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『グランツーリスモ』(映画)

視聴環境:Amazon prime video

※ネタバレします。

【内容】
プレイステーション用レーシングゲーム『グランツーリスモ』の若いプレーヤーがゲームの大会で優勝し、プロの現実のグルマのレーサーになった現実の話を元にした映画。


【感想】 
この映画のウリは以下の2点だと感じました。
①事実ベースのレーシングゲームのトーナメントでトップ取って、プロのレーサーになるというキャッチーな企画性。
②臨場感を増すために最新鋭のCG技術を投入する。

ストーリーの組み立てとしては、あえて物凄くオーソドックスな成長譚のエンタメ映画の構造を使って、どこまでエンタメ作品に出来るかということをかなり考えて作っていると思いました。
まあ、ドラマが弱いと言えば言えなくもないですが、観客に感情移入させて、どれだけレースを擬似的に体験させるかといった狙いで作られていて、個人的にはレースシーンは結構興奮して観れました。
レース中のフレーミングやカット割り、SEなど、物凄く試行錯誤して作って行ったんだろうなあと…
また、主人公のレーシングカーが走ったままパーツが四方に分かれて、主人公が身一つでコースを滑走して行ったりとか行ったシーンとか、この映画をやる上で見せ場にしたいと思われるシーンがあったりとか…

オーソドックスなベタな展開をこれでもかとやっていて、まあそれはそれで如何にもなフォーマット感はありましたが、ベタに徹してエンタメ作品として失敗しない作りの作品にしたのだと思いながら観ていました。
もしかしたら、脚本面や役者の演技面でも、もう少し出来る余地はあるような気もしましたが、多分この映画を企画していた当初の到達点までには達した作品なのではなかったのかと
ました。

気になって興行収入を調べてみたら、1000万ドル超えしていて、制作費が600万ドルでした。
ネットで調べたら、興行収入のペイラインが制作費の倍ほどらしいとのことで、そこには達していなかったというこでしようか。
時の運というものもあるのかもしれないですしか、映画としてなんだかの仕掛けなり、出演者の技量とかスター性といった多方面の要素があるのだろうなあと思ったりしました。
ただ作品単体としては及第点であり、宣伝や時流が合えば、充分ヒット作にもなり得るポテンシャルはあったのだと思いました。

とは言え、この作品がヒット作になりえなかった要因はなんなのか?
この作品の映像化を実現させることで、伝えたい何かが猛烈にあったのかというと、そこはどこか企画の面白さという面から組み立てられ、ヒットの方程式と言われるものをなぞっただけで終わってしまったのではないか。
この映画を本当に撮るべきなのは、普段からゲームを死ぬほどやっていて、死ぬほど言いたいことの溜まった若者だったりするのかも知れないとも感じました。
監督をしたニール・ブロムカンプも、話題になったSF映画『第九地区』などを撮っている人なので、それなりにハマった企画とかなら、もっと力を発揮できたのかも知れませんが…

そもそもグランツーリスモを作った日本人のゲーム会社の社長がガッツリ出てきたりするのに、それがドラマにそこまで深く絡んでこないとか、単純に取ってつけたような感じになってしまっていると感じました。
同じくゲームを扱って、同時期に大ヒットした映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」との違いはなんだったのか?
それは視聴層の分析と絞り込み、そして戦略、あとコンテンツの性質によるところも大きいような気がしました。

多分そんなことは、映画を作っている本人たちもわかっていて、こうした形での公開に落ち着くしかなかっただろうとは思いますが…
多分、その過程はこの映画の中で描かれているドラマよりも何倍も興味深いドラマが展開されていたんだろうなあと思ったりしながら映画を眺めていました。


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