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きもの本棚⑨『森田空美のきもの美巡礼〜染めと織りの手わざを訪ねて』江戸小紋に魅入られて。

タイトル通り、着物研究家の森田空美さんが自ら、着物と帯の作家・産地を訪れ、作り手の手元を覗き込むようにして見聞きする様子と、和服の撮影とは思えないショートヘアのモデルさんの着姿で、作品を紹介する豪華本。雑誌『和楽』の連載。

夏着物・四種と、七種類の紬、お召し、型染め、友禅と並ぶ中で、先日、引き染め体験にチャレンジした私には、江戸小紋がリアルで興味深く、伊勢型紙を板に貼った生地に置き、鋭く先を研いだヘラを使って、防染用の糊を均一に置いていく「型付け」の写真に見入ってしまう。森田さんに取材されている小紋師は、こちら、YouTubeチャンネルにあるお着物を創った藍田正雄さん。雑誌の連載は約20年前で、その間に技術を磨いたお弟子さんが現在、活躍中。

型染めの一つだった江戸小紋は、1955年に小紋師の小宮康助さんが人間国宝に選ばれた時から、そう呼ばれるようになったそうで、同じチャンネルで、息子の小宮康孝さんを取材している。グリーンの紬地のお着物を、樋口可奈子さんが『美しいキモノ』で自作の帯に合わせていて、とても、素敵だった。

で、江戸小紋から、森田さんに話を戻すと

森田さんはブラックフォーマルを着る男性が減る中で、ビジネススーツに混じっても、悪目立ちしないのが無地感覚の紬の良さだという。そして、無地の紬を見慣れた森田さんにとって、江戸小紋は目に心地いい存在とのこと。先日、私は黒の万筋の江戸小紋をあてさせてもらったが、縞が細かいと、手元から見ても、黒がステンレスの色に見えた。自然に視線が足下へと流れ、まるで、ドレスのよう。シャキッとした森田空美さんコーデも、モノトーンと思えば、ぼんやり顔の私でも、着られそう? そこで、前出の『森田空美の知的きもの入門』で、気になるモノトーンコーデを探してみた。

ちなみに、私が着物で行く場所は
・カジュアル着物→散策
・正統派コーデ→歌舞伎座・先生の演奏会
・舞台用→三味線の発表会

今回、私のお気に入りは
・ポップで可愛い、故中島秀吉氏の「中島あられ」の江戸小紋と変形・鱗柄の帯との、春のモノトーンコーデを先生の演奏会に
・紺地に格子柄の白鷹紬に白っぽいスミレ刺繍の名古屋帯で、銀座の街歩き
・浅葱色の江戸小紋と、格の高い黒地の帯の二色コーデで、歌舞伎座の一階席
・グレー地の飛び柄の付け下げに、北村武資作のポップな梅文の金の袋帯で、三味線発表会

などと、妄想するだけでも楽しいが、着る回数を増やしたい。#わたしの本棚

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