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なぜ読んだ漫画の内容を思い出せないのか

最近の私の悩み。
それは、読んだ漫画の内容をすぐに忘れてしまうことだ。

例えば、「鬼滅の刃」。
数年前に私は、快活クラブで全23巻を一気読みした。飛ばし読みなどせず、読み落としがないよう隅々まで読んだつもりだった。

それが先日、友人たちと鬼滅の刃の話で盛り上がった時のこと。
途中までしか読んでいない友人たちは私に、「結局禰󠄀豆子って最後どうなったの?」と質問してきた。

ああ、なんという陳腐な質問か。
まあ、鬼滅素人はそこが一番気になるよな。
仕方がない、教えてあげますか。
やれやれ…と思いながら、私は最終巻の知識を披露しようとした。
「結局禰󠄀豆子は、最後ーー」

ーーあれ?禰󠄀豆子って最後どうなったんだっけ?
なぜか思い出せない。嘘だろ。禰󠄀豆子が人間に戻れたかどうかなんて、鬼滅の刃で一番大きいテーマじゃないか。他は忘れてたとしても、そこだけは覚えてるだろ。なぜ?なぜ思い出せない?

結局私は思い出すことができなかった。
なぜそんな一番重要な部分を簡単に忘れられるのか。私は絶望で膝から崩れ落ちた。ちなみに今でも思い出せない。

こんな感じで、最近は読んだ漫画の内容をすっかり忘れてしまうことが多くなった。最近というか、大人になってからかもしれない。ひどい時はほんの数ヶ月前に読んだ漫画の内容も思い出せない時がある。

小学生の頃はそんなこと絶対になかった。
当時私は、「ドラゴンボール」と「ONE PIECE」を全巻家に揃えており、どのシーンは何巻の何話に描かれていたのか完全に記憶していた。
例えば、ドラゴンボールで悟空がラディッツに殺されたのは17巻だし、初めてスーパーサイヤ人に覚醒したのは27巻だ。今でもすぐに思い出せる。

思い返せば、当時は漫画を読むことに対する特別感が強かったのだろう。
小学生の頃は、漫画を買ってもらえるのは1ヶ月に1冊のみで、漫画を買ってもらうだけでちょっとした一大イベントだった。
買ってもらった単行本は何度も読み返した。表紙のカバー裏やおまけページも読み込み、何か新しい情報が書かれていないか入念にチェックしていた。単行本一冊にとてつもない情熱を注いでいた。

それが今では、スマホで漫画アプリをインストールしたり、電子書籍を購入したりすれば、簡単に漫画を読むことができる。「漫画を読む」ということに対する特別感は薄れている。数話であれば無料で膨大な数の漫画を読むことができるし、一つ一つの作品に対する情熱は明らかに薄まっている。

このように、漫画に向ける情熱の濃淡の違いが、記憶定着率に影響しているのかもしれない。
そういえば、購入した漫画を読み返すこともしなくなった。
1巻から読み返すパワーが湧いてこないのだ。
小学生の頃はそんなことなかったのに。ドラゴンボールなんて何度1巻から読み返したかわからない。読み返すたびにキャラの表情や仕草に新しい発見があり、ワクワクが止まらなかった。何度だってその世界観に浸ることができたのに。
「1巻から読み返すパワーが湧いてこない」なんて、小学生の私が聞いたらどれだけ悲しむだろうか。


大人になった私は、小学生の頃ほどの情熱を漫画に向けられていないし、それが記憶定着率の低下に繋がっていることは否定できない。
それでも、小学生の頃に漫画から受けた感動は今でも鮮明に覚えていて、変わらず心に響いている。漫画との向き合い方が変わったとしても、今の私にしか発見できない新たな感動が待ち受けているのかもしれない。
内容を忘れたっていいし、何度読み返してもいい。
忘れることを恐れずに、この先も漫画を読み続けるべきだろう。



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