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『マツオヒロミ展』(弥生美術館)

イラストレーターのマツオヒロミの展示を観に行って来ました。
本屋で画集を見掛けてから、とても気になっていたので観に行ってきました。
個人的な感想で言うと…
女性ファッション誌を更に艶やかにして、少女マンガ的な乙女チックなテイストにした不思議な絵柄。
デザイン的にも洗練されていて、なんちゃってファッション誌的なものをとりあえずやっているのではない感じのクオリティの高さ。
少女マンガとしての文脈やテイストと、女性ファッション的な洗練されたデザイン性が同居している、次世代の少女漫画的イラストだなあと…

今回、展示を観に行って、色々とその疑問が氷解しました。

まず経歴が、美術系ではない文系の大学出ていて、神戸の古本屋さんで働きながら、漫画を描いていたのだそうです。
漫画ぽいイラストだと思っていたら、ガチで漫画家を目指していたということのようです。
ファッション雑誌的なテイストは、とにかくファッション誌が好きで、そのフェティズム的な趣向の反映といったことなのだそうです。
あと、ロゴデザインなどのデザインワークは、デザイナーをしている旦那さんとガッチリ二人三脚でやっているだとか…

最初に商業出版した画集は、大正時代の百貨店をテーマとしたものだったとのことですが、その扱い方が、きちんと資料にあたって、その上で、作者自身が心に響く形に落とし込んでいる…

今度出版するという女性のランジェリーをテーマとしたイラストのシリーズも、きちんと資料にあたって、その上でジェンダーや自分の感性に照らし合わせて、今のランジェリーというか女性というものを美的に再定義しようとしている…

イラストとして、連作としてのクオリティも高いのですが、それ以上作者なりの問題意識をもとにした研究の発表といったような作品作りをしていました。

あと、女性をテーマにしたその描き方も、ランジェリーをテーマとした女性の描き方も、男性には描けないタイプの何かを感じる作品だと感じました。
性的な存在としての女性は描いているが、それは男性が女性を見る性的な存在としての女性とは明らかに違っているというか…


展示は基本的に、下書きや線画は鉛筆で描いていましたが、それ以外はデジタルということで生のイラストの生々しい感じみたいなものが感じられないのは、最近のイラストレーターの人の展示なので仕方ないなあとは思ったりしました。

とはいえ、個人的には想定していたよりも、かなり興味深い展示を観れました。


そういえば、来ている来場者も、お洒落でセンス良さげな若い女性が沢山来ていました。
その中で、着物を着た若い女性も10人くらい見掛けました。
あと、頭にスカーフを被った(ヒジャーブというそうです)をまとった中東系の若い女の子の二人組が楽しそうに展示を観ているのも、印象に残りました。


帰り際に、最近はほとんど買わなくなった画集はまで買ってしまいました。
ちなみに一緒に買ったポストカードは、裏までそれぞれ違ったデザインをしていて、この作者ならではだなあと思ったりしました。

帰りがけに、美術館に併設されているレストランで、遅めの昼食を食べて来ました。
野菜カレーとコーヒーのセット(950円)を注文。
カレーは、野菜の素揚げが入った優しい味でした。

https://www.yayoi-yumeji-museum.jp/yayoi/exhibition/now.html

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