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【特別公開版】くらげ×寺島ヒロ 発達障害あるある対談第297回 「GIGA構想は今ひとつ『便利』になりきれてない!?通知地獄の対処法って!?」ってお話

このnoteは有料マガジン「くらげ×寺島ヒロ 発達障害あるある対談」より、くらげ氏の許可を得て抜粋、再編集したものです。「まとめマガジン」には発達障害とAI、そして変わる働き方についての記事を収録しています。

発達障害あるある対談297(2022年3月30日更新分)

[く] こんばんは。くらげです。

[寺] こんばんは。寺島です。

[く] 寒い日と暑い日が交互に続いていますが、東京は桜が満開になったそうです。でも、いきなり大雨が降って花見どころじゃないですね。

[寺] 関西にいる私たち家族も、気圧の差にやられていました。まだ頭が痛いです。東京は先週は雪も降ってましたよね。寒暖の差と気圧の差でえらいことになっている方も多いんじゃないかと思いますが。

[く] 幸い今はほぼ復調しています。明日(平日)に晴れて体調が良ければ、妻のあおを連れて近所のお花見スポットを散歩してきたいところです。これまで安全に移動できる方法が少なく花見をやる余裕すらありませんでしたから。

[寺] 良いですね~。うちは体調もひどいのですが、別件でちょっとドタバタしていまして…。

[く] ボクも他の人のことは言えないですが、寺島さんもトラブルがないときってあるんですか?

[寺] ないかも(笑)

[く] ないんですか(笑)今回は何ごとで?

[寺] 息子がまた履修登録失敗してることが判明しまして。来週、なるはやでまた大学に行ってきます。

[く] あぁ、発達障害のある大学生の大半が詰まるという「履修登録」ですか…。私が障害のある大学生の支援の仕事をしているときに、「履修登録の説明を聞いたけど分からない」「授業を入れすぎてしまったり逆に入れなさすぎる」「悩んでる間に締め切りが過ぎてしまう」というのは本当によく聞いた事例ですね。

[寺] とうとう4年間、まともに履修登録ができなかったですね。障害学生ということで、最初に「履修登録たぶん出来ません、フォローミー!」と伝えて、個別にチェックしてもらってなかったらどうなっていたことか…。

[く] その辺りはここ10年で大学での履修支援などが本当に進みました。ボクが高校生の頃は障がいのある高校生の担任が大学に出向いて「この子に大学を受験させて欲しい」と頭を下げていることもあったので本当に変わったと思います。

[寺] 大学も生き残りに必死ですからね、そういうところで「お客さん」を逃したくないという面もあるのでしょう…。現場は大変そうですけどね。

[く] 確か前回は履修登録がWEBのみになって、授業の選び方が分からず申請できずに止まっていて締め切りを過ぎたんでしたっけ?

[寺] 違う違う、それは前々回。前回は選んだけど申請ボタンを押してなくて、全部未登録になってたという事件。

[く] WEBでの登録になって便利になったかと思いきや…なんでそこまでやって申請ボタンを押さないんですか。

[寺] スクロールしないと見えないところに申請ボタンがあったから、らしいです。普通なら意識してなくても「念のため下まで見ておくか」となんとなく思って見るところですが、その「なんとなく」が働かないのが息子クオリティ。

[く] 会社なら「確認しろ確認しろ」とうるさく言われるところですね。わかります。

[寺] でも今回はヒドいですよ〜!「野鳥の会の連絡がメールからLINEになったので、毎日LINE見て、メール見るの忘れてて、履修登録期間に入ったことがわからなかった」というのが理由なんです。

[く] 発達障害というか、また別なことが原因な気もしますね、それは(笑)

[寺] そうですか?ASD的にはこれが主障害のような気もしますが。まあ、今回もひとつも授業に登録してないということで、支援課から電話かかってきて発覚しました。幸い、息子の学校には修正登録という希望の講座にあぶれてしまった学生の救済措置が残っているので、その制度を使って再申請する予定です。

[く] 修正登録というのは公立のどこの大学でもあるんですかね?あぶれたわけではなく、うっかりしちゃった人は誰でも申請できるんでしょうか?

[寺] 他の大学は独自の制度を持っていると思いますよ。でも息子の学校では誰でも使えます。また一旦希望の講座に入ることが決まっても、この期間にならキャンセルできます。1日しかないですけどね。この日に忘れたらもうアウトなので、我が家ではもう徹夜の構え(笑)

[く] お疲れ様です。大学に行くぐらいだから賢いんだろうと思って本人に任せると、発達障害のある人の場合大変なことになりますね。でもなんとかなったようで良かったです。

[寺] でもね〜4年次は研究室での実験が主になるんです。そちらは定員1に内定して、研究室のslackにも入ってるので、遅れてでも申請すればたぶん入れるけど…。最初っからやらかしちゃった感は否めないですね。もー、こんなネタいらん(笑)

[く] 大丈夫、今年で終わりですよ!(笑)しかし、最近はメールや LINE、チャットアプリと連絡関係だけであちこちから通知がくるじゃないですか。それに普段から使っているスマホアプリなどの通知を含めたら1日に何十回と通知がくるわけですよ。そのたびに意識が逸れてしまったりする人も多いので大変だと思いますよ。というか、ボクがそうなんですが。

[寺] くらげさんはめちゃくちゃいろんな通知に過敏に反応そうですよね(笑)

[く] そうですね。ただ、仕事に集中したい時は人工内耳も補聴器も外してスマホのアラームをオフにしておけばそれだけで音が聞こえない環境になりますからそこで集中しているのはありますね。

[寺] それは良いライフハックですね。でも残念ながら再現性がないという(笑)

[く] それでも、会社で大勢の「言うこと」を聞き取って、整理して、対応してってやっていたことに比べると全然良いですね。全てネットにあると思うと安心感もあります。

[寺] 発達障害のある人はすぐモノを無くしますからね!そういえば、先日のカタリバの方とのお話の中でちょっとGIGA構想の話題が出たんですが…GIGA構想って、小中学校で1人にひとつタブレットPCを配りますというものなんですが…このタブレット、家に持って帰るの禁止にしている学校がすごく多い問題というのがありまして。

[く] 学校での授業でのみ使うっていうことですか?それはちょっとイメージと違いますね。

[寺] でしょう?我々発達障害のある子の親は、学校からの連絡プリントや宿題の内容、テスト範囲などが、このタブレットを通じて配布されてくると思ってたんです。やったぁペーパーレス!って。

[く] 小学生や中学生の頃からずっと「おうちにお渡してね」というプリントやら何やらを高確率で忘れて母親にめちゃくちゃ迷惑かけてたりしたひとりです。そうじゃないんですか?

[寺] なかったんですよ。もちろん全国的に見ればやっている学校もありますが、ほとんどの学校が対応できていませんでした。娘の中学では、コロナで休校が続く中、修学旅行の組み分けをしなければならなくなって、zoomで学活をするため「自宅にネット環境のない人は持って帰っても良いよ」となったのが、もうほとんど最初で最後ですね。

[く] 何のために配布するんですかね、それは(笑)では今でもやっぱりプリントは紙のままなんでしょうか。ランドセルの奥にくしゃくしゃになって入ってるやつ。

[寺] 普通はくしゃくしゃにしませんからね!?まぁ、私もよく見ますけど!(笑)GIGA構想は、もうそこからつまずいてる感はあるんですけど、個々の学校の対応とば別に、国の主導でデジタル授業というものも、コロナ禍下で始まってるんですよ。ビデオ授業をカリキュラムに合わせて配信するという、まあ、放送大学みたいなやつって言ったらわかりやすいかな。

[く] 評価とか、宿題の丸つけみたいなのはどうするんですかね?

[寺] 評価はプリントの提出と定期テストです。それは学校に登校してやることになってるんで、今のところはトーキング授業のみ置き換えって感じですね。あと、丸つけってもう随分前から家庭でやることになってますよ?宿題も見てくれる放課後デイなんかだと、支援のスタッフさんがやってくれるケースもありますが。

[く] 聞けば聞くほど、子どもを育てることの大変さに恐怖すら感じますよ。勉強が嫌い、苦手という親御さんの場合はどうするんですかね。それこそ丸つけを遂行する集中力がない親の場合とか。

[寺] だから教育格差が開く一方なのかもしれないですね。勉強は自己責任、親ガチャ外れたねと言っておけば済むわけですから…まあ、それはここでの主題じゃないので置いておきましょう。コロナを推進力にして進んできたGIGA構想ですが、学校機能の置き換えには届いていないのが現状ですね。

[く] 何か今一つ足りないと言うか、現場も試行錯誤しているんでしょうけど…。まだ「過渡期」だと思いたいですね…。

[寺] コロナ感染対策のためのデジタル学習だからと、それまでも登校していなかった不登校の子どもが、デジタル学習の対象外とされたという問題もありました。縦割り!って感じですよね。

[く] そうなんですか!?デジタル学習は不登校の子どもにこそ福音となると思っていたんですが。ほんと、何のためにやるんだ、それ。

[寺] もちろん問題になりましたし、これから制度どんどん洗練されていくとは思うんですが…子どもの一年は大きいですからね。いつかできるでは間に合いません。親も行政に翻弄されるばかりでなく、最善手を選択していかなければ。ただでさえ忙しいので、めっちゃキツイですけどね!

[く] まずは紙のプリントをデジタル化するところからですかね。親の負担も少しは減ります。

[寺] そういえば、うちの娘は、あの「ネットの高校」の姉妹校に入学が決まったんですが、連絡が全部メールでくるんですよ。すごい有難いです。

[く] なるほど、通信の学校などの方が、連絡をネットでやりとりすることに慣れてるかもしれませんね。

[寺] 入学に関しては紙の書類にハンコを押して返すみたいなやりとりは少しはありましたけどね。しかも、同じ内容がホームページの個人ページから確認できるんです。「個人ページにメールを送信します」じゃないんです。「同じ内容を流しておきます」なんです。どちらで確認しても良いようになってるの、ありがた〜い!

[く] WEBサイトにアーカイブがあるの良いですね。メールが迷惑メールに格納されている可能性もありますし、いつ届いたということを確認するのも簡単になりますからね。

[寺] 学校に行ってプリントを子どもが持って帰る方式だと、子どもが失くしたのか、まだ受け取っていないのか、そもそもプリントがあったのかも分からないわけですよ。それが明確にわかるようになったのが有難いですね。

[く] 子どもがくしゃくしゃになったまま持っているというパターンもありますよ(笑)

[寺] 服のポケットに入ったまま私が受け取って、洗濯機に入れてるパターンもあります(泣) 白い粉々がついた服が洗濯機から出てくると「いつ?だれ?どこからもらったなに?」って頭の中パニックになりますよ。またしょっちゅうあったんだ。これが。

[く] どこまで遡ったらいいんだと思いますよね。

[寺] 入学してからの連絡は、メールで受け取ることもできますが、生徒個人のアカウントと、生徒の保護者のアカウントが別々に発行され、それぞれWEBページで見ることができるようになるようです。就学支援・補助の申請や、保護者会、ボランティアの募集のお知らせなどは、保護者のアカウントにだけ届くそうです。

[く] 親だけですか。たしかに考えてみれば、就学援助金の申請用紙などを、同級生のいるところで子どもに取りに来いというのは酷な場面もあるでしょうね。

[寺] 給食費を子どもに現金で運ばせていたのも、今となっては疑問符のつくことですもんね。逆に、課題やテスト範囲、小テストのお知らせや、担当の先生との細かい授業連絡、生徒活動などは生徒だけです。定期的テストと、学期ごとの成績、進路指導については同じものが同時に配信されるそうです。0点のテストを隠しておくことはできません(笑)

[く] そうなると、今まで、子どもを通してしか繋がっていなかった、学校と保護者の関係も変わってくるかもしれませんね。それこそ、GIGAスクール構想とは次元の違う変化になるかもしれません。

[寺] いやほんと、楽しみです。しかし、通知が多すぎて処理しきれないよ問題は、依然残っているわけですが…くらげさんは仕事とかの通知をどうしていますか?

[く] もう見落とすのが多いというのはもはや前提にして…。

[寺] 前提なんだ(笑)

[く] 前提ですね(笑)通知が来た瞬間に返信か作業やってしまうのが一番確実なんですが、手が空いてなかったりしんどかったりしててできないことも多いので…。そういう場合はブックマーク機能があるアプリケーションならブックマークを使いますし、どうしても忘れてはいけない通知みたいのがあったからスクショして保存しちゃってますね。

[寺] スクショがデスクトップ中に広がりそう…。

[く] まだそこまでではないので大丈夫です(笑)

[寺] いずれはAIアシスタントみたいなのが管理してくれるようになると期待しましょう。では今回はこんなところでしょうか。

[く] そうですね。次も控えてますし、これぐらいで。お疲れ様でした!

[寺] お疲れ様でした。また来週!

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