中国ドラマのわたし的名場面: 時代劇に出てくる遊び人風の若い男
時代劇に出てくる遊び人の役が好きだ。現代劇の遊び人はかっこいい服を着て高級車を乗り回したりのチャラい役どころ止まりが多いが、時代劇だと衣服が思い切り絢爛だったり扇子などの小道具使いがうまく、さらりと詩句を詠むとか、楽器を演奏したり、小唄を口ずさんだり、妓楼で遊んだりと、遊び事に精通しているのが一種の教養のような深みがあるように思う。今まで観た中国ドラマの中から、わたしのお気に入りの遊び人を二人紹介しようと思う。
1)”Love of thousand years”、「三千鸦杀」の傅九雲(フ・ジウユェン)仙人 - 第三話
ドラマ「三千鸦杀」の第三話で、鄭業成(ジェン・イェチョン)演じる傅九雲(フ・ジウユェン)が赵露思(チャオ・ルースー)演じる覃川(チン・チュワン)に夜の庭で出会うシーン。ジウユェンが転びそうになったチンチュワンを後ろから抱きすくめるのだが、この時点ではチンチュワンはまだジウユェンとはほぼ初対面なのにジウユェンは非常に親密な態度だ。何かぼそぼそ話しかけながら左手をチュワンの左肩から肘にかけて滑らせ、彼女の腹の上で右手と左手を重ねて上半身をロックしてしまう。その姿勢のまま「良い香りがします。キスしても良いですか?」と歯の浮くようなセリフを耳元で囁くのだ。しかし、次の瞬間にチンチュワンが護身用に隠し持つ麻酔鍼を刺されてしまう。意味ありげに微笑みながら地面に倒れていくジウユェン。
肩からすーっと手を滑らせる瞬間が見ていてゾクゾクするほど色っぽい。思うことはみんな同じなのか、そのシーンのみの短いクリップがYouTubeにあがっていて、”背後から腰を抱える名場面”みたいな中国語の題がついていた。ジェン・イェチョンは京劇学校出身だそうで所作がとても綺麗。殺陣にもキレがあり、扇子など小道具の扱いもキマっている。こういう遊び人風の役柄をどんどん演じてほしい。
2)"Destined", 「长风渡」の顧九思(グー・ジウスー)- 第一話
ドラマ "Destined", 「长风渡」は白敬亭(バイ・ジンティン)演じる豪商の放蕩息子顧九思(グー・ジウスー)と遊び仲間二人の3人が雪のチラつく中を船下りしている場面から始まる。将来の不安など何もなく、遊ぶ金にも困らない。肩で風切るように娯楽施設に入っていく若者たち。扇子の使い方、傘の持ち方ひとつをとっても人生に憂いがないというのはなんと素敵な事だろう。この後しばらくして政治情勢が変わり、グー・ジウスーの一家は財産をすべて失い命からがら逃亡するはめになり、彼は遊び人とは真逆の人生を行くのだが、この冒頭の煌びやかなグー・ジウスーが私はとても好きだ。
誰かほかにもおすすめの遊び人役を知っていたら、コメントください。
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