【短編小説】「人生劇場」第1話(全5話)
仁村岳弘の頭頂部すれすれを、喚きたてるようなエンジン音をさせながら、何台ものオートバイの前輪、そして後輪が次々と通り過ぎていく。地面に委ねられている仁村のからだは、オートバイの重力に合わせ、柔らかな豆腐のように小刻みに揺れ動く。一瞬、頭上からオートバイの気配が遠のいたかと思えば、引き返すようにすぐさまエンジン音が近づき、今度は左から右へと頭の上を通り過ぎていく。一思いにではなく、断片的に命を刈り取る、まるで生温いギロチンのような拷問。――いやこれは、ショーだった。そうだ、俺