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テニス上達メモ067.私もあなたも、もっと「テニス」も「英語」もできたに違いない


▶トスした左手を、高くキープするの?

 
サーブを打つときに、「トスアップした(右利きの場合)左手を、頭上で高く(長く)キープする」という指導がよくあります。
 
なるほど、プロは左腕がビシッとまっすぐに伸びていて、高くキープされている。
 
かたや一般プレーヤーは、左手をすぐに下ろしてしまっている
 
だからプロのように左手を頭上で高くキープして、フォームを整えましょう、タメもできますよ、という話ですね。
 
「いかにも!」って思うでしょうか?
 
でもこれも結局は、左手を「意識」した時点で、上手くいきません。
 
「身体動作を意識すると、動きが自然ではなくなるから」 が原理原則です


▶意識すると、ギクシャクする

 
呼吸ですら、そうです。
 
今、呼吸について、「吸って・吐いて」を意識してみる。
 
すると、無意識でできていたときに比べて、少なからずギクシャクとする「息苦しさ」を覚えるはずです。
 
呼吸ですら、そうなるのですから、テニスのスイングとなると、ギクシャク感はハンパありません。
 
意識するのが常態化すると、自分がギクシャクしているとも、気づけなくなるから怖いのです。
 
試しに「左手を頭上で長くキープする」というフォームを、意識して取り入れてみてください。
 
間違いなく、違和感を覚えるはずです。
 
打球タイミングも、合わなくなるはずです。
 
なぜなら意識するその動作は、自然(自動)ではないからです。
 

▶では、「左手キープ」の真意は?


では、「トスアップした左手を、頭上で高くキープする」になっているプロのフォームは、どう説明すればよいでしょうか?
 
その真意は、こうです。
 
「トスが高くなれば、左手は勝手に長く残る」 です
 
そもそもプロと一般プレーヤーとでは、上げるトスの高さが違います(クイックサーバーの場合はまた別なので後述)。
 
一般プレーヤーの左手が頭上で高く残らないのは、トスが低いからであり、そのぶん、上げてから落ちてくるまでに時間の余裕がないから、相対的に左手が、早く下がるのです(この時点でまだ左手が頭上に残っていたら、逆に打ちづまる・バランスを崩す)
 
そりゃ、そうですよ。
 
高いところにあるものを取ろうとするから、伸び上がるのであって、低いところにあるものを取るのに、わざわざ伸び上がれば、ヘンになるに決まっています
 
だけど常識的なテニス指導は、このヘンなことをヘンとも疑わずに、「プロがそうしているから」というヘンな理由で、ヘンになるに打ち方を教えようとします。
 
もう、ヘンだらけです(笑)
 
左手キープの真意は、「トスを高く上げようとすれば、左手は勝手に長く残る」でした。
 
言い換えれば、「トスを高く上げようとすれば、左手は頭上に残らざるを得ない」 のです。
 
高く上げておいて、左手だけ早く下ろそうとすると、かえって急ぐ打ち焦りが出るはずですから
 
サッカーのキックだって何だって、そうではないでしょうか?
 
遠くへ蹴ろうとするから、脚がビシーッと長く伸びるのであって、近くの味方選手にパスするだけなら、チョンと少しだけ足を差し出す動きになるはずです
 

▶トスの高さは自動的に調整される

 左手キープの真意は、「トスを高く上げようとすれば、左手は勝手に長く残る」でした。
 
だからといって、トスの高さを意識すればサーブが速くなったりコントロールが良くなったりするなどという、単純な話ではありません。
 
トスの高さは、そのプレーヤーが持つ固有のリズムや打つサービスのイメージ、筋力などから自動的に調整されています(自ら意識して高さを調整するのではなくて)。
 
クイックサーバーもトスする以上、左手は上へ伸びるけれど、長くはキープされません。
 
もしそのように見える画像があったならば、それは数ある連続写真の中から一瞬だけそうなっている1コマを抽出した「切り取り」なので、こちらで、述べている印象操作です。
  

▶フォームに関する技術的アドバイスは、すべて「後づけ」

繰り返しになりますが、フォームに関する技術的アドバイスは、いいか悪いかは別にして、すべて「後づけ」です。
 
あまりにテニスのフォーム指導とそっくりなので私はよく例に出すのですけれども、「英語教育」だって、まさにそう。
 
先にSVOとかSVCとか、それが第何文型だとかの文法(フォーム)が、あったわけではありませんよね。
 
「後づけ」
 
そしてそんな区分け、ネイティブの人でも知りませんよ。
 
主格とか目的格とか所有格とか関係代名詞とか、そんな語学以前の文法用語を使って13歳そこそこの子どもたちに分からせようとする教育の愚
 
そのせいで、才能がスポイルされてきたのです。
 
日本の英語教育によって。
 
私もあなたも、教育のあり方しだいで、もっと英語ができたに違いない。
 
それと同じようにテニスも、指導のあり方しだいで、もっとできたに違いない。
 
コミュニケーションとして使っていれば、私たち日本人が日本語を身につけたのと同じように、「自動」で身についたに違いない。
 
お婆さん川へ洗濯に行きました。
 
お婆さん川へ洗濯に行きました。
 
文法は分からなくても、このニュアンスの違いをくみ取れるのです。
  

▶英語なんて言葉なんだ。こんなものやれば誰だってできるようになる!

 
「英語なんて言葉なんだ。こんなものやれば誰だってできるようになる!」といったのは東進ハイスクールの安河内哲也先生でした。
 
それはまさしくそのとおりなのだけれど、その「やり方」が、日本の場合はヘンなのです。
 
日本の英語教育は、もはや「英語教育」とはいえず、大学入試クイズに合格するための特殊な「受験教育」でしかありません。
 
だからそれを突破したとしても、ネイティブと意思疎通できるようになる人なんてほんのひと握り
 
一方、日本で働きながら日常生活で言葉を交わす外国人留学生は、米国合衆国国務省が「唯一の”カテゴリー5+”」として最高難度に認定している「日本語」を、多少ブロークンであったとしても、わずか1年足らずで意思疎通できるレベルに仕上げます

テニスでフォームを意識すると動作がギクシャクするのと同様、文法を「意識」しながら話す英語を想像してごらんなさい。
 
やっぱりギクシャクするのです。
 
私たちネイティブだって、日本語の基本4文型などを意識しながら話すと、ギクシャクしませんか?
 
まじめな人ほど、教えを守ろうとして、「正しいフォーム」「正しい打ち方」「正しい文法」のまやかしにハマります。

即効テニス上達のコツ TENNIS ZERO
(テニスゼロ)
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スポーツ教育にはびこる「フォーム指導」のあり方を是正し、「イメージ」と「集中力」を以ってドラマチックな上達を図る情報提供。従来のウェブ版を改め、最新の研究成果を大幅に加筆した「note版アップデートエディション」です 。https://twitter.com/tenniszero