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#1728 「活動あって学びなし」にならないためには?

現在、総合的な学習の時間を中心とした「探究的な学び」に再度注目が集まっている。

しかし、ややもすると、このような探究的な学びは、「活動あって学びなし」と揶揄されることが多い。

それは、見栄えのよい活動だけを行い、子どもたちに何の資質・能力も身に付いていないからである。

これを脱却し、子どもたちに「探究」のプロセスを経験させ、かつ確実に資質・能力も身に付けさせることが重要となる。

例えば、「PBL」と呼ばれる探究的な学びでは、以下のような探究のサイクルを経験させる。

➀テーマに関連する内容にふれる
②発散→収束で問いを設定する
③ゴールまでの流れを示した企画書を作成する
④③に基づいて探究活動を行う
⑤学んだことや成果と課題を振り返る
⑥⑤を他者に向けて発表する

また、イエナプランの「ワールドオリエンテーション」と呼ばれる探究的な学びでは、以下のような「ヤンセンの自転車」というステップを重視する。

➀好奇心を刺激する
②問いを集める(テーマと複数の視点を活用する)
③問いを整理し、役割分担をして探究計画を立てる
④実験・発見・インタビューなどで探究し、結果をまとめる
⑤内容に合う形で発表し、探究の結果を共有する
⑥探求の成果を振り返り、まとめ、記録したものを保管する
⑦学んだことを学習目標と照合し、取り扱っていない目標に向かって新たな計画を立てる

これらのような「探究のプロセス」を経験させることが重要となる。

しかし、プロセスの経験だけでは「学び」は生まれない。

育成すべき資質・能力を明確にもつことが必要となる。

そこで、教師と子どもたちが対話をし、「探究により付けたい力(資質・能力)」を合意形成することが求められる。

考えられる資質・能力の例は以下である。

➀問題発見力
②解決に向けた計画力
③探究力(情報活用力)
④表現力
⑤他者との協働力
⑥自己調整力・内省力

このような「探究により育成すべき資質・能力」を最上位目的として位置付け、教師と子どもが共有することで、真に「学び」のある探究にしていくことができるのだ。

そして、このような資質・能力の重要性を自覚できているからこそ、教師も子どもも「問いの設定」「計画・企画」「探究活動」「まとめ・表現」「振り返り」の質を高めることができるのである。

「活動あって学びなし」の探究的な学びにすることは実に簡単である。

それは、ただ単に「探究のサイクル」を踏むことである。

しかし、そこから脱却し、真の「学び」にするためには、「育成すべき資質・能力」を規定し、子どもと共有することが必要不可欠なのである。

ぜひ、このことを念頭に置き、探究的な学びのデザインをしていきたい。

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