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アシンメトリー理容室

私、ここ半年の散髪代が『0円』なんですよ。

というのも、うちの妻が器用なもので、2ヶ月に1回ペースでお風呂場でバリカンとハサミでちゃっちゃと髪を切ってくれるからなんです。ありがたいですよね。

今週頭にそれをお願いしていたところ、昨日やってもらえる運びとなりました。



いつも通りサクサクと散髪を進めていく妻。

しかし、半分ほど坊主頭が仕上がってきたタイミングで彼女の手がなぜか突然止まりました。


「ん!どした?」


「いや、ちょっと相談」


「うん」


「バリカンの長さ設定を、今から『12ミリ』に変えてもいい?」


「で、今までは何ミリだったの?」


「9ミリだよ」



「ううん。だとすると、ちょっとやだね」



「え?」



「ですから、いやかもだね」



「それはなぜに?」



「ちょっと想像しますに、坊主頭が仕上がった際に左右に『かなり』の段差が出来るのでは?と思いまして」


「ちょっと、刃が入りづらくてさあ。3ミリくらいなら大丈夫じゃない?」


「ん!何だろう?パパには、ちょっと大丈夫には思えないんだよねえ」


「フフフ。ちょっとお尻の穴ちっちゃいんじゃな~い?パパ(笑)」


「そこはですねえ。この『けつの穴の小さい』パパに免じて、何卒、引き続き9ミリでお願いいたしやす」


「了解しました~」


「ふぅ」

 

かくして、無事に私の「9ミリで統一された」坊主頭は完成したのでした。



翌朝の出勤時。

坊主頭を撫で、

(しかしスゴいな。ママクラスになると3ミリなんて『誤差』の範疇なんだなあ。そして、何なんだろう?この「華麗なパスを空振りしてシュートを外してしまった選手になった」ような、このモヤモヤ感は?『アシンメトリー坊主』は、ひょっとして現場でウケたのかしら?なんなら、ちょっとコジャレた仕上がりで好評だったのかしら?いやいやいやいや)。

そんな風に思いながら、私は職場へと向かったのでした。

『天然』・・・たとえ理屈に合わないことをしたとしても、最終的に「もしかしたらそっちの方が正解だったのかもしれない」と相手に思わせるに至る強大なスペックを持つ「愛され人たち」の総称。

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