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#1740 教職におけるファスト&スロー思考~熟達した教師~

人間の思考には「ファスト思考(システム1)」と「スロー思考(システム2)」がある。

ファスト思考は、その場で即興的に思考し、判断を下す際に用いられる。

ファスト思考は「話し言葉」に影響を及ぼす。

また、特に「即興的な対話のやり取り」の際に用いられる。

教師という職業で言えば、「授業中」における思考がこれに当たる。

初任者教師は、このファスト思考が鍛え上げられていないため、その場その場で繰り出される振る舞いの精度が低いままとなる。

一方のスロー思考は、じっくりと時間をかけ、自己を省察的に振り返り、思考するときに用いられる。

スロー思考は「書き言葉」に影響を及ぼす。

また、原稿をじっくりと書き、それをもとに「発表」する際に用いられる。

教師という職業で言えば、「授業後」における思考がこれに当たる。

長年の経験や研修、教育書などの読書、日々の実践のリフレクションにより、自己の実践を省察することができる。

これにより、ファスト思考は鍛え、磨かれるのである。

そして、スロー思考により磨かれたファスト思考を用いることで、より精度の高い振る舞いを授業中でも繰り出すことができるようになる。

だからこそ、熟達した教師の授業はうまいのである。

熟達した教師は、スロー思考でファスト思考を磨き上げたからこそ、日々の授業を質の高いものにすることができるのだ。

いわば、教師として質の高い「直観」を働かせることができるのである。

逆に言えば、スロー思考で鍛えられていない教師は、質の低い直観しか働かせることができず、質の低い授業になってしまうのだ。

だからこそ、教師に必要なのは、「授業後」のスロー思考なのである。

長年の経験を積むこと。

研修に進んで参加すること。

教育書などの読書を続けること。

日々の実践のリフレクションをすること。

このようなときにスロー思考で省察することで、教師としてのファスト思考を鍛え、磨き上げることができるのだ。

肝に銘じておきたい。

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