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【特別公開版】くらげ×寺島ヒロ 発達障害あるある対談 第258回 「テクノロジーで発達障害のある人の支援ってどう変わる!?ロボットが手伝ってくれる未来は来るのかな!?」ってお話

このnoteは有料マガジン「くらげ×寺島ヒロ 発達障害あるある対談」より、くらげ氏の許可を得て抜粋、再編集したものです。「まとめマガジン」には発達障害とAI、そして変わる働き方についての記事を収録しています。

発達障害あるある対談258(2021年5月28日更新分)

[く] こんばんは。くらげです。

[寺] こんばんは。寺島です。まもなく大阪や東京も梅雨入りしそうですが、くらげさんは体調の方、大丈夫ですか?私の方はもう子ども達がテンションが上がったり急激に落ち込んだりともう大変な状態です。毎日のように「強烈に甘いパフェ食いてえ…!」ってうめいてます。

[く] こちらはなんでか2時間から3時間で目が覚めてしまって熟睡ができていない状態です。無理に寝ようとすると変な夢を見てガバッと飛び起きたりするので、一応起きてはいるのですが、眠気やだるさが続くのであまり体調が良くないですし、仕事も順調に進んではいません。

[寺] 今年は梅雨が早かったですしねえ…。計画倒れになったものも結構あるのでは…。あ、でも、あおさんの退院もそろそろなんじゃないですか?

[く] はい、もうすぐ退院予定です。部屋を片付けたり掃除したりの退院準備は進めています。退院後のスケジュールとかもうちょっといろいろ考えているんですが、あおの入院生活のリズムをできるだけ崩さないようにしたいと思います。そうするとこちらも生活のリズム感が出てくるのでだいぶ色々捗るんじゃないかと。

[寺] 生活にリズムがしっかり出てくるのはいいことだと思いますよ。頑張ってくださいね。

[く] さて、今回のテーマはどうしましょうか?寺島さんはなんか最近変わったことはありましたか?

[寺] 最近通っている大阪の歯医者さんが、大分で通っていたところに比べて凄くバリアフリーが進んでて驚いた話します?

[く] 歯医者さんですか。そういえば奥歯を抜いたんでしたっけ?

[寺] そうなんですよ。3月の終わりぐらいだったかな、急に歯茎が腫れてきてしまって。緊急事態宣言もあったからしばらくは我慢してたんですが、だんだん痛み止めも効かなくなって来て「これはもう不要不急ではない」と、大阪の歯医者さんを探して検査をしてもらったんですね。そしたら、昔治療した歯が被せ物の中で割れててもう抜歯するしかない状態だったんです。

[く] うわあ、痛そう。

[寺] 治療自体は麻酔もあるし大したことなかったんですが、抜歯をしてからまたプク〜と腫れましてね。数日間うんうん唸りながら寝ていたんですが、それが去った後に「パァー」と頭の中の霧が晴れまして、IQが10くらい上がった気がしましたよ。

[く] そんなに痛かったんですか…。というか、痛みを抱えながらよく普通に生活できてましたね…。まぁ、あおもそんな状態になった時がありますけど…。

[寺] ASDがあると痛みに敏感だったり鈍感だったりする人多いですけど、私は痛みに強いというか鈍いみたいです。痛みを感じてるけど意識に上がってこないと言った方がいいのかな。でもやはりどこかですごいストレスになっていたようで、抜歯したらなんかもう社会的適応とか仕事をうまくやるとかどうでもよくなってきてしまいました。ちょっと「痛みから解放されたハイ」が来てる(笑)

[く] ちょっと待ってください!社会的適応の悩みが吹っ飛ぶくらいって、いったいその痛みを何年ぐらい放置していたんですか!?

[寺] 何年だったかな…。1人目の子どもが中学受験で、2人目の子どもが小学校に上がって忙しくなったあたりですから7~8年くらいですかね。思考スピードが上がったので、3つぐらい抱えていた「なんやろなーあれってー」と不愉快に思ってた社会問題に答えが出ちゃいました。また一つ解脱に近づきましたよ!

[く] 社会問題だと思ったのが自分の歯の痛みだったんですか!?今回ツッコミが追いつかないんですけど…。

[寺] いや違う違う!痛みが思考を鈍らせるなあということを改めて感じという話です。人間、まずは身体の健康ですね。だから、自分の抱えてる困りごとをクドクド他人に言っても、医療や福祉では誰もそのこと自体は解決してくれなくて、まずは体を治しましょうとか、ゆっくり休んでからにしましょうって言われるんだなーって思いました。

[く] 確かに、体調が悪いと継続して物事を考えるのは難しくなりますし、情報を得ても悪く受け取りがちになりますよね。

[寺] ですねー。まずは身体を治して、自分で解決に努めよということなんですよね。でもその論法は治らない病には効かないんだよなーと思いますけど。

[く] 身も蓋もない結論が聞こえたような…。治らない病といえば、ALSの進行を遅らせる薬が IPS 細胞の応用で開発されたらしいんですよ。臨床試験はこれからみたいなんですが。こういう新しいテクノロジーにより救われる人というのがどんどん増えていくんでしょうね。

[寺] あ、その抜歯した歯も「痛くはないけどなんかおかしいな、違和感があるな」と言いつつ13年ぐらい抱え込んでいたんですよ。ただ放置していたのではなくて、何度も「ここ何かないですか?」って引っ越して歯医者を変えるたびに聞いていたんですが、わかんなかったの。今回の歯医者さんに最新式のスキャナがあって、3Dにしてみて初めて異変が分かったんです。画像解析は人間の表情なんかはまだ読み取れないけど、ベテランの歯科医が見つけられない歯の穴を見つけてくれました!これぞテクノロジーですよね!

[く] こんな身近に最新のテクノロジーで救われた人がいた!いやまぁ、人工内耳で音を聞いている私が言う話でもないんですけど(笑)画像解析でいえばお年寄りが認知症を発症しているかどうかを検証するための AI ができたそうなんですが、こういうテクノロジーは発達障害などの診断の手がかりになるかもしれませんね。取り扱いには細心の注意が必要ですが…。

[寺] もう診断ということに限っていえば機械の方が精度が高いというところまで来ているんじゃないですか。だいぶ前…と言っても3年ほど前ですが、発達障害のある人の支援に AI が使えるという話はこのnoteでもしているんですね。わたしは「ゼラ」が耳元で最適な行動や相手の考えていることなどを耳打ちしてくれるといいなとかと言いまくっていましたけど、ここ最近のAIの進歩を見るとそういうことが夢物語でもなくなってきましたねぇ。

[く] 最近はnoteの記事も大半は音声入力で書いているんですけど、音声入力も半年間に1回くらい大きくバージョンアップするみたいで、その度に「また性能が良くなった!?」と驚いています。現段階では、もはや心を読んで文字変換をしているんじゃないか、と思うことすらあるんですけど、どこまで進歩するのかちょっとよくわからないですね。

[寺] 人間の話すことって、実はそんなにバリエーションがないんじゃないんでしょうか?だから、ある程度解析をしてしまえば、話す人がどういう癖があるのかとか分かってしまうんでしょうね。もちろんそれを実現するためには高度な技術が必要なんでしょうけど。

[く] あと、GPT-3という文章作成支援AIが誕生して、これは例えば「天気についての記事を書いて」などと言うだけで指定された文字数の記事を自動的に作ったりしてくれるみたいなんですよ。今のところ対応している言語が英語だけなんですが、日本語にも対応したら使ってみたいですね。あと、AIに自分の周りの状態を認識してもらってその最適解になるようなシナリオを作ってもらうとかですね。その通りに動くだけでいいみたいな、そういうのが出来たら状況が読めない発達障害の人にとって最高の使い方ができるんじゃないかとか。

[寺] AIに決められたシナリオ通りにくらげさんが動けるかはともかく、出来たら面白いですね。でも、それって英語圏での振る舞いをインプットされて海を渡ってくるので、日本では通用しないかもですよ(笑)

[く] その発想はありませんでした(笑)

[寺] やがて日本語に最適化されて、日本での振る舞いなども学んでいけば発達障害の方の支援に活用できるかもしれませんね。それよりはそのような AI が当たり前になったら日本人の振る舞いの方がAIに合わせるようになるかもしれませんが(笑)

[く] 寺島さんはどんなAIがあったら欲しいなってのが何かありますか?

[寺] インターフェース系でですか?落合陽一さんが自分の分身AIを作っているらしいので、それが出来たら好きなだけお喋りしたいですね。きっと一般公開すると思うんですよ。

[く] 確かに公開しそうですけど、私が使ったら意味不明なことばかり言われてぶん殴ってしまいそうです(笑)しかし、その落合陽一 AI はチューリングテストを突破するんでしょうかね?

[寺] そこまで厳密にそっくりであることは求めてないですが、突破する、しないで言えば突破すると思いますね。先ほども言ったように、人間が他人に話すことのパターンなんてそんなに多くはないんですよ。たとえ落合陽一さんであろうと話す内容が無限分岐とは考えにくいです。AIが再現できるレベルで収まると思います。

テクノロジーで開く発達障害のある人の支援、実際はどうなるんでしょうね?

[く] ガジェット好きとしてはAIというより、ロボですね、そういうもの発展に興味は尽きないわけですが、一般的な発達障害のある人にとってはどうなんですかね。例えば生活支援ロボが生身の人の代わりにやってきたとして受け入れられるのかとか。

[寺] そっくり人の代わりにはならないんじゃないかなあ…。生身の人間にはしんどいという部分を埋めるようになるんだと思いますよ。夜通し呼吸を見ていてくれるとか、トイレと言ったら連れて行ってくれるとか。例えば、ASDの人にも同じことを何度も言ったり、持論を展開し始めると止まらない人がいますよね?生身の人間なら「後にして!」と言ってしまうところですが、AIはいつでも聞いてくれるでしょう?しかも情報としてビッグデータに残してくれる。ASDにとっては最高の話し相手になるかもしれませんよ。

[く] あー、時間の感覚がない人には良いかもしれないですね。ASDの人は睡眠時間がずれている人も多いですし。夜中に長話をされるのは生身にはツライ。

[寺] 私共も人に迷惑をかけたくて喋っているわけではないのですよー。ただ「今はダメ」「もうその話は飽きた」というサインが分からない。分かっても今しゃべりたいという衝動を抑えられないだけなんです(笑)ADHDの人も、何かを習得する時に、教官が人間だったら「何で分からないの!」って怒り出すところでもAIなら何度でも繰り返し教えてくれますし、なんなら理解しやすいアプローチをパターンも試みてくれるわけですよ。すごく楽ちんになると思いません?

[く] 怒られない、嫌われないというのは、確かにADHDにとってはすごい安心感かもしれませんね。AIの進歩は発達障害の支援や生きやすさにつながっていくと思うのでこれからも注目していきましょう。では、今回はこれくらいで。お疲れ様でした!

[寺] バリアフリーの話し忘れてた!(笑)ではこれはまたの機会に。お疲れ様でした。

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