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3月下旬私は、不安を実家に置き、一流の日本料理人になるという志を持ってこの島にやってきた。必ずこの1年間、四季を感じながら土台となる基礎を学び成長して、自分のものにしようと決めた。私が入塾した理由は、生産者の近くで料理を学べるからである。料理人は食材や生産者の方がいて、美味しい料理をお客様に提供できる。生産者が一生懸命育てて、収穫している過程を見ることで、一層食材に感謝の気持ちを持ち、美味しい料理をお客様に提供できる料理人になれると思うから入塾を決めた。

島での暮らしが始まると、今まで便利を頼ってきた本土での暮らしとは対照に慣れない生活が待っていた。最初の1週間は、生活に適応するのに必死で本当に長かった。段々と生活に慣れていき、今取れるもので生活する事が人間の本当の在り方だと感じた。季節ごとに採れる食材が変わり、取れ立ての新鮮な状態で調理し、食べる事ができる。便利さに頼るだけより、不便の中には豊かさがある事を見つけた。また、新鮮ということは、数時間前までは元気に生きていたもの。食材に対する感謝の気持ちを持ち、調理しなければならない事を早速実感する事ができた。

毎日湧き水を汲みにいく道

4月初日から授業が始まり、包丁の持ち方、剥き方、刻み方の基礎が詰まった大根の桂剥きとつま作りをひたすら練習した。いかに薄く、長くできるかを毎日考え、少しずつ上達した。まだまだ、完成形まで程遠いが試行錯誤しながら、一日中桂剥きをすることはないがこれからも定期的に桂剥きをして基礎を磨かなければならない。
4月下旬、魚とご対面。数時間前まで、元気に動いていた新鮮な魚。目が透き通っていて、どの魚も鮮度抜群。こんな新鮮な魚、今まで見たことない。毎日鯛が多い日、鯵が多い日など、日によって色々な魚を見ることができ、毎日が楽しい。これから沢山の魚を見て捌いて、学んでいきたいと思う。

大敷網で取れた鯛

この場所で料理を学ばせて頂いている事、新鮮な食材を使わせて頂いている事に感謝しながら、1日1日を作業と捉える事なく、今してることに目的、目標を持って日々の授業や暮らしを大切する。そして、一年後来て良かったと思えるようにクラスメイトと高め合いながら成長していきたい。

志 全力 向上心

4月は、大根、牡蠣、タラの芽、つくし、よもぎ、筍、ふき、鯛、鯵、平政など多くの食材を見て触れて収穫、調理し食べる事ができた。これからどんな出会いがあるか楽しみだ。

(文:島食の寺子屋生徒 坂元)