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『イップス』第5話まで観ましたー。(ネタバレなし)


はじめに

 毎週金曜夜9時フジテレビで放送中の篠原涼子さん&バカリズムさん主演の『イップス』第5話まで視聴完了しましたー。

イップスとは…心の葛藤(意識、無意識)により、筋肉や神経細胞、脳細胞にまで影響を及ぼす心理的症状です。 スポーツ(野球、ゴルフ、卓球、テニス、サッカー、ダーツ、楽器等)の集中すべき場面で、プレッシャーにより極度に緊張を生じ、無意識に筋肉の硬化を起こし、思い通りのパフォーマンスを発揮できない症状をいいます。

日本イップス協会より

 本作はイップスというより、『それまで思い通りにできていた得意なことが、何かをきっかけにできなくなった人たち』のドラマなわけですが、今回は法廷画家の人の話で心惹かれました。これは完全犯罪だなと思われたので、どうやって犯人逮捕するのか注目して鑑賞できました。記録したいと思います。


第5話のあらすじ

 黒羽ミコ(篠原涼子さん)は、運転手を務める坂浦猛(渡辺大知)とともに小説のネタ集めのために裁判の傍聴に来ていました。大手建設会社による不当な圧力が原因で起きたとされる、建設現場での死亡事故についてその責任を争う裁判で、ミコがコメンテーターとして出演している情報番組でも取り上げていた注目度の高い案件でした。傍聴席についたミコは、坂浦の左に法廷画家と思われる男性・板野恭二(渡部篤郎さん)が座っていることに気付きます。

 裁判では、被告で発注元である大手建設会社、茄子原建設の弁護を担当するやり手弁護士・杉本浩紀(田中要次さん)が、施行計画書の合理性を主張します。原告の梅坂工務店が利益を上げるために施行行程を省略した結果起きた事故ではないか、と主張し逆に原告側を追い詰めていました。

 閉廷後、ミコたちは別の法廷へと向かいます。ミコの弟・慧(染谷将太さん)が担当している、テレビドラマの制作現場で起きたパワハラ事件の裁判でした。この裁判でも法廷画を描く準備をしている板野の姿を見かけるミコたち。

 同じ頃、裁判所の屋上から男性が転落死するという事件が発生します。死亡したのは弁護士の杉本でした。通報を受け、現場に駆けつける刑事・森野徹(バカリズムさん)たち。傍聴を終え、慧たちと一緒に帰ろうとしていたミコは、森野の姿を見つけると早速この一件に首を突っ込みます。現場の状況から怨恨による殺人の可能性が高いと睨んでいたミコと森野は板野から話を聞きますが、板野の余裕な態度に苦戦することに……。

感想

あしたのジョーとの関連

 イップスと聞くと、私が真っ先に思い浮かべるのがアニメ『あしたのジョー』です。主人公・矢吹丈と宿命の対決を果たすため、極度の減量をして死闘に臨んだライバルの力石徹が、試合中のテンプルへの一撃が原因で結果的に死んでしまい、その件をきっかけにジョーが顔を殴れなくなるというボクサーとして致命的な欠陥を負うくだりです。

 ジョーの場合は、防衛本能を無視して無理やり顔を殴りにいくとその反動で吐いてしまうことから、イップスではなくPTSDのほうが妥当な診断な気もしますが、その後、無冠の帝王カーロス・リベラに出会って立ち直り、ふたたび相手の顔面を思いきり殴れるようになるまでの過程は非常に苦しくも見応えがありました。


イチローさんとの関連

 野球のイチロー選手でさえがイップスで投球・送球がままならない日々があったようですね。

 報道ステーションで、イチローさんが、高校時代のイップス経験についてインタビューを受けていました。レポーターは稲葉篤紀氏(野球解説者・元日本ハム)。

稲葉氏「いつごろイップスだったの?」
イチロー「高校2年生の春です。・・・だって、投げることは当時、一番自信のあったものでしたからね」
稲葉氏、「どうやって治したの?」
イチロー「センスです。これは努力ではどうしようもない。センスです」と。

 このコメントには納得です。確かにセンスと言えば”センス”です。イチローさんがどのようなことに気づいて、それをどのように行ったかはわかりません。
 しかし言わんとしていることは分かる気がしています。ちょっとした動作のコツだと思うんです。心地良く投げられているとき、どのようにやっていたか?その無意識的な動作について、「ああ、こういうことか!」と気づきがあったんだと思われます。

 因みに、イチローさんがイップスになった主な理由は、当時の先輩、後輩関係によるプレッシャーだったようです。一般的にもイップスのきっかけは、ほぼ精神的なもの。という認識が多いです。ですが、実際には精神的なものばかりではないようです。
怪我明けの練習やオフ明け(ブランク)の最初のキャッチボール。テイクバックを小さくするようなフォーム変更等により、同様の症状が聞かれています。

 ※突如投げ方が分からなくなったり、感触鈍磨に感じられたり。逆に過剰な感触が生まれたりしています。まるで自分の腕ではないと感じる程、投げる事に関して制御感が薄れていきます。

 多くは、日常の試合や練習もあることですから、その場を凌ぐ為に、どうしても小手先(肘、手首)で修正を掛けてしまいます。
 しかし、そのようなその場凌ぎの動作修正は、すればするほど、フォームが分からなくなり、制御不能になっていきます。その誤作動を起こした「型」(フォーム)が定着したものを私は「イップス」であると考えています。

 イチローさんは、もしかしたら結構早い段階で気づいたのかもしれませんね。経験上、気づきが早ければ早い程改善も早いと考えます。なぜなら、その誤作動を起こした動きのプログラムが少ないと考えられるからです。良くないのが、だましだましその場凌ぎで、肘や手首の修正を重ねることです。本来のスムーズな動きから遠ざかってしまいます。注意が必要です。
 本来の感触を取り戻せば、自ずと心も落ち着いてくるものです。動作の改善(好感触)が、心地良さを取り戻し、安心を生み出します。投球動作をまずは正すことです。

終わりに 

 意識的に獲得した能力が修正しやすい一方で、潜在意識に刷り込まれた習慣やダメージはなかなか治すことができません。その事実をしっかりと認識しつつも、自分の弱さに立ち向かっていこうと思わせてくれる作品でした。次回も楽しみです。ここまでお読みいただきありがとうございました。

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