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黒石 健太郎氏インタビュー


INTRODUCTION

ある本に「店タク」のことが書かれてあった。開業体験ができるプラットフォームの一つとして紹介されていただけなのだが、リニューアルしてから早3年。「代表的なサービス」で名前を出してもらえるようになったのは、リリースから携わってた私たちには嬉しい出来事であった。
 
今回読ませてもらった「成功確率が格段に上がる起業の準備」という本の作者、株式会社ウィルフ 代表取締役社長 黒石 健太郎氏。
起業の学校 WILLFU創設者であり、自ら講師としても登壇されている。
「働きながら3ヵ月で事業立ち上げを目指す」というプログラムは、一度でも起業を考えた人には魅力的なメッセージだろう。
 
「成功確率が格段に上がる起業の準備」を読んで驚いたのは、ダラダラと知識やノウハウが書かれているのではなく、3ヵ月でやるべきことがびっしりと書いてあり、その大半は「答え」ではなく「どう行動するか」が書かれている。
読み手の行動次第では、まさに成功の一冊になるかもしれないし、逆に他の本と同じように本棚にある一冊になるかもしれない。
 
ということで、今回黒石氏にアポを取り、インタビューの機会をいただいた。何たって店タクには10,000人を超える「起業を目指す」ユーザーがいるわけなので。

Q1.なぜこの本を出されようと思ったのですか?

起業の学校を運営して11年になりますが、そもそも受講されているのが、現在4,000人くらいなんです。
起業に興味がある人は労働人口の2人に1人はいると言われてるので、本来2~3千万人くらいが起業に興味を持っているという計算になるんですけど、実際に起業している人自体、4%くらいしかいないのが現状です。
ほとんどの人が興味があるけど踏み出せない、(「起業の学校」を受講することも)ハードルが高い、と感じているのであれば、本を読むというライトな選択肢で何か一歩を踏み出せるのではと思い出すことにした感じです。

Q2.本に書かれている90日(3ヵ月)の計画はどうやって考えられたんですか?

過去受講生の知見を体系化する形で考えました。私たちが運営する起業の学校WILLFUには、過去の受講生が4,000人いらっしゃいます。
皆さん、色んな事業を立ち上げて、成功したり失敗したりを繰り返して前に進んでいかれます。
その4,000を超える成功事例 / 失敗事例を解析し、どんなスケジュールで何に取り組んでいくことで成功確率を引き上げることができるのかを体系化しました。それを講座としてもご提供しながら、さらにブラッシュアップしてきた…という感じでしょうか。

Q3.実際学校を受講されている生徒さんはそれを実行されているのでしょうか?

そうですね。起業の学校自体が3ヵ月のプログラムなので、いつまでにどこまでをやるというスケジュールが組まれています。ただ、このスケジュールを本当にやろうと思ったらかなり大変です。エネルギーがいるし、難しいというのは事実。
だから、この本を読んだだけで実際に実行できるかというと正直大変だと思います。
ただ、起業の学校に来ている人たちはみんなやっていて、仕事があるからとか忙しいからとか言い訳もできますけど、皆さん頑張ってやりきっています。
なので、「ハードですが、できる」というものとなっています。

Q4.実際、生徒さんで起業された方ってどれくらいいらっしゃるんですか?

開業するという点でいうと、実は宿題で全員事業を立ち上げてもらうので、基本的には全員が、受講中に事業立ち上げを実践されています。まさに、スペースマーケットとか店タクとかを利用して。

Q5.生徒さんの中には働きながら受講されている方が多いと思うのですが、いつ宿題をやられてるんですか?

受講生は20代~40代の方が多くて、家族がいらっしゃる方も結構いらっしゃいます。
そうなると、土日フルフルで活動できるかというとそうもいかないと思うので、平日も含めて活動されている方も多いですよ。土日どちらか+平日とかね。

Q6.ちなみに、受講生はどれくらいのレベルの方が多いのですか?

うちの受講者は、漠然と起業・独立という言葉には興味はあるけど、各論、何も詰めていないから何から始めたらいいのかわからないし、どうしたらいいのかわからないという人がほとんどです。

Q7. 「何かをやりたい」と明確に決まっている人ばかりではないんですね。

漠然と起業独立したいけど、何をやったらいいかなという人は多いですよ。
起業をする時に「〇〇をやるぞ!」とか「〇〇をやりたい!」というのはあくまで自分の意思に過ぎないと思ってます。結局はお客様に評価いただけるかどうか。自分がこれをやりたいというのが出すぎると、はずれることが多かったりする。自分の本当にやりたいことは高めの目標として持っておいて、選択肢はたくさんあるよね。といったくらいの抽象度高めのゴールの方が最適解に辿り着きやすかったりする。

Q8.何かしら技術や得意分野がある人もいらっしゃるんですか?

漠然と起業したい人も多いですが、もちろん専門学校行って、パティシエになって、ケーキ屋で働いて、そのうち自分で独立したいと思うようになった時、何から始めた方がいいか?と悩んで受講された方等ももちろんいます。
一回事業を立ち上げるとずっとそれをやり続けることになるから、かなりの人生を投下することになる。
その前に、本当にこれが自分にとって最適解なのかと、この授業で一旦すべての起業アイデアや選択肢を出し切ってから、選びなおしませんか?というのが腹落ち感もあるし、もしかしたらその人にとってはケーキ屋さんじゃない可能性もありますからね。

Q9.ちなみにまったく違う業種から独立された方の例などありますか?

例えばこんな事例。郵便局員を20年やってきた人が、糖質0スナックっていうのを開発して、郵便局を退職して独立されたケースがあります。
そのきっかけが、本人が1年前に糖質制限ダイエットを始めて、でもご本人お酒が辞められない方で、お酒を飲んでも太らない糖質ゼロスナックを自分で作ってしまおうと作ったのがめっちゃおいしいと評判で。
ネットスーパーから年間契約で受注がきたり、受講中に数百万の売り上げを出したり。郵便局員でも仕事とは関係ない領域でいろんな仮説を立てたり、試行錯誤したりして、こういう結果を出すことも可能なんです。

Q10.起業をする人たちが一番つまづく点、「集客」についてはどうお思いですか?

SNSとかもありますが、結局、事前のチラシ配りとかね。店タクとか利用されている方はチラシ配りとかやられてると思うんですけど、漠然と計画されてる方はチラシ配りさえもしてなかったり。
配ったとしても300枚くらいで「配った~」と満足されていますが、3万枚と配らないと、そもそもターゲットになる人が3万人中どれくらいいるのかってね。
チラシもデザイン性では効果はほぼ変わらないですし、手描きの方がまだ効果がある。直筆の手紙を印刷しただけでもいい。

Q11.ちなみに、先生はどこで店タクを知られたんですか?

受講生が使ってたんですよ。愛知県の人が使ってたかな。関西の方とかも。
先ほども言いましたが、学校では宿題で実際に開業の実践をしてもらいます。その時に、うちの受講生は店タクも使ってますよ。

Q12.(店タクを)どう思われますか?

店舗系を開業としたい時に、ほとんどの人がお金もなくて資金もなくてという場合が多い。そこで、普通は思考停止して無理だと感じちゃったりしますが、一日単位でお店を利用できて、営業もスタートできて、しかも資格取得も免許取得も不要でスタートできる。
プロダクト開発とか飲食系事業をやろうと思ったときにも、超スピーディにスタートできる画期的なサービスだな思いました。

最後に

黒石先生のお話をお聞きして、「こういった店をやりたい!」という自視点の想いも大切だが、何より客観的に自分が始めようとしている事業は果たしてどうなのか?と一度立ち止まること。市場調査を行ったり、選択肢を広めたり、冷静に見つめなおすということが起業する前に重要な事項だと改めて感じた。
特に自分の技術に自信がある人は、なかなか自分の計画を客観的にみるということが難しいかもしれないが、計画的かつ段階的に最終目的達成のためにステップを踏んでいけば、大きな成功に繋がるだろう。
 
これから起業を考えている方、なんとなく自分で会社を立ち上げたい!という方は、ぜひとも黒石先生の「成功確率が格段に上がる起業の準備」をおすすめしたい。
エイヤ―!で独立するのではなく、計画に沿って着実に夢実現を達成してみようじゃないか。
取材・記事:店タク 中島


黒石健太郎 PROFILE

株式会社ウィルフ 黒石健太郎
東京大学法学部卒。株式会社リクルート入社後、採用・育成・社内活性コンサルティング等の営業、新規事業の戦略企画、立ち上げに従事。2013年6月株式会社ウィルフ(WILLFU)を設立、代表取締役社長に就任。サイバーエージェント様のアントレプレナーイノベーションキャンプ優勝。2018年9月より、国立大学法人金沢大学 特任准教授 に就任。著書に、「成功確率が格段に上がる起業の準備」(かんき出版)、「渋谷で教える起業先生」(毎日新聞出版)がある。


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