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【特別公開版】くらげ×寺島ヒロ 発達障害あるある対談 第301回 「ADHDにとって『本当のニュース』を見分けるのは難しい!?情報をパッケージで受け取る意味もある?」ってお話

このnoteは有料マガジン「くらげ×寺島ヒロ 発達障害あるある対談」より、くらげ氏の許可を得て抜粋、再編集したものです。「まとめマガジン」には発達障害とAI、そして変わる働き方についての記事を収録しています。

発達障害あるある対談301(2022年4月28日更新分)

[く] こんばんは。くらげです。

[寺] こんばんは。寺島です。

[く] 寺島さん、娘さんが高熱を出したと聞きましたが、大丈夫でした?

[寺] おかげさまで今はかなり復調しました。一時は39度台に突入しましてしましたが、コロナウイルスの検査の結果は陰性でした。

[く] 陰性で良かったですね。それにしても本当に心臓に悪いと言うか…。

[寺] もし娘が陽性だったら、家族全体で隔離になるので本当にヒヤッとしました。うちの娘、ASDもあって自分の体調の変化に気が付きにくいんですよ。小さい頃からなんか言ってきた時にはすでに重症なので、重大な病気だったんじゃないかと心配しました。

[く] ボクもここ2週間、一気に体調が悪化して精神状態もあまり良くなくて大変です。やっと復活してきましたが、あまり仕事がはかどらない状態です。

[寺] 季節の変わり目で体温調節がうまくいかないのもあるんですかね。暑かったり寒かったりの寒暖差が激しいのもありますが、くらげさんは春先に大体元気でそれを過ぎると倦怠期に入るようなサイクルがありますよね。

[く] そうですね。暑かったりジメジメするのもとても苦手なのでそういう影響もあるかもしれません。まぁ、4月頭は随分とスピーディーに仕事を進められたのでそのストックで何とかなっていますが…。

[寺] くらげさんの口から「ストックができた」という言葉が出るなんて…。そりゃあも天気がおかしくもなるわけですよ…。

[く] そんなに天変地異が起きるようなレベルですか!?まぁ、以前からやっているタスク管理表が随分と役に立ってるわけですが…。最低限やることをやってるので後は気分の問題でしょうか。まぁ、旅行に行ったりサウナに入ったりしてだいぶ回復したわけですが。

[寺] 気分の問題ですか。ある程度はセルフコントロールできているのは良いんではないでしょうか。2週間働いて3日旅行はなんだかコスパが悪いような気もしますが(笑)

[く] それほど贅沢をしているわけでもないので勘弁してください。障害者割引がある休暇村のようなところ目的地に、ただただ車で走るだけですよ(笑)こういう何をするでもない旅というのを、最近は楽しめるようになりましたよ。

[寺] 私は、しばらく家で家事と仕事ばかりだなあという時は生活雑誌とか見て、気分をコントロールしますよ。きれいな料理の写真とか見ると、自分も何か作ろうという気が湧いてきます。

[く] ASDの人は他の人がやっているからやろうと思うことは少ないようですが、そういう社会性(?)みたいなものはあるんですね。

[寺] 目の前で実際に人が料理していると、一緒にやろうとか思うより前に、人の動きを見て疲れてしまうかも(笑)写真や読み物などになってて、ワンクッションあるぐらいがちょうどいいですね。

[く] 紙派の人にはそういう人、結構いるようですね。自分では気分を盛り上げるという目的で読むことはあまりありませんけど。

[寺] そういえば、うちの夫(ADHDあり)が言ってましたけど、音楽や雑誌で「気分を乗せる」というのがわからないのだそうですけど、ADHDと関係あるんでしょうか?

[く] それは…どうなんでしょう(笑)なんとなく河童さんの固有の問題な気もするんですが…。私は音楽を聴くと割と元気になるタイプではありますし。

[寺] 雑誌とかはどうです?旅行の前に、旅行の本を読んだりします?紀行文とか。

[く] うーん…情報を入れておこうという目的でしか読まないかもです。まぁ、最近、Kindle Unlimited で雑誌を読む回数が増えましたね。で、ターザンとかあるじゃないですか。

[寺] ああ、筋肉を作りたくなるやつですね。

[く] 読むというほどではないですが、パラパラ眺めることはあります。で、ターザンとかの雑誌って、1年続けて読めば内容がループするので「ああ、またこの内容が」となるんですよ。でも、今話していて、ああいうのは読むことでモチベーションを維持するのが最大の目的なんだろうなと思いました。

[寺] それはあると思います。ご飯作るのめんどい〜という時も、本でレシピとか見てると作るモチベーションが湧いてきたりしますし。伴走者代わりだから、似たような内容でも構わないんですよ。内容が大体わかっているからこそパラ見するだけで、すぐモチベーションが上がって良いというのもありますから。

[く] そういうのが「気分を乗せる」ということなんだろうなぁ、と。そういう意味ではこれまでは純粋に知識として読もうとしてたんですけど。

[寺] 歳時記や料理雑誌は、生活に伴走することを相当意識して作られていると思いますよ。普段は知識を求めて雑誌を読んでいるんですか?どれぐらい読んでます?

[く] 主に読むのはニュース関係は「ニューズウィーク日本版」、IT系は「週刊アスキー」で趣味はエアガン雑誌の「アームズマガジン」「GUN」「ミリタリークラシック」「歴史人」というところでしょうか。

[寺] 趣味っぽいというか偏ってるというか(笑)でも、その辺りだとインターネットでも読める記事が多くないですか?

[く]  最新情報ならそれこそ毎日ネットで見れてばいいのですが、やはり「企画」としてまとまっていることが大事なんだなぁ、とKindleとかで雑誌を読んで感じますね。ADHDだと「新しい情報」を常に求めがちですけど、パッケージとしての企画をまとめて読む、という価値に気づきにくいのはあるかもしれません。

[寺] ネットのKindleコンテンツが雑誌の範疇に入っていることを地味に驚きつつ(笑)確かに、ADHDのある人は、情報のザッピングが好きで、あまり通読してるイメージはなかったです。すぐ飽きちゃうみたいな。

[く] 続けて読むこと自体ストレスというのもありますからね。そういえば最近は CD のアルバムを通して聴くということが減っているみたいですね。ボクもアルバムを買うのは平沢進くらいなんですけど、やっぱり曲だけではなくてアルバムを最初から最後まで通して聞くことで見える世界観というのもやっぱりありますよね。

[寺] 私はアルバム好きですよ。世代もあると思いますが、その時、その時の、時代のムーブみたいなものが閉じ込められている感じが好きなんですよね。動画でも初投稿から降順に見るのが好きです。最新のものまで見ると、また頭から見たりもしますよ。

[く] 寺島さんは、小説とかも同じシリーズものをぐるぐる読んでるという話でしたよね。

[寺] 1巻から最新刊まで読むと、また1巻に戻ります。それで新しいものもそれなりに読んでるから時間がいくらあっても足りない、コンテンツ漬けの毎日です(笑)

[く] 一度好きになると離れない、こだわりの強いASDっぽいエピソードですね(笑)

[寺] でも大きい流れでいうと、アーティストアルバムみたいなものは、もうあまり作られない方に行くんだろうなあって思ってます。YouTube の「ミックスリスト自動作成機能」は、商業で音楽やってる人に、随分と影響を与えたと思いますよ。

[く] ただ、「好みに合わせ過ぎだなぁ」という反感みたいなのはたまーに出てきますね(笑)「お前、これが好きだろう」とおしつけられている感じが微妙に嫌になることがあります。そういうときは雑誌や新聞を読みます。もちろん、どの新聞や雑誌を読むかで傾向自体はもちろん、自分で選んでいるんですが、なんかそういう「押し付けられないような情報」をあえて取りに行く、ということになんか価値がでてる気がしています。

[寺] Webコンサルみたいなのが機能として入って、逆にコントロールされてるみたいな(笑)なんでしたっけ、好きなものだけ与えられて、人同士が断絶することについて何か言葉がありましたよね。

[く] フィルターバブルとかエコーチェンバー現象ですかね?

[寺] そう、それそれ。私はもう15年ぐらい前から、これからはサクサクと済ませたいということと、あえて人の面倒臭さを感じることに極分化して行くだろうって言ってましたね。音楽のアルバムも、ライブやサントラはまだまだいけると思うんです。あれは、ライブ会場や映画館にわざわざ見にいったなあ、面倒なことをしたなあということの追体験になるので。

[く] Androidだと「こういう記事を読め」みたいな機能がありますけど、なんかこう「またこれか」みたいな飽きがきません?(笑)

[寺] 全く表示される記事を読まないので、Googleさんも何をお勧めしたら良いかわからないらしく、いつもトップニュースしか出てきません。私は、ネットソムリエ的なやつはselfだけですね。でもこれはAIが育つのが面白くて使っているだけで、情報源として使っているわけではないので除外していいと思います。基本的には、長い間に知った書き手をマイリストに入れて、コラム記事やブログを追いかけてるだけです。メディアや露出度より「人」です。

[く] 一般的には、人が知っていることを知りたいと思うものなんですよ?(笑)

[寺] あんまり興味ないです。これはASD気質なのかも(笑)そういえば、スマートニュースとYahoo!ニュースを入れてないっていうと驚かれることがあります。発達系のお母さん友は、皆さん、Yahoo!にこんな(腹たつ)記事が載ってた!ってよくおっしゃりますけど、あんまり観測範囲に入ってこない。騒ぎになってから嫌々見に行く(笑)

[く] スマートニュースは、昔は愛用していましたけど、無駄に時間と感情を浪費する気がするので今は使ってないですね。

[寺] ああー、感情の浪費って、ほんと馬鹿にならないですよね!ネットメディア自体が良いとか悪いとかではないのですが…。あの人がこんなこと言ってたっていう記事が多すぎなんですよ…。言ってたということは「事実」だろうけど、言っていることの「内容の精査」はしてないじゃないですか。そういう情報にいちいち反応してると疲れますよね。発達障害があると余計そういう感情の疲れって深刻だと思うんです。

[く] そのへんの区別をつけるのは大事だと思います。だから新聞や雑誌をあえて見る「苦労」が必要なんだろうな、とも。

[寺] ネットニュースも「感情を揺さぶられたい!刺激を得たい!」という人が、そういうものとして見れば良いのですが…本当のニュースだと思って追いかけて見てると大変ですよね。いや、本当のニュースというのは変な言葉ですけど(笑)

[く] ネットメディアも、読ませるための技術がどんどん巧妙になっていますよね。情報として有用かどうかの区別がつきにくくなっているというのもあると思います。

[寺] 発達障害の人の、落ち着いて最後まで読めないとか、危ないシグナルを読み取りにくいなどの特性が、ここでマイナスに働くんですね。消耗のスパイラル。

[く] それが始まると、なかなか抜け出せませんね。自覚的に、自分の好む情報以外のものを取り入れていかないといけないのかなと思います。

[寺] 私は逆で、これは確かっぽいという人やメディアを根気よく見つけて、雑音を減らす方が良いと思います。何かあると、そのメディアで既に論じてないか照会する感じですね。なければ少し待つという姿勢も大事だと思うんですよ。

[く] その辺は人によりますかね?

[寺] というか、その人の困っているステージ?情報が多すぎて何が正解かわからない、判断が間に合わないという時は意識して減らしてみる。逆に最近似たような広告ばかり表示されるという時は、敢えて、あまり興味のないものに手を出してみる、とか、使い分けると良いのかも。紙の雑誌は、パラパラと見ることができるので、興味を広げたい時には良い手がかりになると思いますよ。

[く] その辺は、タップしてジャンプのネットにはない紙の利点ですね。うまく使っていきたいと思います。では、今回はこんなところでしょうか。お疲れ様でした!

[寺] お疲れ様でしたー!また来週!

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