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フラミンゴというイカれたトリについて

動物園でフラミンゴを見てきた。
フラミンゴほど珍妙な動物はいないだろう。
フラミンゴの他にもリスザルやカピバラ、ロバや孔雀など様々な動物を見たはずなのに、今はフラミンゴの奇天烈さしか頭に残っていない。

動物には型というか、種ごとに特徴的な形態や行動パターンがある。そのおかげで動物知識に疎くても、この動物はどういう行動をするか、というのはある程度予想がつく。
しかしフラミンゴは、そういった型に一切当てはまらない。イカれたトリなのだ。

まずこの細すぎる脚。細すぎるくせに片脚で立とうとしている。ばかなのか。全く意味がわからない。
そしてなぜか首が長い。それも孔雀やダチョウのようなしっくりくる長さではなく、ギョッとするくらい長い。それでいて胴体は小さいので、体のバランスが気持ち悪い。ずっと見ていると不安になってくる。悪い夢を具現化したような見た目をしている。

行動も意味不明だ。ある個体は首を水中に突っ込んだまま、10分以上ブルブルと震えていた。なぜそんなことをするのか。行動一つ一つの意味が一切理解できない。これまで見てきた鳥類の型に一切当てはまろうとしない。これほどまでに不気味な鳥を身近で見られるのが不思議でならない。

不気味な鳥といえば、身近な例で言うとカラスがいる。
しかしカラスは、まだ話が通じそうな余地がある。人間で言うとヤクザだ。怖い存在ではあるが、意味もなく人を殺すことはないし、利害関係を理解してそうだ。
それに対してフラミンゴは、一切話が通じなさそうな恐ろしさがある。ニコニコした笑顔で近づいてきたと思ったら、突然ナイフで腹を刺されそうな狂気を感じる。

フラミンゴが動物園でしか見られない世界線でよかった。こいつらが鳩や雀のポジションにいたらと思うとゾッとする。電信柱に止まるフラミンゴ。公園の広場に群がるフラミンゴの群れ。フラミンゴの群れを食パンで餌付けするおっさん。
私の考える世紀末はこういうのかもしれない。


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