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【原作:鳥山明】ゲーム『SAND LAND(サンドランド)』が期待以上で面白い


SAND LAND project

『SAND LAND』は週刊少年ジャンプにて2000年に短期連載された鳥山明先生原作の漫画です。昨年の2023年には完全版も発売されました。通常版とどちらも一冊だけなので買いやすくてオススメです。

そんな『SAND LAND』は20年以上の時を経た2022年に「SAND LAND project」が発表され、2023年8月に劇場アニメ公開、2024年3月からはディズニープラス「スター」独占でWebアニメ配信が開始されました。

そして、2024年4月25日に発売されたのがゲーム『SAND LAND』です。『Vジャンプ』掲載の鳥山明先生のコメントによればアニメ企画よりゲーム企画が先にあったようですね。

SAND LAND Projectは、ゲームがあって、そのあとアニメと進行しました。

Vジャンプ2024年6月特大号227ページ

漫画原作のゲームといえば…

このゲーム版『SAND LAND』ですが、実は最初は全然興味がありませんでした…。漫画原作のゲーム、特に少年ジャンプというと微妙なイメージが強かったのです。

しかし、体験版が配信されるとかなりの良作であるとの声がちらほら聞こえてきます。何なら鳥山ワールドを最も再現しているゲームであるという感想もありました。これは遊ぶしかありません。

そうして手を出してみたのですが、プレイ序盤の感想は密度のない砂漠だらけで爽快感もなく地味なゲームだなという印象でした。

本作は悪魔の王子・ベルゼブブ操作と戦車を始めとしたメカ操作の大きく分けて二つの操作があるのですが、ベルゼブブのアクションは素手で派手な技もなくジャンプは一癖あって思い通りにいかず、メカ操作は複雑で段差等に弱く空中の敵は倒しづらいと、どちらにせよストレスでした。

※戦車の正式名称はバトルタンク

終わり時が分からないゲーム

しかし、途中で原作には登場しないオリジナルキャラのメカニックの少女・アンが仲間になりメカのカスタマイズが出来るようになってくるあたりから段々と本作の魅力に夢中になっていきます。

段差を飛び越えられるジャンプメカや広大な砂漠を駆け巡れるバイクを手に入れるとマップが非常に丁寧に作られていることが分かります。ここはどうだろうと気になる場所にはしっかり遺跡や洞窟、宝箱、落とし物といったご褒美が用意されているんですね。

※遺跡や洞窟には冒険に役立つ宝箱が隠されている。落とし物はテキストが用意されており、落とし主に渡すと専用会話が発生する。

メカの乗り換えは非常にスムーズで、大技を使ったり攻撃力の高いメカを使ったらすぐに機動力の高いメカに乗り換えることで道中に出現する強力なモンスター達にも勝利することが出来ます。

メカにはオプションと呼ばれるメカパーツが用意されていて、自動で敵を攻撃する大量の誘導ミサイルを放ったり、迎撃ドローンで身を守ったり、重力場を発生させて敵を集めたり、自分だけの最強カスタマイズを楽しむことが出来ます。

オプションだけでない、砲台やエンジンを含めたメカパーツは敵を倒してドロップしたり、宝箱から手に入るので本編そっちのけでメカパーツを集めに世界を奔走してしまいます。

メカを作成したり強化するには特定の町にあるガレージに行く必要があるのですが、入手したメカパーツはメニュー画面からすぐに装備して試せて便利です。欲を言えば動画説明があると嬉しかったですが、自分で試す楽しみもあります。どっちもどっち。

本編であるメインクエストとは別に驚くほどたくさんのサブクエストも用意されており、これも世界中を旅する楽しみになります。最初は大したことないのですが、途中から一気に増えてビックリしますよ。

こうして13種類もあるメカを自分なりにカスタマイズし、場面に応じて乗り換えて戦う、走る、探索するが出来るようになればもう本作の虜です。

ベルゼブブ操作は最後まで殆ど使いませんでしたね。上手い人はメカと上手く切り替えてさらに爽快な冒険を繰り広げているのでしょうか。

原作+αの魅力的なシナリオ

シナリオも最初は原作に従ってチェイスや戦闘を強要される窮屈なものかと思っていましたが、ゲームとして面白くなるように構成されています。かなり早い段階で原作に存在しないアンが加入しますからね。

原作の目標は水不足を解消するために幻の泉を探すことだけでしたが、途中で加入するアンによって原作のテンポを損なうことなく、自然な形で様々な課題が設定されシナリオが重厚なものとなっています。

そして、シナリオといえばWebアニメ版とゲーム版ともに追加された鳥山明先生原案のフォレストランドを舞台にしたシナリオです。フォレストランドは名前の通りサンドランドとは対照的な自然豊かな国で、アンを中心に物語が展開されて行きます。

鳥山明先生原案というのがどこまでを指すのか分からないので、あまりそこには拘らないように考えていますが、原作から違和感なく続いているように感じました。新キャラクターも性格、デザイン共に自然な塩梅です。

追加シナリオの受け入れやすい原因は、アンが非常に魅力的なキャラクターなのが大きいと思います。典型的な攫われヒロインでもなく、メカニックキャラらしく知的でベルゼブブを窘めるお姉さんらしさと年相応の子供らしさを兼ね備えています。

ドレッドヘアーの女性キャラクターをこんなに日本風の可愛いに落とし込んでいるのも見事です。鳥山明先生のデザインしたドラゴンクエストのキャラクターもまだまだ見たかった…。

昨今の事情なんて知るかというくらい登場する女性が豊満な身体をしていまして、アンも例外ではないのですが、胸を揺らせないなら首飾りを揺らして錯覚させてしまえというのはドラゴンクエストⅧのゼシカを彷彿とさせました。これも鳥山作品ネタなのでしょうか。

走った後しばらく胸が揺れ続けるのだ。
しかし厳密には揺れてるのは服だけであり、胸は微動だにしていない。うまい視覚トリックである。

【ゼシカ】 - ドラゴンクエスト大辞典を作ろうぜ!!第三版 Wiki*

原作を忠実に再現された広大なサンドランドを冒険したと思ったら同じくらい大きいフォレストランドが登場した時のインパクトは原作を読んでいなくても十分に感じられることでしょう。こんなにしっかりと作り込まれたゲームだとは思いませんでした。

漫画原作のゲームはつまらないなどと、思い込みで物事を判断してはいけないということを実感させてくれる作品でした。

クリア後もやることが終わらない

クリア後もやることがたくさんです。遺跡探しといった探索はもちろん、膨大なサブクエストや、落とし物&落とし主探し、メカパーツ集め、賞金首、レースゲーム、自分だけの部屋を作るハウジング、強敵に挑むバトルアリーナ等々、ボリューム満点です。

落とし物の落とし主探しでもそうですが、非常にたくさんの会話テキストが用意されていて、しかも殆どにボイスが付いているのも驚きました。何度も挑むと内容が変わるサブクエスト…なんてのもあります。

トロフィーや実績で最も苦労するのは落とし物探しだと思います。私もこれが最後に残ってしまいました。何てことのない道端に落ちていたりするんですよね…。もう70時間は遊びましたが、まだまだ終わりません。トロコン目指して頑張ります。

デジタルコードが付属している書籍

アイテム等が入手できるデジタルコードが付属している書籍が、私が知る限り二つあります。それが以下です。

Vジャンプ2024年6月号

前述した鳥山明先生のメッセージも掲載されている号です。本書のデジタルコードで入手できるのは、メカを装飾できるデカールというアイテムです。鳥山明先生がデザインしたVジャンプのマスコット「V龍」のデカールが入手できます。

SAND LAND MASTER MECHANICAL PLAN

もう一冊は、2024年5月9日唯一の攻略本&設定資料集の『SAND LAND MASTER MECHANICAL PLAN』です。スペシャルメインウェポンが手に入るデジタルコードが付属しています。

正直、特別な装備ではなく物語を進めると役に立たなくなってしまうので早めに入手した方が良いと思います。ネタバレには気を付けて!購入してあるのでどこかで紹介出来たらなと思っています。

ファミ通クロスレビュー

週刊ファミ通のクロスレビューでプラチナ殿堂入りしているので、購入を検討している方は読んでみると良いかもしれません。くしだナム子さんの「期待をはるかに上回る完成度!」という言葉には共感しかありません。

購入者アンケート

公式が購入者アンケートを実施しています。一部のトロフィーが全て達成しないといけない条件なのに「一定数」という表現をしていたりとDLCが出来そうな雰囲気もあるので回答が反映されるかもしれませんよ。

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