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会計士試験合格者にはこんな会計士になってほしい

論文式試験の合格発表から2週間。合格者の皆さんは、就活もほぼ終えて、これからの会計士人生に思いをはせているころでしょうか?


監査法人で30年強、うち17年をパートナーとして勤めた「てりたま」です。
このnoteを開いていただき、ありがとうございます。

合格発表の日に、合格者に向けたメッセージを投稿しました。
会計士(試験合格者)としてのキャリアの入り口に立った皆さんに、持っておく方がよいと思う心構えを3つ挙げています。

今回は、未来に目を向けて、皆さんにどんな会計士になってほしいかをお話しします。
シンプルに、二つだけです。


❶ 世の中の問題を解決する会計士になってほしい

会計士と「世の中」?

多くの士業や医師などの専門職は、「職業法」と呼ばれる法律の下で仕事をしています。会計士はもちろん、公認会計士法です。

職業法の第1条は、その専門職の使命が書かれています。
公認会計士法第1条は、かなり長い文章ですが、「国民経済の健全な発展に寄与」しなさい、と言っています。
同様に、弁護士は「社会正義の実現」、医師は「国民の健康な生活」の確保が使命とされています。

世の中のさまざまな重要なポイントに専門職を配置し、その使命を職業法に定義することで、社会全体が円滑に回るようにデザインされています。
公認会計士もその一端を担っているわけです。

「世の中の問題」とは?

ニュースやSNSでは毎日たくさんの事件が取り上げられ、この世は問題だらけのようです。

2019年に発行され、翌年話題になった本「ファクトフルネス」では、ニュースから受ける印象ほど世の中は悪くないと言っていますが、たくさんの問題があることには間違いありません。

日本では人口減少、特に就労人口が減少する中で、いかに経済を活性化し、持続可能な国にするか、という点が最大の問題だと思います。

「世の中の問題」に会計士は何ができる?

世の中のあらゆる仕事は、誰かの問題を解決するために存在しています。

自動車メーカーは車を開発・製造することで、移動手段がほしい、ドライブを楽しみたいという人たちの問題を解決しています。
コンビニは近くにあっていつでも開いていることで、「必要なものをすぐに手に入れたい」という人たちの問題を解決しています。
学校は、教育を受けたい、受けさせたいという生徒や親の問題や、優秀な人材を求めている社会の問題を解決しています。

会計士はどんな問題を解決しているのでしょうか?

メインの監査業務で言うと、資金調達をしたい、上場したいという企業の問題を解決し、投資をするために信頼できる財務数値がほしいという投資家の問題を解決しています。
さらにこれらの企業は商品やサービスを提供することで誰かの問題を解決しています。我々は監査を通じて、間接的にありとあらゆる世の中の問題解決に貢献していると言ってよいと思います。

会計士の仕事は監査以外にも多岐にわたり、それぞれ世の中の問題に直接、間接に貢献しています。

国家試験に合格し、公認会計士法により使命を帯びた皆さんには、日々の仕事が世の中の問題解決に貢献していることを意識しながら、キャリアを築いていただきたいと思います。

世の中によりよく貢献するために

ぼんやりとした目標だけを示されてもピンと来ないかもしれませんね。
それでは何をすればよいか、少しだけお話しします。

  • 世の中に不足しているスキルを身に着ける
    専門職は希少なスキルを使って世の中に貢献する仕事です。
    十分に満たされていない世の中のニーズを満たすために、どんなスキルを身に着ければよいか、考えてください。

  • 海外で活躍する
    英語を含めて異文化での対応力を身に着けて、ぜひ海外で活躍できる人材になってください。
    問題解決の対象を海外にまで広げることができ、日本の問題もよりよく解決でき、あなた自身の環境変化への対応力を強化できます。

  • 枠にとらわれない発想をする
    時代は新しい考え方で古いものを置き換えることで前に進みます。
    「今までこうしてきたから」「ここでは、これが普通だから」といった「常識」を疑い、新しいことを構想し、挑戦し、時代をリードする人になってください。

  • 後輩の成長を助ける
    「先輩にお世話になるばかりで申し訳ない」といった声を聞くことがあります。
    お世話になりっぱなしで、まったく構いません。その恩は、後輩の面倒を見ることで返しましょう。いわゆる"pay forward"です。


❷ 幸せになってほしい

「幸せになってほしいって、いきなりどうしたの?」という声が聞こえてきそうですが、もう少しお付き合いください。

9月に準会員会で講演する機会があり、こんな質問をいただきました。
「仕事のどこに幸せを見出すべきでしょうか」

これに対して、次のようにお答えしました。
「『仕事の中に幸せを見出す』のではなく、『幸せになるために仕事がある』べきです」

仕事は次のように幸せをもたらすはずのものです。

  • 金銭的な心配が減ることで、自分や家族が幸せな生活を送る

  • やりがいのある仕事で自己実現ができて幸せになる

  • 職場の信頼できる仲間と時間を共有することで幸せになる

もちろん、つらいこともいろいろあります。
朝起きるのはつらいし、残業はつらいし、クライアントと対立するとつらいし、上司から評価されないとつらい。

しかし、縁あってこの業界に入ることになったあなたには、ぜひ幸せになってほしい。
心からそう思います。


おわりに

このnoteのことは忘れても、将来、世の中の問題解決に活躍するとともに、もっと幸せになってください。

期待しています。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。
この投稿へのご意見を下のコメント欄またはX/Twitter(@teritamadozo)でいただけると幸いです。
これからもおつきあいのほど、よろしくお願いいたします。

てりたま

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