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2024年青少年読書感想文コンクール課題図書『ごめんねでてこい』を読んで~言語技術講師の読書感想文~ 黒木里美

毎年、夏休みに読書感想文の指導をしながら、こんなことを思っていました。
「私だったら、こんな風に書きたい! 」
読書感想文の指導をしたことのある先生、あるいは親御さんの中には、私と同じように思ったことのある方も少なからずいるのではなでしょうか。

そして、今年もまた、読書感想文の課題を読んでいると「書きたい!」という気持ちがふつふつと湧いてきました。
いい課題図書に出会ってしまえば、なおのこと書きたい気持ちが募ってきます。
「もう我慢できない、書こう! 」
と言うわけで、今回はじめて読書感想文を書いてみました。

私が本を読んで思ったこと、考えたことを自由に書いた文章です。
子どもたちの読書感想文の見本になるようなものではありません。
何卒ご了承くださいませ。

この記事を読んで、私と同じように
「よし、読書感想文、書いてみよう! noteに投稿しちゃおう! 」
と思ってくれる先生や親御さんがたくさん現れてくれることを期待しています。


2024年 青少年読書感想文コンクール 課題図書 『ごめんねでてこい』書籍紹介

クリックすると「文研出版」のWebページにが見られます

~内容紹介~
大好きなおばあちゃんと、少しの間いっしょに暮らすことになったはなちゃん。優しいおばあちゃんと過ごす時間はとても楽しかったけれど、いつもと違う生活にだんだんもやもやがたまってきて…。「おばあちゃんなんて、きらい!」と言ってしまったはなちゃんは、「ごめんね」が言えるのでしょうか。

文研出版Webページより

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『言えなかった「さようなら」だけれど』

私にも、おばあちゃんがいました。
『ごめんねでてこい』の主人公「はなちゃん」と同じように、子どものころ、おばあちゃんのことは好きだけれど、「なんだかな」と思うこともありました。
外で遊んで来いというのに、庭の石や草を遊び道具にすると「きれいにしているのにいたずらするな」と叱ってきたり、お小遣いをくれるけれど、「無駄遣いするな」「お母さんに預けなさい」と言ってきたり、一緒に遊んでくれるけれど、勝負ごとに負けそうになると、大人げないような、ちょっとわがままなことをしたりすることもありました。
だからか、私のことが好きなんだろうけれど、本当に好きなのかな、と疑ってしまうこともしばしばあったように思います。


子どもの頃、私は母に「おばあちゃんのこと嫌いなの?」と聞かれたことがありました。
買い物の帰り、最寄り駅の駐輪場でのことです。
おばあちゃんは、先に家に向かっていて、私は母親と自転車で帰ると言ったのだと思います。
なぜ、おばあちゃんと帰らずに、母と帰るといったのか、理由は覚えていません。
ただ、母のすこし怒ったような、焦っているような、悲しいような、何とも言い難い表情が心に残っています。
私のことを可愛がってくれるおばあちゃん、でも時々叱ってきたり、なんだか理不尽なことをいってきたりもするこの人を、どう思っているのだろうか。
私は、その時、子どもながらに考えました。
何と答えたのかは覚えていませんが、たぶんその場では「好きでも嫌いでもない」というようなに答えのではないかと思います。
そして、母が私におばあちゃんが小さい頃から可愛がってくれていたことを道すがら話してくれたように思いますが、それについても「そんな赤ちゃんのころのことを言われても覚えていないし」と少し腹立たしいような、困った気持ちになっていたような気がします。


おばあちゃんは、私が小学3年生の時に亡くなりました。
弟が熱を出したため、私たちはお葬式に行くことができませんでした。
「さようなら」を言えなかったことが辛く、自分を責めてしまい、おばあちゃんが亡くなったことを思い出すと、突然、胸をズンと押しつぶされるような、頭をガンと殴られたような痛みに襲われることがありました。

でも、今おばあちゃんのことを思い出すのは、天気のいい日に窓辺で日向ぼっこなんかをしているような、気持ちのいい時です。
ひょっこり家に遊びに来て、どっかり座り、おしゃべりで、好きなように振舞うおばあちゃんの姿が思い浮かびます。


子どもの頃、私の周りにいた大人の中で、おばあちゃんが一番素直で人間らしい人だった、大人になった今ではそのように思います。
孫を可愛がり、叱り、ちょっと図々しくて、でも堂々としているおばあちゃん。
きっと仏壇にもお墓にもいないで、好きなところをほっつきまわっているにちがいないと思わせる、そんなおばあちゃんを、今、私は大好きなのだと思います。
(1198文字 原稿用紙3枚分)


■2024年青少年読書感想文コンクール課題図書の紹介記事

■読書感想文の書き方はこちらからどうぞ

■リテラの先生と一緒に読書感想文を書いてみたい!ストアカ講座


■まとめ

『ごめんねでてこい』は、子どもたちと一緒に読みたい一冊です。
でも、読み聞かせをすることは難しい本、なぜなら、泣いてしまうからです。

いつか大切な人の別れを経験する子どもたちが、この本に出会えることを心から願っています。

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