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労働学生生活(2学期後半何週目かわからない)かけぬける

1年で60単位。

私が通っているスペインの大学院修了に必要な単位数だ。
ここに修士論文の提出も含まれる。
 
最近ようやく気づいた。
昨年秋から全力で走ってきたが、1年で60単位は多すぎやしないか。
 
noteを書く余裕と気力がない。
 
しかし、あと1か月を切った今、やっぱり書いておこうと思う。
「一生懸命」だけで走ってきた労働学生生活の記録として。

 
第1回目の修士論文提出日は来月10日と11日。
11月の第4回目までに出せばよいのだが、この後の事情があるため可能であれば来月提出しておきたい。無事提出できれば、来月末に審査官の皆さんの前で暑苦しい逆切れスペイン語で発表をする予定だ。
 
今は、先日から煮込んでいたものに味付けをしている。味が決まらなくてうんうんうなっていた時期は越えたようだ。残るは盛り付けと配膳か。

どうやら、作る前には思ってもいなかったような料理ができあがりつつあるが、それもまた人類学のおもしろいところなのかと思うことにした。

修論アドバイザーのK先生は、煮込み中の写真を見て笑い、「もう少しだからがまんしなさい!」と私の落ち着きのなさをいましめた。

 
正直に言うと、とてもあせっている。
修士論文のほかに、来週はクラスで30分のプレゼンと課題提出、その2週間後にも課題提出があるからだ。
 
先週は、クラスで迷子になった。
ある論文を皆で分析していたときのことだ。

「先生、今どこ!?」

突然中学生男子かのような奇声をあげ、びっくりした先生に何ページの何行目の話なのだそれはと教えてもらうまで、自分がどこにいるのかわからなかった。
 
ロシオは仕事とクラスと親の介護で、かなりまいっている。
病院に行ったところ、1か月の休職を言い渡されたと連絡があった。
翌日、ほうじ茶を届けに行き、えへへと困り顔で笑うロシオの頬を撫でた。
 
いつの間にかクラスで見かけなくなった人もいる。
修論アドバイザーと意見が合わず、今年は修論提出を見送った人もいる。
皆それぞれの大学院生活があり、もちろんそれは楽しいことばかりではないことも学んだ。
 
あと1か月を切った今、やりきれるだろうかと不安な日々を過ごしている。
そうは言っても、その日その日できることを積み重ねていくしかない。ときには1回休みの回も作りながら。
 
 

先月、学生証が届いた。
大学のメールアドレスは昨日開通した。
もうすぐ卒業する予定だが、スペインだなあと思う。
 

学生証には、20年前の私がおさまっている。
学生証用の写真を撮る時間がなくて、たまたま手元にあった20年前の証明写真をアップロードしたからだ。
あまりにも現在と違う場合は認められませんと書いてあり心配していたが、何とか受け付けてもらえたようだ。
 
 
ずっとやりたかったことだものなあ。
大学院に行くのは誰に頼まれたわけでもなく、自分で好んで苦しんでいるだけだ。
考えてみれば、なんと幸せなことなのだと思う。
20年来の夢が今かなっているのだから。

 
あと1か月。

かけぬけよう。
 

20年前に大学院に行きたかった私がおさまっている学生証とともに。

アンダルシアとロバの力も借りて。
 

にゃー!

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