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いらっしゃーい!いらっしゃーい!

「いらっしゃーい!いらっしゃーい!ここのお店は何でも美味しいわよー!ママがそう言っているので間違えないわー!ぐーもさっき、おパンをちょっとママにもらって、大変美味しかったのよー!さあ、どうぞ、どうぞお入りになって下さーい!」
あら、いぬうた市の、ぐーちゃん、何をしているか?
と思えば、お客さんの呼び込みですか。
今朝はママと飼い主と、わんこも入れるカフェに、
来て、そこの店先のテラスでお客さんとして、
優雅に朝食なんですよね。
それが、ぐーちゃん、いつの間にか、
店員さんに早変わりですか?
と、ぐーちゃんに聞くと、ぐーちゃんは、
その呼び込みで今、忙しいので、代わりに、
きゅん君が答えてくれました。
「違うんだよ。別に店員でもこの店の看板犬になった訳でもないけど、入るか入らないか?迷っている人がいたから、ぐーが入った方がいいわよ。ここ絶対美味しいから、入らないと一生後悔するからって、その人に勧めているうちに、どうやら呼び込みが楽しくなってきたようで、それからずっとこの調子なんだよね」
そうだったんですね。
ぐーちゃん、それはお疲れ様です。
迷っている人にとって、ぐーちゃんみたいな可愛いわんこが、
わんわんと吠えていたら、
思わず入ってしまうかもしれませんから、
お店の人も喜んでいるのではないですかね。
「そうかな。僕はちょっと逆に怖くて逃げちゃう人が大半だと思うけどな。だって、ぐーがただ吠えているとしか、人は見ないだろうから、そんな姿、可愛くも何ともないと思うけど」
そう言わずに、きゅん君も、
やってみればいいじゃないですか?
きゅん君だったら、もっと可愛く吠えて、
もっとお客さん呼べるんじゃないですかね。
すると、きゅん君、まんざらでもないようで、
「そうかな。実は僕もさっきからそう思っていたんだよね。僕なら、ぐーよりも全然お客さん、呼べるんじゃないかって」
そう言うと、きゅん君も呼び込みを始めたのです。
「さあ、らっしゃい!らっしゃい!安いよー!安いよー!そこの奥さん、どう?よって行かなーい!」
まあ、きゅん君、何でしょう。その呼び込み。
ここは八百屋さんや魚屋さんではないのですよ。
「本当よ。ここはオシャレなカフェさんなのよ。なのに何て下品な呼び込みをするのかしら。全く似つかわしくないわよ」
ぐーちゃんもいっとき自身の呼び込みを止めて、
きゅん君に注意をしました。
しかし、きゅん君、聞く耳持たず、
「何言ってんだよ。ぐー。こうゆうのは勢いと元気さがなにより大事なんだよ。実際、僕が呼び込みを開始したら、2組もお客さん入ったぞ」
と、自分の成果をいいように解釈して、
まだまだ続ける気まんまんです。
なので、これは負けられない!と思った、ぐーちゃん、
「だったら、ぐーはぐーで独自のやり方でお客さんを増やしてみせるわ!」
と言ってから、店頭で何を頼もうか?迷っている人に、
声をかけ始めました。
「このお店のおすすめは、今、ぐーのママが飲んでいるモノよ。それが何か?は分からないけど、ママが頼んだモノに間違いはないわ」
と、個々のお客さんの相談に乗る作戦に変更して、
しかしはたから見ると、ふたりのわんこが、
わんわん!とやたら吠えているようにしか見えない、
賑やかなカフェの店頭での一コマでありました。

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