丈夫だって!

だってもう岸辺じゃん!多分足付くぞ(笑)

物凄い勢いでもがきクロールをしているハッタリを見て、笑ってどうしようもない俺達。

ふと岸辺を見ると、沢山の人が集まってる。
ん?何なの?


岸辺には夏休みの合宿らしく、ミニスカートのテニス部らしい軍団の女の子達がわんさかと。

マズい…。カッコ悪い…。
とりあえず全速力で逃げなきゃ!

他の仲間達も同じ事を考えていたらしく、かなりのスピードで岸に向かった。

ほぼ同時に岸辺に着くボート。

で、速攻でボートからダッシュで離れる俺達w

ハッタリはまだもがいていた…。
水しぶきが凄い…。
物凄いな…。あの泳ぎ…。(笑)

岸辺にいたテニス部軍団の女の子達がガン見してる…。

中には既に笑ってる娘の姿も!


ヤバいヤバい。

俺達、他人ですが何か?

ただの通りすがりですが、何か?


見るとハッタリが湖から上がって来た…。


するとテニス軍団の女の子達が大爆笑に!


ハッタリは泳ぐのに必死だった。


今の湖から上がった自分がどんな姿になってるかなんて知る由もない訳で。


頭から藻が垂れている。

濡れてピッタピタのTシャツと短パン。

毛のあるウーパールーパーみたいだ♪

ギャラリーの笑い声が悲鳴に近くなった時に、
俺達は猛ダッシュで湖からバッくれた(笑)

後の事は知らないし解らない。

ただ、ハッタリはその晩のバンガローで一言も話そうとはしなかった…(笑)

楽しかった夏休み。本当に楽しかった。

ちなみにこのキャンプは、俺達の毎年恒例のイベントとしてあと2回行われた訳で。

それはまた後程に。


で、ハッタリはキャンプから帰ってから親とスミちゃん家一同にこっぴどく怒られたのは言うまでもありません(苦笑)

モッコリ2号機、ボロボロでしたから。
あ、奇跡的に次の日にエンジンはかかりましたよ(笑)

で、最終的にはこのモッコリ2号機はハッタリが頻繁にまるで自分のバイクかの様に使っていたんで、親戚が諦めてハッタリの愛車になりました。

モッコリ2号機、まだまだ活躍します♪

それも後程に…。



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